ブルーローズ <青いバラ>
1.序
ブルーローズ、青いバラ。
"青いバラ"は自然界に存在していない。存在不可能な花だった。
しかし、2000年代に遺伝子組換えにより、日本の企業が"青いバラ"を誕生させた。
その青い花の花言葉は「夢かなう・奇跡」。
ジョホールバル。日本サッカー界における歓喜の場所。奇跡が起きた場所。
諦めなければ奇跡は起きる。4年前の絶望から解放された場所。
すい臓がん。初期段階では症状が出にくい為、早期発見が難しい高齢男性に多い
がん。
ステージ3まで進むと手術による切除が難しくなり、ステージ4での5年生存率は
5%に届かない。
10代での発症は稀であるが、若年層での発症の場合は進行が速いといわれている。
我妻好正 17歳。すい臓がん発症、余命半年。
「検査の結果ですが…息子さんは、すい臓がんのステージ4です。リンパ節への
転移が認められます。余命は半年…1年は持たないかと」
「先生、治らない…のですか」
「病院に来られた時にすでにステージ3で手術による切除は難しい、出来ない
状態でした。もちろん、治療、化学療法は今後も続けます」
「そうですか…もっと早く気づいて、病院に連れてきていれば…」
「いや、すい臓がんは初期段階では無症状ですので。初期に見つかるのは
健康診断とか別の検査で偶然見つかるとかです。すい臓がんに限らず、がんは
細胞分裂時のミスコピーです。遺伝というのか、確かにがんになりやすい体質
が有る事は否定しませんが、多くの場合は偶然です。誰もが、がんになる可能性
をもっています。日本人の二人に一人が、一生のうちに何らかのがんになるとの
データもあります。確認です。息子さんに告知しますか。病名、余命の事」
「いや、どうしたら…本当の事を知ったら…」
「ここで、すぐに決めなくて結構です。時間をかけて結論を出してください。
告知直後は多くの患者さんは絶望感、虚無感を感じ、そして、うつ状態や不眠
とか大きなストレスを感じる事になります。
しかし、がんについて正しい知識を得ることで、前向きな考えに変わる事が
できます。自分らしい生き方を考えられる様になります]
「はい」
「医師の立場として患者様に対し診断結果、治療方針を真摯に伝える義務が
あります。本当の事を伝えた方が、治療はスムーズに進みます。疑心暗鬼になる。
治療に不信感を持たれる事はマイナスです。今後の治療を進めるうえで」
「はい…」
「告知の場には、親御さんにも同席頂き、病状、治療方針を納得できるまで
説明します。時間の制限はしません。もちろん、患者さん自身の希望を第一
に考えます」
「…」
「あと、難しいと思いますが、いつも通りを心掛けて下さい。安易な慰め
励ましの言葉は避けて下さい。頑張ってとか、大丈夫とか。そして息子さんの
言葉を待ってください。そして一緒に考える。決して親御さんの価値観を
押し付けないでください。大事な事ですが、おひとりで頑張りすぎない、自分
だけで解決しようと思わないでください。緩和ケアのチームが今まで通り
バックアップします。当然、私も…です」
2. フランス トゥールーズ
(声は届いています。はるか東のかなたから何百万何千万もの思いが大きな塊
になって聞こえてくる様です。遠かった道のりでした。本当に遠かった道のり
でした。日本の世界の舞台に初めて登場する相手はアルゼンチン。世界が注目
するカードです。)
ニッポン!ニッポン!
何だろう?遠くの方から聞こえてくるのは。何かの応援か?
何だ…これはワールドカップの初戦か?
これは夢。夢か…?自分は、どこにいるのだろう?ここはベットの上?病院か?
そうだ、お腹や背中が痛くなって入院していたんだ。とても痛くて。
自分は今生きている?死んでいる?死ぬのか?良く判らない。死ぬ?生きている?
