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意外な顛末……二人の関係は? 乗馬編

親しくなるためのピクニック妙味親近感が?


その日はあの時の様に天候に恵まれて絶好の乗馬日和だ。


出発前に二人にはある心配事がありました。

そうそれぞれの愛馬

カイザーとカイゼリンです。


僕は先にカイゼリンの手綱を手に正面の門前で待ち合わせます。

昨夜からカイゼリンには再三お世話しながら懇々と言ってきかせる。


「僕の愛馬は御前だけだカイゼリン。

 この前のようなこが起こったらもう一緒にいわれないから。

 明日は大人しくしておくれ。僕の愛馬は御前だけだ」


呪文の様に繰り返し繰り返し。

わかってくれるだろうか?

想像しただけでたまらない。カイゼリンお願いだ大人しくしてくれ。


あぁ~あんなことがおこりませんように女神ディア

私をお助けください。


そう祈った時に馬の足音が聞こえる。


パッカパカパッカ……来たみたいだ。


ヴィクトリアーヌはこの前とは別の色の乗馬服を着ている。

女性のパンツ姿も乗馬服でも珍しい。

大体の貴婦人はスカートの下に短いパンツを履いて横乗りで乗馬する。

活動的な公女様なんですね。まあアそうかそうでないとあれはないよな。

カイザーは不機嫌そうだけど前回のように暴れようとはしていない。


「お待たせしました。大公子殿下」

穏やかな笑みが零れている。


「えっとこんにちわ。

 早速だけどそのお互いの敬称はやめないかい?

 でないとほら。親しみやすく見えないし……」


恥ずかしい何故か。

なので目線を彼女から外していってみた。


「じゃあシャルル様?」

「ん~とりあえず殿下よりいいか」


「じゃあ君はどう呼べば?」

「皆にはトリアと呼ばれているわ。」

「じゃトリアだね」

ちょっと恥ずかしいので早口で切り上げる。

基本的には家族でもフルネームでいうのがフェレイデン式、略名はアフェルキアの慣習のようだ。


さて僕達の愛馬は確かにこの前みたいな険悪な態度ではないものの、ほとんど無視していると言っていい。まあ喧嘩するよりもいいか。


「さあ行こうか?」


挿絵(By みてみん)


二人で愛馬に騎乗してゆっくり前を進む。

今日は走るのはご法度と前もって相談済。あんな状態は御免こうむりたいのです。

挿絵(By みてみん)


副執事長に頼んで軽食と飲み物を持参して草原の傍の泉でピクニックの予定です。


意外に二頭は並んで歩んでもお互いを無視するようにひたすら前を見て堂々と進んでいきます。

多分トリアもよくいってきかせたのだろう。

なんとなくわかる。

ありがとうカイゼリンも偉いぞ!!頭をなでなでしてあげる。


会話が続かない何を言えばいいのか?

こういう時は……。困るんだよな。

ちょっと困っている僕を感じたのかほとんど前を見ながらトリアが口を開き始めた。



「私は女の子が好む事は出来ません。

 例えばダンス、刺繍、楽器の演奏、おしゃべり苦手です。

 なのでシャルル様が大公になられてもなんの助けも出来ません。

 それに結婚して夫に尽くし母として人生を捧げるなんで性分ではありません。

 結婚しないというわけではありませんが。

 それだけが全てとは思っていません。

 なのでシャルル様の望む妻にはならないでしょうし……」


じーとトリアの話を聞きながらそういえばそんな近い事言ってた人一名知っていますよ。

姉上です。

姉上は完全に独身王族主義でしたが。

まあ姉上はしかたなく嫁いでいってしまいましたがね。


「別にいいんじゃない?

