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究極の罰(3)壮絶な最後

あれほど可愛い存在だった




飼い犬のシーちゃん




その飼い犬にまで、当り散らすほど




おいらはと家族は追い込まれていた




心に余裕がないと




自分の事だけで、精一杯なのだろう






散歩をしなくなってから、10日ほどが過ぎ




近所に住む、おじいさんが




シーちゃんを散歩に連れて行ってくれる事になった




このおじいさんは、昔からの知り合いで




おいらの家庭事情も知っており




本当に良くしてくれていた




散歩に連れて行ってくれて




帰りは、家の玄関前に




リードを縛って、帰って行くのが




日課になっていた




きっと周りを見渡して




借金取りがいないのを確認する




合図みたいになっていたんだと思う





そんな日が何日か続き




ある日の事、いつもの様におじいさんが




散歩に連れて行ってくれて




シーちゃんの帰りを待っていたのだが




何時間経っても、おじいさんの散歩から




帰って来ないのだ




その時、おじいさんから電話があり




散歩を終えて帰ろうとしたのだが




借金取りが見張っていて




いつもの様に玄関先まで




行く事が出来ないと、言われた




仕方がないので、一日おじいさんの家に




預かってもらう事にした





父親は事業が失敗し、多額の借金があるにも関わらず




何もしようとはしなかった




それどころか、家にさえ帰って来なくなり




その日の食べる物にさえ困る様になっていた




その事に母親は耐えられず、実家に帰ってしまい




おいら一人でこれからどうすれば




良いのかさえ分からず




不安な毎日で、寝る時間は




毎日明け方近くになっていた






おじいさんから夜に連絡があり




明日の朝早くにシーちゃんを




連れて行くとの事、また玄関先に




縛っておくから、心配しないで




今日はゆっくり寝なさいと言われたのを




今でも覚えている





だが、明け方に寝る習慣が体に




慣れてしまい、中々寝る事が出来ない




寝に就いたのはやはり明け方近かった






夢の中で




シーちゃんと遊んでいる夢を見た




お前は本当に可愛いな




おいらの顔をペロペロ舐めるその顔は




笑っている様に見えた、そして・・・・・




何度かシーちゃんの鳴き声を聞いた気がする




だがその鳴き声は、いつもの優しい声とは違う




悲鳴に近い鳴き声だった






は!!





夢か




おいらは夢から覚め




布団から起き上がる




時計に目を向けると




もう11時を過ぎていた




シーちゃんはもう帰って来ているな




玄関をゆっくり確認する様に開け




飼い犬を中に入れようとしたが・・・




あれ・・・




シーちゃんのリードだけが




玄関に繋がっていて




そこにいるはずのシーちゃんがいない




どこへ行ってしまったんだ




おいらは慌てて外に出た




近くにいてくれよ




おいらは何度も名前を叫びながら




シーちゃんを呼び続けた




シーちゃん




シーちゃん




シーちゃん





何度も呼んだが、近くにはいないらしい




だが、それ以上進めば




国道になる




閑静な町並みも、少しずれれば




そこは交通量の多い国道になる




まさか!!




おいらの脳裏に




今朝の夢が甦ってきた




あの鳴き声は夢じゃなかったのか




だとしたら・・・





おいらはフラフラと国道に向かって歩き出した




その時、いつも散歩をしてくれていたおじいさんが




大変だ!!




シーちゃんが、シーちゃんが




車に轢かれたぞ




おいらの顔から血の気が引いていく




その先の道は、以前ジョンが車に轢かれた場所






シーちゃんはジョンが車に轢かれた場所で




同じく車に轢かれてしまったのだ





道路に寝た様に横たわる




シーちゃんを抱き上げながら




おいらは、声にならない叫び声をあげていた







神様、どうせ罰を与えるなら




何故おいらに与えなかったのか




これも試練なのだろうか




もうこれ以上奪わないでくれ

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