生きる、生きるって何だろう。生きる意味って。
なぜ、人間…生きものは死なねばならないのか。いや、何故、生きるのか。死ぬ
ために生きる?生きる事は義務?権利?どっちだ。
義務、義務ならば放棄はしない。生き続けたい。
権利ならば、その権利を行使する。生きていたい。もっと生きたい。
永遠に続く命ってないのか… 永遠に続く…永遠に続く…、1.61…、1.6180339887…
何だっけ、これ、円周率?違う、何だっけ?
コンコンコン。
ノック? 誰か来た?
「お母さん、我妻君の容態どうですか」
この声は…藤木さん? 見舞いに来てくれたのか。
「いつも、お見舞いありがとう。今は鎮静剤が効いているのか眠っている。
時々、うわ言を言って。今も何か数字をブツブツと」
「これ、お見舞いです。バラの花。折り紙で作ったんです。青いバラ」
「わぁ、本物みたい。立体的で。本当に折り紙?青い色、綺麗ね」
「本当に折り紙です。青いバラって世の中に存在してない、自然界にはない花
なんです。だから、青い色、青いバラを作りたかった」
「そうなの」
「青いバラの花言葉、不可能っていうんです。最近、青いカーネーションが
出来たって事を知って。青いカーネーションも自然界に存在してなかったのが
品種改良だったか遺伝子の操作だったかで作ることに成功したって。
だから、青いバラもきっと出来る…奇跡的に青いバラができたら、そうしたら
不可能が可能になって…我妻君の病気も治る、治せる方法がみつかって…だから
願掛けではないけど青い色でバラを折ったんです。夢がかなう様に」
「ありがとう。枕元に置くわね。目ざめた時に見える位置に飾りましょう。
(あ~ここで笛です。ニッポン、ワールドカップの初舞台、アルゼンチンに
対して0対1敗戦に終わりました。
しかし2度の優勝の経験のあるアルゼンチンを、最後は足が止まるまでに
よく追いましたニッポン)
あれ、ここは競技場…? 藤木さんは?
白衣? 白衣の人がいる。ああ先生、先生が目の前にいる。ここは診察室だ。
「血液検査の結果だけど…チョット高い数値、気になる数値がありますね。
すい臓あたりの炎症の疑いがあります。精密検査、まずCTを撮りましょう。
早い方が良いなあ。え~と、2日後の午後に空きがあるから予約しますね。
その時、ご両親、どちらかでも良いけど一緒に来ること出来ますか?」
「多分、母親は大丈夫と思うけど…。何故ですか」
「今、高校生。2年かな?」
「はい」
「治療方針などについて、保護者、親御さんに説明しておく必要があるので」
「何か問題があるのですか…」
「CTの検査結果をみてみないと何とも。ただ、しばらく通院してもらう事には
なるかもしれません。詳しくは親御さんと一緒の時に。CTの結果がでた後に
説明する事になるので、時間は十分にとっておいてください」
「はい」
「では、2日後に」
「ありがとうございました」
3.ニッポン 東京
なんだろう、声援が聞こえてきた。
いや、声援じゃない。歌、大勢の人が声を合わせて…何かの歌だ。なんだろう。
あ~「翼をください」だ。ここは競技場?行った事がある…
ん?ピアノ? 今度はピアノ? ピアノが聞こえる。
ここは、競技場じゃない…音楽室? 学校の音楽室か?
