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ハズレスキル『ガチャ』で追放された俺は、わがまま幼馴染を絶縁し覚醒する ~万能チートスキルをゲットして、目指せ楽々最強スローライフ!~  作者: 木嶋隆太
第二章

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第37話

書籍は明日から電子版が、本としては10月30日に発売します! 良かったら手に取ってください!

キャラクターデザインになります!



挿絵(By みてみん)



 遅すぎる。

 それが俺の感想だった。

 騎士たちが合わせて襲い掛かってきたが、十分に見切れるほどだった。


 ……ルフナとゴブリアは物陰に待機させていたが、彼らに頼る必要もなさそうだ。


 俺は騎士の剣をかわし、彼らの鎧の隙間へと剣を振りぬいた。

 すっと、抵抗なく剣が通る。遅れて、悲鳴が聞こえた。


「ぐああ!?」

「ながっ!?」


 驚き、困惑。それらが入り混じったような悲鳴とともに騎士たちは斬られた腕を抑える。

 血がだらだらと流れ、足元を濡らしていく。


「なに!?」


 驚いたようにリオンが目を見開いた。

 それから彼が剣を振りかざし、俺へと飛びかかってきたが、それを反転してかわす。


「稽古をつけてやろうか。隙だらけだ」


 思いきり、リオンの背中を殴りつける。

 鎧はべこっとへこみ、リオンは顔から地面に転がりこんだ。

 リオンはごろごろと転がり、それから顔をあげた。


 俺はその眼前に剣を突き付けた。


「……これが、今の俺の力だ。わかったら、さっさと上界に戻れ。そして、もう二度と……誰もここに来させるな。俺は下界で気楽に過ごさせてもらう」

「……」


 俺は動こうとした下界の管理者へと視線を向ける。彼らは腰に差した剣に手を伸ばしていたが、それを抜こうとはしない。

 よろよろと体を起こした騎士が、引きつった表情で俺を睨んでいた。


 そして――次の瞬間だった。

 一人の騎士が、魔石を口へと運んだ。


「……まさか、それは!」


 なぜそれを、騎士たちが持っているんだ……っ。

 驚いた次の瞬間だった。騎士の体から力があふれた。

 リオンが体を起こし、後退しながら笑みを浮かべる。僅かに涙が目じりにたまっていて、情けない姿であった。


「や、やれおまえたち! その魔石を使えば、普段の倍は強くなれる! あんな馬鹿、ぶっ倒してしまえ!」


 ……やはり、リオンは魔石について知っているようだ。

 思いも知らぬ収穫だったな。


「オオ!!」


 その雄たけびはまるで獣のようだった。

 同時、騎士が飛びかかってきて剣を振り下ろす。

 俺はそれをかわしながら、彼の腕を斬り飛ばした。


 しかし……それでも、騎士は止まらない。

 もう一人もまた魔石を口にして、こちらへと飛び掛かってくる。


 襲い掛かってきた彼らの一撃を、俺は跳んでかわす。

 すでに、騎士たちから理性というものは消えていた。そこにいるのは魔物だ。

 不気味な声をあげながら、こちらへと斬りかかってくる。俺は小さく息を吐いてから、騎士二人の腕を斬り飛ばした。

 それでもなお、襲い掛かってきた彼らの胸に、剣を突き刺した。


 ……ようやく、動かなくなった。

 ひぃっ、という短い悲鳴はリオンからあがった。


「ひ、人殺し! さ、殺人だ! 騎士に捕まるぞ!」

「……その騎士はどこにいる? 下界に法なんてものはない。あるのは、生きるか死ぬかだ。……リオン、さっきの魔石はなんだ? あれは騎士ならだれでも持っているものなのか?」

