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運命の再会 1

「新しい担当?」


「そうです。大林は優秀ですよ。最近は遠西寺先生の担当で評判いいんです。私の後任は彼女が適任かと」


「やめてください。優秀だなんてハードルを上げないでください。先生が幻滅したら嫌なので」


「自信持て。遠西寺先生からは大絶賛だったぞ」


「それがハードルを上げているんです」


「そうか?でも本当のことだけどな」


「あの、お取込み中すいませんが、本当に彼女が僕の担当なんですか?」


大林藍おおばや あいです。お願いします。前担当の永田以上に先生を全力でバックアップします」


「ありがとう。期待しています」


「はい」



藍の笑顔は白藍の姫と面影が重なった。旭は白藍の姫が同じ顔で現れるのは知っていた。それは旭自身も同じ容姿だからだ。だが現実に目の前にすると前世の切なさと愛おしさが溢れて抱きしめたい衝動が抑えきれない。それを押さえるために顔をそむけて拳を握り締めた。


「佐藤先生、どうしました?」


「徹夜が続いて疲れて」


「大丈夫ですか?」


旭の顔を覗き込む藍が目に入った。心配そうに旭の額に手をおいて熱があるか確かめた。


「えっ」


「良かった。熱はなさそうですね」


「大林、お母さんか?」


「永田さん、やめてください。一気に年取った気がします」


「通りで、目の下に隈があるし目尻の皴もあるような」


「もう、怒りますよ」


「嘘、嘘。冗談。大林、仕事初めに先生を送っていけ。はい、会社の車のキー」


「はい。佐藤先生すぐに車を店の前に回してきます」


旭の返事を聞かずに飛び出して行った。永田は笑いながら旭に声をかけた。


「彼女は私以上に先生の作品の大ファンのようです。先生の担当になりたいと交渉してきました。そんなことをしなくても彼女に担当を決めていたのに」


「そうなんですか」


「ええ、私は彼女に期待しています。彼女は先生を変える。新しい境地を開く」


「新しい境地?」


「そうです。先生は冷たい外見とは裏腹に内に秘めた情熱がある。私はそれを引き出せなかった。彼女は情熱に溢れている。他に伝染させるくらいの情熱を持っている。彼女は必ず先生を変える」


旭のスマホが鳴った。ポケットから出すと見慣れない番号を見た。永田が横から番号を確認する。


「先生。大林からです」


旭はスマホの電話に出た。

「はい」


「先生、店の前で待っています」


「はい、今から行きます」


  旭は立ち止まていた。めまぐるしく動き出した運命に戸惑っていた。会いたいと思っていた気持ちが募っていたのに前に現れた途端、前世の悲劇が繰り返すのではないかと恐怖を感じた。


「さあ、行きましょうか先生」

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