誰、誰がピアノを…藤木さん? ああクラスメートの藤木さんだ。
「藤木さん、ピアノ上手いねえ。小さい頃から習っているの?」
「うん、家が音楽教室だからね。自然にというか強制的にというか」
「そうなんだ。藤木さんはピアノの先生を目指すの」
「う~ん、まだ判んない。でも、名前が音楽由来だから」
「名前が音楽由来?」
「私の名前はカノン。香る音と書いてカノン」
「カノンが音楽由来?」
「そう、パッヘルベルて音楽家がいたの、昔ね。17世紀頃かな。その音楽家の
有名な曲がカノン。カノンコードとかカノン進行ともいうわ」
「コード?進行って?何、それ」
「う~んとね。一定のコードを繰り返してるの。簡単に言っちゃうと輪唱ね。
この手法は色んな曲で使われていて「翼をください」もそう。あと「Let it Be」
やベートーベンの第9の「歓喜の歌」とか。カノンには「永遠に続く」って意味も
あるのかな。だから、名前は気に入っているの」
「永遠に続くって、未来永劫に命も続く、不老不死ってことかな」
「何、突然に命だ不老不死だって。チョット、オーバーね。でも、まあ、老い
ないっていうのか若いままって憧れる」
「若いままって、まだ10代じゃない」
「うん、そうだけど…老いない死なないってどうなんだろう。幸せなのかなあ」
「う~ん、少なくとも不幸ではないんじゃないかな」
「そうねえ……よく判んないや」
「そうそう、そうだ数学にも永遠があるな」
「何、数学って。まあ我妻君、数学大得意だもんね。よっ未来の数学博士」
「よせよ、博士って。無限に続く、それは無限小数だね」
「え~と、数学の話はいいわよ」
「でも、数学にも繰り返しがあるよ」
「数学に輪唱?」
「いや、輪唱とは違うけど循環小数とか…数列、そうフィボナッチ数列とか
面白いよ」
「フィボ…なに?」
「フィボナッチ、有名な数列。自然界に溢れている。だから日頃目にしているよ」
「ふーん。自然界にね…?」
「例えばヒマワリの種の配列、巻貝、アンモナイトとかオウムガイの巻き方が
有名かな」
「ヒマワリの種の配列?」
「ヒマワリの種って、円状な配置ではなくて渦巻きなんだよね」
「そうなの。まあ、真剣に見たことないけど。今度、真面目に見てみようかな」
「うん、21個、34個、55個、89個の数の順になっているから」
「何、その数値」
「1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233て続いていく。これが
フィボナッチ数列」
「へっ」
「前の数字を足した数が続いていくんだ」
「えっと全然判んない」
「1+1で2、1+2で3、2+3で5、3+5で8、5+8で13…て感じ」
「そういう事ね」
「で、この数列、隣同士の数値は互いに素なんだ。互いに素」
「互いに素。はて?」
「2つの数において正の公約数が1以外にない」
「ごめん、ついていけない」
「そう、ここからが面白い興味深い所なんだけど…あっ、そう黄金比は判るでしょ」
「黄金比って、人が美しいと感じる比率だっけ」
「そう、1:1.6180339887て続く無限小数の比率。まあ約5:8でもいいんだけど。
絵画のモナ・リザ。ミロのビーナス、パルテノン神殿にピラミッド。そう、浮世絵
の富嶽三十六景もそうだ」
「話が止まらいわね」
「まだまだあるよ。クレジットカードやトランプのサイズとか。どこかの会社の
ロゴマークにも使われていて」
「もう、いい。で、何で、何とか数列と黄金比が関係するの」
「フィボナッチ数列の隣り合うふたつの数の比が黄金比になっている。正確に
言うと限りなく近づいていくだけど」
「もういい難しい話は。何で数学の話になったんだっけ」
「カノンコード。繰り返しから」
「そうだった。我妻君、数学の話をすると止まらないのね」
「うん、まだまだたくさんあるよ。そうだな…」
「いい、もうお腹いっぱい」
「いや、でも、円周率も永遠に続くんだぜ。ずっと永遠に続く」
「もういい。話を変える。中学の時はサッカー部だったでしょ。我妻君。高校
ではやらないの?」
「うん、小さい頃から小学校からやってる連中にはかなわないし。元々、ノリ
