第19話
いよいよだ。
村の自室にて、俺はその時が来るのをじっと待ち続けていた。
大きな高揚感が体全体を包んでいる。早くその時間が来てほしいと心から願っていた。
そう、六月だ。
ガチャ画面を見ていれば、一秒、また一秒と残り時間が減っていくのがわかる。
四月から五月とガチャの入れ替わりを体験している身としては、もちろん六月への切り替わりも期待してしまう。
これで五月までしかないスキルです、と言われたら俺は改めて神様を恨むだろう。
現在のポイントは10000ポイントだ。これだけあれば、六月のガチャで手に入るであろう新スキルの制覇だってできるかもしれない。
そんな期待感とともに、俺は日付が変わるのを部屋で待ち続けていた。
あと少しという時間になったところで、玄関の扉がノックされた。
扉を開けるとリビアがいた。家前に置かれた犬小屋では、ルフナが目をこすっている。
「クレスト様、起きていらっしゃったんですね」
「興奮して寝付けなくてな」
リビアを部屋へと招き入れる。
彼女も俺の新しいガチャを見たいと言っていたので、夜に待ち合わせをしていた。
部屋に上がったリビアとともに並ぶようにベッドに腰掛ける。
「あと少しですね」
「そうだな」
リビアの方にガチャ画面を見せると、彼女はそう言った。
リビアが柔らかな体を押しつけてくる。その頭を軽く撫でると嬉しそうにさらに体を寄せてきた。
そんなこんなでいつものようにイチャイチャとして時間を潰していると、日付が変わった。
画面はぴかっと一瞬光った。
「クレスト様。いよいよですか?」
「あ、ああ……」
俺は唾をごくりと一度飲み込んでから、その画面をじっと見た。
まずガチャがあることにほっと胸をなでおろす。
そして、次は――その中身だ。
『六月記念! アサシンガチャ開催!』
そう書かれていた。
……ピックアップされているスキルは――『アサシン』、『変装』、『弱点看破』の三つだった。
「……アサシン、ですか? それはどのようなスキルなのでしょうか?」
新しく獲得できるスキルについて、リビアは首を傾げながらそう言った。
「殺し屋、だな」
「殺し屋ですか。なんだか物騒ですが、戦闘能力が上がるというのでは良いの……でしょうか?」
「そうだけど。アサシンっていうのは陰から殺すのが得意だったはずだ。今のところ、正面での戦いが多いからな。活かせるかどうかは分からないかも」
「確かに、そうなるとどちらかというとスフィー様辺りが使えたほうが良いスキルかもしれませんよね」
それは確かにそうだ。
スフィーは色々なものに姿を変化させられるため、まさにアサシンなんて向いているのではないだろうか。
ただ、新しいガチャはこちらのガチャ欲を煽るには十分だった。
アサシンのスキルはどのような効果なんだろうか?
変装、弱点看破に関しては、おおよそ理解はできるが。
とにかく、これらのガチャを回してスキルをゲットしたい。そして、使ってみたい!
「早速回していこうか」
「そうですね。頑張ってくださいっ」
リビアの応援を受けながら、俺はスキルガチャを回した。
10000ポイントあるので、ガチャは二度回せる。
まずは十一回ガチャだ。
少しの緊張とともにガチャを回す。
眼前に宝箱が出現する
その宝箱に触れると、いくつもの玉が出現してきた。
「銅色5つ、銀色3つ、金色2つ、虹色1つですか。今回の場合は、虹色の玉が多い方がいいんですよね?」
「そうだな。ただまあ、今は何でも嬉しいけどさ」
リビアにそう返しながら、俺はスキルを確認していく。
《銅スキル》【力強化:レベル1】【力強化:レベル1】【耐久力強化:レベル1】【俊敏強化:レベル1】【俊敏強化:レベル1】
こちらはいつもの通りだ。
次の銀色の玉を確認していこう。
《銀スキル》【剣術:レベル1】【採掘術:レベル1】【建築術:レベル1】
これも見覚えのあるスキルたちだ。
剣術はもちろん、建築術も使い勝手が良いので俺としては大当たりだ。
次は金スキルだな。
《金スキル》【火魔法:レベル1】【罠魔法:レベル1】
ん?
俺はそこで新しいスキルがあったことに気づいた。
罠魔法? これは一体なんだろうか?
次の虹スキルは気になったが、罠魔法も気になったので、ひとまず一度調べてみることにした。
『罠魔法 ある条件下で発動する魔法をその場に設置可能』
……なるほど。
これは狩りなどに便利かもしれない。
後は、村の防衛力を高めるのとかにもだ。
見てみると、この罠魔法単体では機能しないようだ。
例えば、罠魔法を発動し、そこに火魔法を込める。条件として、踏んだときに発動、とかを設定することでその条件が満たされた場合に発動するようだ。
結構細かく条件は設定できるようだ。
レベル1でもかなり使えるんじゃないか? と思っていたが、どうやら込められる魔法もレベル1相当のものらしい。
もう少しレベル上げないと使い勝手が悪そうだ。
さて、次はいよいよ虹スキルだ。
一体どれが出てくれるんだろうか。
俺は虹色の玉へと手を伸ばした。