 結婚すべてじゃないしね。

 僕はまあ結婚には多くは求めないさ。

 あるとしたらWINWINの関係かな。

 あえていうならね」


僕がそう言ったら、カイザーの足が止まる

いや正確にはトリアが手綱を引いたんだ。


僕半歩僕が先に進むとすぐにカイゼリンの手綱を引いて足を止めた。


「……」


どうやらトリアは僕の意見が予想外だったようだ。

ものすごい目を大きく見開いて僕の顔を信じられないというように目を丸くして僕を真正面から見つめている。

まあそういう反応だろう。

僕は慣れている大体こんな感じだ。いままで。


「え!!!」


トリアは少し頬が赤くなったと思ったらすぐに前を向いてカイザーの足を進め、僕もあわててそれに続いた。


一時間ほど爽やかな風が吹く草原を進み、目的の泉が目の前に現れた。


小さな木陰の枝にそれぞれ見えないように二頭を括り付けて二人で水を与え手に野菜を食べさせた。


泉の水面に風が吹いて波紋が広がる。

木々の葉は風にざわめきを誘いまるで音楽でも奏でているようだった。


僕はカイゼリンに乗せていた食事と楽器を手にしてシートを敷いて二人分のクッションを敷いてから食事の準備をする。


トリアは茫然としていた。

どうも貴族男性がこういうのをしている所を見慣れていないようだ。


「一人でこんな感じで過ごす事があるの?」


不思議そうに聞いてくるトリアはやはりこの行為が珍しいようだった。


「あぁ。一人でいたい時もあるからね」


また信じられないといった様子だ。


「信じられないわ。貴族男性が使用人も連れずに外出するのもそうだけど。」


そりゃそうでしょう。えっ!!ちょっと待ってそういうトリアも……。


まぁとりあえず食事を用意して食べながら話した方がいいだろう。


ピクニックバックから飲み物、パン、ハムや野菜、チーズを取り出して前に並べてまずはトリアを座らせて僕も座る。


「さあ食べてはずは食べて話そう。空腹の時はだいたい良くない事しか言わないからね」


まず葡萄酒を一口飲んでバゲットを食す。


「いただくわ」

トリアは皿にバゲットにチーズを置いてナイフで切り分けてフォークでぱくりと食べて葡萄酒を飲む。


「美味しいわね」

にっこり安心したように言った。


するとシャルルがゆっくりと話始めた。


「僕んちはね。ちょっと他家と違ってね。

 父上の母上愛がものすごくてね。

 子供の頃から僕達そっちのけで母上命だったのさ。

 僕なんかたまにもらう母上のお乳を目隠しで飲まされていたんだよ。

 乳母に聞いてビックリさ」


半分あきれ顔で告白する。

なんだか大神殿で神官に懺悔してる気持ちだ。


「え?クスッ」


トリアはびっくりしながらもほほえましそうに思えて笑みが漏れる。


「まあそんなに人を愛せる父上はある意味すごいなとは思うけど。思うけど。

 小さな頃から見せつけられると本当にドン引きだよ。

 僕達が成長して益々ひどくなる一方だし。」


「確か御母上様は大公様の剣の指南役でしたわね。」


「あぁ」


「フェレイデン帝国でアレキサンドリア女将軍といえば私の国でも有名ですもの。

 私の理想ですわ」


あ~いるいる母上の崇拝者


「まぁ母上普通だからね。変なのに捕まえられて可哀そう」


トリアはそんな話を聞きながらシャルルが少しクールなのはそういう家庭環境なのか。

と理解して言った。


「そうかしら? 私は御母様は幸せだと思うわよ。」


「なんで?」


「我が家は公家傍流のだけど。両親の仲はかなり冷え切っているわ。

 貴族家庭ではよくあるでしょ。

 まあ喧嘩もなかったけれどね。

 それぞれに恋人がいてお互いが割り切っていたから。

 私は自立したいの。

 それを理解してくれる相手が希望なの。

 まあ無理でしょうからね。

 家庭人にはなりたくない。

 自立したいなんてね。

 そんな相手誰も求めないわよ」


「あの……聞いていい?僕に一人で出かけるのは信じられないって言っていたけど。

 初めて会った時も君も一人だったよね。」


「えっ?」


トリアの意外な疑問形だ。


「初めて会った時ちょっと邪魔っていったろう。

 それと見合いを断れって」


やっと疑問を聞けると少し期待するシャルル。


「そういえば狩猟中に邪魔になった乗馬してたのシャルルなのね。

 ごめんなさい。知らなかったわ。

 丁度鹿を追ってなのよ。大物でね。ついつい……。

 それと私と弟は年が離れているから一人っ子のようなものだし。

 そもそも一人が好きなのよ。


 お見合いはね。あれは私の敬愛する御祖母様のたっての願いでね。

 私からは断れないと判断したの。

 あのお二人私達の性格がかなりわかっているからお見合いと言わずに

 接待なんてごまかしたのね。

 御祖母様の孫の中で女の子は私だけなの。

 どうしてもフェレイデンに嫁入りさせたいみたいでね……」


「なんで君なの?なんで僕なの?」


「………」


トリアはそれ以上は口にしなかった。

それは知らないというよりも言いずらいというような無言の意思表示だったかもしれない。

無理には聞くつもりもないのでそのまま話題を変えて父の皇太子辞退の話や母とのなれそめ、母の将軍としての活躍、誘拐事件などの話題で盛り上がった。


今日は意外な収穫が出来た。

少しトリアの距離が縮まった気がした。


あれ???なんか違う方向に行ってないと思うのは僕だけ?



二人の距離が一気に近くなるさて今後はどうなるのでしょうか?

次はカードゲームを楽しむ会にします。どうなる二人は?

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