眠りたくない、夜
冷えていく夜の底で
薄れる光を見つめながら
重くなる瞼を下ろすまいと
私は眠りを恐れている
恐いのだ
昨日得たはずの何かを
今日の自分が失っていることが
再び開いた瞳の前
新しい世界に遭遇してしまうことが
意識なく転がった私の抜け殻の側に
寄り添う夜の影が
途切れてしまう世界が
この手から零れ落ちる喪失が
消えていく時の流れの加速が
酷く私を怯えさせる
眠りとは
知ることもできない
ただ未来の終焉
温度のない虚無の縁で私を見つめる
その永遠の闇に
あまりに
似過ぎていて