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究極の罰(2)

両親からプレゼントされた子犬は




アラスカンマラミュート




あまりメジャーな犬種ではないけど




一時期、人気NO1犬種になった




シベリアンハスキーに




似た犬種である




大きくなる犬種らしいが




もちろん子犬のうちは小さく




愛嬌のある可愛い子犬だった




名前をシーちゃんと名付け




両親はもちろん、おいらも可愛がった




最初は戸惑いもあったが




初めて飼う子犬に




おいらは心を奪われていた




ジョンの事は悲しい事だが




ジョンの分まで、この子を可愛がろうと




おいらは心に誓った






順調だった、何もかも




親父の仕事は、飲食店だが




軌道に乗り、店も繁盛していた




おいらも専門学校に入学し




自分の思い描く人生をスタートさせ




幸せだったよ、あの時が来るまでは






日本を襲った、バブル崩壊




今まで順調だった親父の店は




坂道を転がり落ちるかの様に




経営不振に陥ってしまった




銀行に多額の借金が残り




おいらの学費さえ、滞る様になってしまった




払えなければ、学校に行く事は出来ず




退学する事になった




それは仕方ない事だが




親父も経営する事自体難しくなり




家庭の中は暗くなるばかりだが




そんな家庭を明るくしてくれる存在が




シーちゃんだった





どんな時でも、元気にしている飼い犬を




見ていると、自然と家庭に笑顔が戻る




本当にありがとうシーちゃん






それでも日に日に、両親の言い争いが




激しくなり、おいらも暗く落ち込む日々を過ごす






シーちゃんの散歩を担当していたおいらだが




散歩にも行く事さえ止めてしまい




家に閉じこもる日が何日も続いた





毎日の様に、取立てが家に来ては




正直、散歩所ではない





居留守を使う日々が続き




半分ノイローゼになっていたんだと思う




可愛いはずのシーちゃんにさえ




怒鳴り散らす様になった






もううるさいな、お前なんかいなくなればいいんだ




いくら言葉の意味が分からないとはいえ




怒鳴られれば犬だってシュンとなってしまう






本心で言った言葉ではないが




まだ大人に成りきれていない




自分自身の言葉




この先、この言葉が




自分を苦しめる事になるとは




思ってもいなかった。

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