で始めただけだから」
「ノリ?」
「うん、中学の時、Jリーグが始まった」
「それで、サッカー部に入ったの?」
「そうだよ。小学生の時は野球」
「何かミーハーね。野球、続けても良かったんじゃないの」
「う~ん。野球はね、いやな事が有って辞めた」
「チームメートともめたとか」
「いや、ただ野球自体に興味なくなったから」
「なんで?」
「色々とね。考えて」
「ふ~ん」
「もう、運動部はいいさ」
そうだ、何で野球やめたのだっけ? 監督となんかあったんだ。何だっけ…
何だっけ…
4.マレーシア ジョホール・バル
(ロペスが奪った。中田がキープ。まだ持っている。
ドリブルであがる。ドリブルであがる。
左足、どうか、こぼれている~岡野~~~)
何だろう、この声援、いや違う歓喜の声だ。
日本がワールドカップ初出場を決めたんだ。奇跡が起きた。
アジア最終予選、ホームで韓国に逆転負けし引き分け試合が続いて。
もう本大会出場は無理だと思ってたけど、不死鳥の様によみがえり。
第3代表決定戦では一度は逆転されたけど、追い付いて、そして延長で。
奇跡ってあるんだ。
ピー、笛が鳴った。
「我妻、何故、今シュートを打った。右にフリーな味方いただろう。
気づかなかったか」
「判ってました。でも、キーパーが前に出てたから」
練習での紅白戦で先生はよくプレーを止めて、何故そのプレーをしたのか、選択
したのかを質問してくる。きちんと説明すれば怒らない、自ら考え判断する事を
求めてくる。
「周りを見ろ。状況は刻一刻と変わっていく。1秒前の最善なプレーが、今の最善
のプレーとは限らない。常に頭を働かせろ。次の事、未来を考えろ。頭をフル回転
して考えろ」と繰り返し言ってくる。
サッカー部の顧問の先生は、自分で考えてプレーしろ。結果に対しては自分で責任
持てと口すっぱくして言う。
誰かの指示ではなく自分の判断でプレーを選択する…何か楽しい。
5.カタール ドーハ
(手元の時計では今45分になろうとしています。このワンプレーでしょう。
このワンプレーでしょう。ショートコーナー、切り返した、中、ラストパスを
送る。ヘディングシュート……決まった…)
ドーハの悲劇…か。思い出したくない。何とも言えない気分、悲壮感絶望感が。
「我妻、チョット来い」
誰、俺を呼ぶのは…あ、監督、今は小6か。
「バントのサインを見逃したな。それとも無視したか」
9回裏、ノーアウト1塁2塁。1点負けている。1塁ランナーが帰れば逆転サヨナラ。
打席の俺へのサインは、送りバント。
送りバント…このピッチャーのボールなら絶対ヒットを打てる。
事実、前の打席は2塁打と3塁打、そしてフォアボール。ピッチャーは絶対俺に
ビビッている。甘い球が絶対来る。そしたら左中間を抜いてサヨナラだ。
それなのにバントしろと…
来い、ど真ん中。よし!来た!ど真ん中だ。俺は思いっきりバットを振りぬいた。
カキーン。いい音だ。レフトもセンターも背を向けて走っている。
1塁ランナーも余裕でホームイン。逆転のサヨナラ2塁打、どうだ。
「返事をしろ。我妻。サイン見落としか」
「いえ、バントのサインは判っていました」
「また、サイン無視か。今回で何度目だ」
「ど真ん中のボールがきたので…」
「もう一度、聞く。サイン無視か。故意のサイン無視なのか」
「はい…サイン無視です」
「結果としては試合に勝った。でも、それは結果論だ。サイン無視はチームとして
容認できない。試合に勝てば良いという事ではない。野球はチームプレーなんだ」
「でも、監督、チームの為に自分なりに考えて」
「黙れ!判断するのは監督だ、お前ではない。監督の指示に従えない選手は
使えない。次の試合、おまえはベンチだ。」
「…」
何だか納得できない。何故、個々に判断してはいけないんだ。
そうだった、釈然としなくて野球、やめたんだ。
でも、今、改めて考えると監督の言っていることは正論か。
う~ん、指示命令は守るべきなのか。反論しちゃダメなのか。
でも納得できない指示は守りたくないし。
野球。病気が治って退院したら、また野球やろうかな。サッカーでもいいか。
青空の下、思いっきり走りたい。走ってみたい。
