8わ.ハズレスキルさん②
ハズレスキルさんが もりを あるいていると ごうごう という おとが きこえました。
「なんの おとだろう?」
ハズレスキルさんは おとのする ほうへ いきました。
「わっ! すごい!」
たくさんの ちゃいろの みずが かわを いきおいよく ながれて いました。
ごうごう というのは あめが ふって みずが ふえた かわの おとでした。
ハズレスキルさんは チートスキルくんに いわれたことを おもいだしました。
「あぶないから ちかづいたら いけないんだ」
すこしくらい だいじょうだと おもっていても なにが おこるか わかりません。
ハズレスキルさんが こやに かえろうとした ときでした。
「きゃあ!」
ちかくで だれかの こえが しました。
ハズレスキルさんは まわりを みました。
「あっ! たいへん!」
かわの すぐそばで ゴブリンちゃんが たおれて いました。
もしも じめんが くずれたり たちあがろうとして すべったら かわに おちて ながされて しまうかも しれません。
「はやく たすけに いかないと!」
ハズレスキルさんは ゴブリンちゃんの ところへ いきました。
「ゴブリンちゃん だいじょうぶ!?」
「あしが いたくて うごけないの」
「それなら わたしに つかまって。 ここは あぶないから はやく はなれよう!」
ハズレスキルさんは ゴブリンちゃんを ささえながら いそいで かわから はなれました。
「ここまで くれば きっと だいしょうぶ」
「ありがとう ハズレスキルさん」
「ゴブリンちゃんが ぶじで よかったわ。 どうして あんなところに いたの?」
「かわの ようすを ちかくで みたかったの。 あめが やんでいるから へいきだと おもったけど ころんで しまって とても こわかった」
ふたりが きに もたれて やすんでいると チートスキルくんが とんできました。
「ああ よかった。 こやに だれも いなくて しんぱい したよ」
「ごめんなさい チートスキルくん。 じつは わたし かわに いったの」
「ええ!?」
チートスキルくんの びっくりした ようすを みて ゴブリンちゃんが いいました。
「ちがうの チートスキルくん。 ハズレスキルさんは わるくないわ。 ころんだ わたしを たすけて くれたの」
ゴブリンちゃんと ハズレスキルさんは さっき おきたことを しょうじきに いいました。
チートスキルくんは こまった かおを しながら いいました。
「きもちは わかるけど あめが ふった ときの かわは ほんとうに あぶないんだ。 いわれたことは しっかり まもって ほしいな」
「ごめんなさい チートスキルくん」
「そして ハズレスキルさん。 なにも なかったから よかっただけで きみも あぶなかったんだよ。 だけど ゴブリンちゃんを たすけてくれて ありがとう。 もしかして スキルを つかった?」
「いいえ つかって いないわ。 スキルを つかっても なんの いみも ないもの。 だって わたしの スキルは」