21 短い間の友人
そろそろ新生活の季節ですね。
進学なんかすると、見知らぬ人達が沢山でクラスに馴染めるかどうかを心配したものです。
筆者が中学生に上がった時は、卒業した小学校の他に、他の二校の小学校と中学が一緒になりました。
既に少子化が始まっていたので、上の世代は一緒になる小学校がもっと多かったそうです。
余談ですが、微妙な田舎だったので、既に時代遅れとなりつつあったヤンキーが普通におりました。
男子は短ランにボンタン、希に長ラン。女子は無駄に長いスカート丈でスケ番みたいな感じ。
もっとも、翌年には急にスカート丈が短くなっていて驚きましたが。
当時は膝上のスカート丈でも十分にミニ扱いで、普通の生徒は膝下丈が一般的でした。
隣の田舎町からヤンキー集団が自転車で殴り込みに来た事もありました。
まさに『チャリで来た』。
殴り込みなんて、マンガの中だけの事だと思っていたので、実際に見た時は感動しましたよ。
それと同時に、ここは田舎なんだなあと痛感。
それはさておき、入学して早々に真後ろの席のT君と仲良くなりました。
ちなみに、以前に書いた色々駄目な友人のT君とは別人です。
その彼は不思議な雰囲気を醸し出していて、どこか浮世離れしているのですよ。
そんなこんなで、T君とは学外でも遊んだ記憶があります。
そのT君ですが、彼の家庭はちょっと変わっている様子なのです。
彼曰く、小学校からバイトをしているとか。
聞けば、家がいわゆる土建屋らしく、家の仕事を手伝って小遣いをもらっているとの事。
自分は小遣いがとても少なかったので、ある程度自由に使えるお金があるT君を本気で羨ましいと思ったり。
しかし、T君は次第に学校を頻繁に休むようになりました。
本人が言うには、『バイト』が忙しいと。
T君はあまり勉強が好きじゃなかったみたいなので、それも理由の一つだったかもしれません。
自分も欠席の多いT君より、別のクラスメイトと仲良くなっていきます。
そして、衣替えの季節がやってきました。
男子は半袖のワイシャツ、女子は半袖のセーラー服です。
だけど、T君はずっと冬服のまま。
どうしたのかと尋ねると、親が夏服を買ってくれなかったと言うのですよ。
当時は適当な親だなあと思いましたが、今になって思うと色々察してしまいます。
その上、給食費も払ってくれてなかったみたいなのです。
久々に登校してきたT君ですが、彼の給食だけありません。
みんなが楽しく給食を食べているのに、T君だけ独りぼっちで机に座ってる様子を見て、居た堪れなくなりました。
だけど、自分にはどうしようもありません。
薄情に思われるだろうが、週に一日登校すればマシなレベルのT君とは既に『顔見知り』程度の仲だったのですから。
その時、担任はどうしたのかと言うと、『ちゃんと学校に来なさいね』とだけ言ってました。
正直、関わりたくないって感じなのでしょう。
その当時は、先生ならなんでも解決してくれると本気で思っている脳内お花畑でしたので、なんてひどい先生なんだと本気で思いました。
どの口が言うんだって話です。
その日を境にT君は登校してくる事がありませんでした。
そして、中学三年の秋ごろ、地元のゲーセンで遊んでると、ニッカポッカを履いた金髪の兄ちゃんが親しげに話し掛けてきたのです。
内心、ヤンキーに絡まれたと心臓バクバクでしたが、そいつはT君だったのです。
あまりの変貌ぶりに驚きましたが、『最近どうよ?』みたいな会話を交わして、それっきりでした。
T君の家庭環境は詳しく知りませんが、ごく普通の家庭で育っていたら、彼とはもっと長く友達でいられたのだろうか。そんな詮無い事を考えてしまいます。
一学期にも満たない間だけの友人だった彼は、元気だろうかと思う今日この頃でした。