「……」


 俺の問いかけに、リオンは黙っていた。

 彼はぎゅっと唇を結んでいたが、俺はあまり時間をかけたくなかった。

 彼の腕を軽く斬りつけた。


「い、いだい!? な、なにをするんだ!」

「さっさと、話せ。さっきの魔石はなんだ? 誰が作っている? それに、どんな効果があるんだ?」

「ぼ、僕の……雇ったメイドが作っている。そ、そいつは妖狐で、魔石の効果は肉体の強化……だといっていた」


 ……妖狐、か。

 確か、リビアが言っていたな。魔道具の製作はヴァンパイアと妖狐が得意としていると。


 ……というか、上界に妖狐がいるのか? それに、雇っているって。


「……妖狐なんて雇って問題ないのか?」

「僕の、奴隷……だからな」

「だとしてもだ。上界の人間は、他種族を嫌っているはずだ。他種族ということだけで、下界に何万もの他種族を送った過去だってあるだろ?」


 過去の話になるが、上界の歴史にはそういったものがある。

 当時のことを覚えているような者はいないだろうが、覚えている者からすれば人間を恨むような事件だ。


「ぼ、僕が完全に従えているから、問題ない」


 ……そういう話ではないだろう。

 俺は死んだ騎士をちらと見てから、下界の管理者を見る。


「……リオンを連れて、上界に戻ってくれないか? そして、二度と俺に会いに来るなと伝えてくれ」


 下界の管理者たちはこくこくと震えた様子で首を縦に振る。

 俺は剣を鞘へとしまい、リオンを一瞥してから背中を向ける。

 ……だが、次の瞬間だった。リオンのほうから、魔力が膨れ上がった。


「ぐ!? あ、あああ!? な、なんだこれはぁぁ!?」

「……リオン! おまえまで、魔石を持っていたのか……?」

「た、助けてくれ! か、体が……体が、何かに、飲み込まれる……ッ!」


 リオンは涙を流しながらこちらへと手を伸ばしてきた。

 ……一体、何がどうなっている?


「おい、リオン、どういうことだ?」

「ち、違うんだ! い、今までは制御できる力だった! なのに、なのに……何がどうして……! ああ! アアアア!!」


 ……最後はもう聞き取れない化け物のような雄たけびだった。

 彼はまるでゾンビのような見た目とともに、こちらへと飛び掛かってきた。

 速い。


 先ほど相対したときとは別人だ。


「下界の管理者。あれを元に戻す方法は知っているのか?」

「い、いや……オレたちは何もその魔石については聞かされていないんだ。い、いきなり渡されて、強くなれる道具だからって言われて! こんなものなら、いらないって!」


 下界の管理者たちも、魔石を渡されていたようだ。

 下界の管理者が魔石をぽいっと投げてきて、俺はそれを拾い上げる。

 と、リオンは下界の管理者を見て、そちらへと飛びかかる。


 下界の管理者は慌てて剣を抜いたが、リオンの振りぬいた腕が彼の剣を破壊し、その体を貫いた。


「リオン! おまえの相手は俺だ!」


 俺が叫ぶと、リオンはゆるりとこちらを向いた。

 残っていた下界の管理者は涙を流しながら、走り去っていく。

 ……一人でも残ってくれれば、上界に俺たちの話は伝わるだろう。


「く、く……くクレストォォォ!」


 ……まだ、多少は理性が残っているようだ。

 時間をかけるつもりはない。俺は全身に魔力を流し、大地を蹴りつけた。

 リオンが腕を振り上げるより先に、その間合いへと入る。そして、剣を振りぬいた。

 

 意識したのはリビアの居合い。それに並ぶほどの速度で放った一撃が、リオンの体を真っ二つにした。

 彼の体が崩れおち、まるで液体のように地面へと溶けていった。


 ……俺は下界の管理者が残した魔石を確認していた。

 ……これが、ワーウルフたちを強化したものと同じものなら、上界では誰かがそれを配っているのか。


 俺がその魔石に鑑定を使おうとしたときだった。


「く、クレストさん!」


 俺の名前を呼ぶ声がして、振り返る。そちらにはワーウルフがいた。

 ワーウルフは血相を変えた表情で木に片手をつけながら、もう一度叫んだ。


「スライム種の村が襲われました! 今、オルフェ様とリビア様を先頭に、援護に向かっています!」


 ……なんだと?




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