6 探したけど見付からない
一時期、個人作製のホームページ(以降HP)を見て回るのが好きだった事がありまして。
最近では、すっかり数を減らしましたが、以前は多種多様なHPがありました。
例えば、汲み取り式トイレの画像や臭突を集めたHPなんかあって、世の中には色んな趣味の人がいるもんだなぁと感心した物です。
個人的にお気に入りだったのは、高齢と思われる人が作ったであろう趣味のHPです。
言い方は悪いけど、勤め人より時間があるのか情報量が半端なくて、ほぼデータベース状態になってたりするので、見ているだけでも楽しかったり。
ただ、そういったHPがある日を境に更新が滞り、しばらくするとHP自体が無くなってたりするんですよね。
恐らくは管理人が亡くなったのだろうと思います。無料のプロバイダとかは別として、有料の所は家族が契約を解除したりしちゃうのだろうなと。
SNSなんかは割と故人のアカウントが残ってたりしますが、HPは無くなる時は呆気なく消えてしまいます。
一時期のジオシティーズ終了とかも一気に面白いHPが無くなって残念だったけど。
そんなこんなで、今でも印象に残っているサイトがあります。
とある高齢の方が、自伝的に若い頃の事を書き綴った文章を掲載していたHPです。
こう言ってはなんだけど、割と昔のHPを開設していた高齢の方ってタイピングに慣れてなかったりして変な文章になってる人が多い印象だけど、そのHPは、とてつもない文章量かつ、誤字脱字も無く綺麗な文面だったのを思い出します。
恐らくは、教育者か文章に携わる仕事等をしていた人だったのかなぁと勝手に推測したものです。
またその内容が面白く、表現が上手いのですよ。昭和三十年代に大学生だったという製作者が、当時のバイト先の純喫茶での出来事を綴った話で、偶然ウェイトレスと一瞬目が合っただけの話をとても印象的に書かれていて、その情景がこちらにも伝わる感じでした。
他には、今でいう合コンをやって、金持ちのボンボン達が女子大のお嬢様達をナンパして持ち帰る話とかリアルに書かれていて、当時の流行や風俗等について資料的価値があるんじゃないかと思うぐらいに詳しく書かれていました。
しかし、あまりの文章量にとても読み切れないって事で、HPをブックマークして放置してるうちに仕事も忙しくなって忘れてしまったのです。
その間に、PCの買い替えやらでブックマークも分からなくなってしまって、ある日思い出してそのHPも探したのですが、結局見付けられなくなりました。
製作者の方の年齢を考えると、存命してるかは分からないし、恐らくはもうHP自体も存在していないかと思います。
そう考えると、無くなってしまうには惜しい個人HPって多かったなぁと思う次第でございます。