第39話
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ワーウルフの報せを聞いた俺は、すぐにルフナに乗って走り出した。
ゴブリアとワーウルフは、俺の召喚士のスキルを使用して、少しでも離れたらすぐに召喚して同行させた。
スライムの村についたのはすぐだった。
酷い状況だった。
恐らくは強化されたのだろうワーウルフたち相手にかなり苦戦しているようだった。
近くの物陰に隠れて様子をうかがう。
「く、クレストさん、何をしているんですか!?」
「今は絶好の挟み撃ちができるチャンスだ。少し静かにしてくれ」
「は、挟み撃ちって……数は向こうが圧倒的に多いですよ? 俺たちはたかが四人じゃないですか」
「あそこに仲間はいるだろ?」
「どうやってですか!」
「こうやってだ」
俺は、すぐに召喚を行い、比較的傷の浅い魔物たちを俺のもとに集める。
驚いた様子のゴブリンとワーウルフたちは俺に気付いた。
皆が声を上げそうになったので、俺は人差し指を口にあてる。
「静かに。全員ポーションを今すぐに飲め。そのあとすぐに、奴らの背後に全員を召喚する。そこから奇襲を仕掛けてくれ」
「しょ、召喚ですか?」
「ああ。さっき俺が呼び戻したみたいにな。三秒だ。準備してくれ」
俺が時間を指定すると、皆が慌てた様子でポーチからポーションを取り出して飲んだ。
魔物たちの数は十五名ほどだ。だが、復活した彼らの目にはやる気が溢れている。
「行くぞ!」
俺が彼らを召喚すると同時、駆け出した。
ゴブリン、ワーウルフたちがワーウルフへと迫る。突如背後から現れた彼らに、北のワーウルフたちは驚いたようだ。
そして、そちらの混乱に注目が集まる前に、俺が暴れる。
「怯むな! まだ、戦いは終わっていない! 立て、剣を握れ! 俺に続け!」
剣を振り下ろし、北のワーウルフを切りさいた。驚いたように、襲い掛かってきた北のワーウルフ。
その一撃をかわし、力いっぱいに剣を振りぬいた。
北のワーウルフが倒れ、その体を踏みつけるように次のワーウルフへとびかかる。
次々に仕留めていく。
その中で俺は、倒れていたオルフェと首を掴まれたリビアを見つけた。
瞬間、怒りが沸き上がった。リビアを傷つけようとしていた彼に対してだ。
まるで体内で熱が溢れたように、体は熱くなり怒りとともに剣を振り下ろしていた。
ワーウルフ……恐らく、彼がワーウルフキングだ。彼は俺の剣を受けとめた。
だが、俺はさらに力を籠め、その体を吹き飛ばした。
解放されたリビアを抱きかかえると、彼女は頬をそめこちらを見ていた。
「……クレスト様。来てくれると思っていました」
「ポーションを飲んで休んで周りの援護に向かってくれ」
「はい」
リビアはすぐにポーションを口に運ぶと、近くの戦闘へと向かった。
俺は体を起こしていたオルフェを見る。彼もまた、ポーションを取り出して口に運んでいる。
「大丈夫か?」
「……すまない。オレでは、奴には……勝てなかった」
悔しいだろう。彼は自分の手で、この戦いにけりをつけたかったはずだ。
「後は俺がやる。オルフェも周りの援護に向かってくれ」
「……ああ、わかった」
といっても、奇襲に成功したおかげで……こちらが圧倒的に優勢になっていた。
体を起こしたワーウルフキングがこちらへと近づいてきた。
「なぜ、人間がこの森にいる?」
「まあ、色々とあってな。さて、ここからは俺が相手になろう」
「……力はあるようだが、たかが人間だろう」
彼は魔石を取り出し、口へと運ぶ。ワーウルフキングの瞳が鋭くとがり、大地を蹴りつけた。
一瞬でこちらへと距離を詰めてきた。
けれど、見切れるほどだ。それに合わせ、剣を振りぬく。力はほぼ互角。
だが、俺のほうが剣の腕は一段上だ。
彼の剣の力を流すように振り、ワーウルフキングがよろめいたのに合わせ、剣を振り下ろす。
腕を斬りつけると、ワーウルフキングの表情が険しくなる。それでも彼は、痛みをかき消すように吠えた後、こちらに剣を振りぬいた。
しゃがんでかわす。隙だらけの体を切り上げた。
後退するようによろめいたワーウルフキング。彼は足を沈めるように力を込め、こちらを睨みつける。
「邪魔を、するな……っ!!」
ワーウルフキングが剣を振り下ろしてきた。だが、そこに俺はもういない。
彼の背後をとった俺は、剣を振り下ろした。
腕が飛ぶ。ワーウルフキングが驚愕したような目とがちりと合う。
一方的な状況に周囲からはどよめきが沸き起こる。仲間の歓声、そして……敵の悲鳴交じりの声が響き渡り、俺はその体を蹴り飛ばした。
背中から大きく倒れたワーウルフキングの喉元に剣を突き付けた。
「降伏するんだ。もうそちらに勝ち目はないだろう」
「……」
ワーウルフキングは斬られた片腕から流れる血を押さえるように、もう片方の無事な腕を当てていた。
気づけば、周囲の喧騒も収まっていた。
北のワーウルフたちは倒れ、意識を失い、あるいはすでに押さえつけられた者たちであふれていた。
誰が見ても明らかな状況で、抵抗するだけ無駄だろう。
それでも、ワーウルフキングは体を動かそうとしたので、その部位を斬りつけた。
「く、はは……圧倒的だな」
ワーウルフキングは笑い、そのまま力なく倒れた。
「殺せ。オレはもう戦う気力はない」
ワーウルフキングがそういって……俺は小さく息を吐いた。
剣を納め、彼の顔をちらと見る。
「……俺は降伏している相手の命までもとるつもりはない」
「そうか。だが、それで全員が納得するわけではないだろう。オレは多くの者を殺したんだ」
「……」
ワーウルフキングがそういって、こちらを見てくる。
彼の言葉の通りだ。傷だらけのスライムたちは、今も憎悪のこもった目とともに、こちらへとやってきていた。
その代表が、スライムクイーンだ。
「クレスト……私にとって、彼は大事な仲間を殺した相手だわ。北のワーウルフたちもそうよ。すべて、すべて……敵だわ」
彼女の憎悪のこもった視線に、俺は唇を噛みながら小さく頷く。
「……だが、無駄に殺す必要はない。さらに北には見えている敵だけでもヴァンパイアがいる。仲間にできるのなら――」
「未来のことなんて知らないわ。私たち生き残ったスライムたちは、北のワーウルフたちを殺すために生きてきたわ。あなたに止められようとも、私たちは暴れてでも、彼らを殺すわ……ッ」
「……」
クイーンの言葉に合わせるように、他のスライムたちも集まってくる。
……退けないものがある。
それがはっきりと伝わってきた。
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