でも、退院していきなり運動は無理か。監督、コーチから始めるか。
野球の監督って、将棋の棋士みたいなものかな。選手は将棋の駒。
自分の考え判断で駒を動かす。将棋の駒の動きは決まっている。勝手な動きは
しない。結果は監督に直接帰ってくる。勝敗は指し手の腕次第。
サッカーはどうだろう。将棋とは違うな、何だろう。
ロボット、そう選手は自律型のロボットだ。自分自身で判断し行動する自律型。
そのロボットの動作プログラムは、そう監督が作る。
色々と条件を考えてプログラムを組む。後はロボットの判断にゆだねる。
条件の洗い出しが不十分だと、ロボットはまともに動かないだろう。
でも、充分に考え抜いてプログラムを組めば、ロボットは思った以上に良い動き
をするだろう。
将棋の駒、棋士。自律型ロボット、プログラマー。
人に使われる事で活きる、人を使って活きる。自分はどっちのタイプだろう。
…
ふ~、まずは病気を治さないと。治ってからの話だ。
いや、そもそも俺の病気は治るのか?治らないで死ぬのか…死ぬのだったら
考えても意味はない。考える事自体は無駄だ。未来はないのだから。
死ぬ、死ぬという事はどういう事だろう。死んだら肉体は焼かれて骨だけに
なる。その骨はどうなる。ずっと残り続けるのか。
精神は?精神はどうなる。天国とか地獄とかに行くのか。
いや、そもそも天国や地獄って存在しているのか…判らない。
精神は未来永劫、何らかの形で存在し続けるのか…判らない…
6.フランス リヨン
人は細胞で出来ている。細胞の死が人間の死?
でも細胞は分裂を繰り返し、新たな細胞が生まれ続けるのでは?
そうであれば人間…生物は永遠に生き続けるはず。
でも死は必ず訪れる、皆公平に。細胞分裂が終わる時、それが死か。
あるいは細胞分裂が暴走して、異物が体の中に出来て正常な細胞を駆逐して
しまうからか。どうすればいい?
そうだ、細胞が元にもどる、若返っていけば…若返っていけばいいんだ。
病気になる前に戻ってやり直す。そして、また中学生になり高校性に…でもまた
病気になってしまったら…
そしたら、また小学生に戻れば…そう、永遠に繰り返す。永遠に。
ふふふ、何をバカな事を考えているんだろう。そんな事が起こりえるはずがない。
死んだら生まれ変わるのだっけ。今度は女の子でもいいな。
いや、人間でなくてもいいのか。
鳥、そう鳥がいいな、大空に翼を広げて自由に飛ぶんだ。
カメ…カメっていうのも良いかも。毎日毎日、日向ぼっこ…
もしかしてミジンコっていうのも。でも、すぐ魚に食べられて死んじゃうのかな。
その魚も動物に食べられて…
そうか、動物…人間に食べられて、その人間の中で生きる。
いや、これは生きているっていうのか。命としては続いている…のか。
判らない…又、声援が聞こえてきた
(名波…相馬です…ロペスへくる!ロペス、ヘディング!もうひとつ流した!
ニッポン! 1点を返しました。
ニッポンのワールドカップ史上の初ゴールは…中山によってもたらされました!)
3試合で1点しか取れなかった。勝ち点はゼロ。
次は日本での開催か。見られるかなぁ…勝ち点とれるかなあ。
地元開催だからグループリーグは突破しないと。どうだろう。
その時まで生きているかなあ。病気、治っているかなあ。
日本開催まで、あとどの位だろう。
…
今日は何日だろう。そもそも何月になったんだ。今は春?秋?
すごく長い時間が過ぎた様な気がする。ずっと眠っていたのか。
いや、勘違いか。一晩だけか。
なんだろう、遠くに光が見える。小さな光。
小さな光が、こっちへ向かってくる。大きくなってくる。光に包まれそうだ。
光の中になんだろう、青いものが見える…
花?花か? 青い花。青いバラか…
(終わり)
・1993年10月28日 カタール ドーハ
対イラク 実況:テレビ東京
・1997年11月16日 マレーシア ジョホールバル
対イラン 実況:フジテレビ
・1998年6月14日 フランス トゥールーズ
対アルゼンチン 実況:NHK
・1998年6月26日 フランス リヨン
対ジャマイカ 実況:NHK
・2002年 世界初の青いバラ誕生
・2009年 青いバラ商品化