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ハズレスキル『ガチャ』で追放された俺は、わがまま幼馴染を絶縁し覚醒する ~万能チートスキルをゲットして、目指せ楽々最強スローライフ!~  作者: 木嶋隆太
第二章

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第33話


「ダメだ」


 俺は即座にそう返答した。

 しかし、オルフェもその言葉だけでは退かない。

 もちろん、それは分かっている。というか、退かれたら呼び止めていたくらいだ。勝手に動く可能性もあるからな。

 オルフェに出撃させない理由をきちんと伝えないとだからな。


「だ、だが……! このまま待っているばかりでは!」

「攻め込むのは危険だ。攻めと守り、どちらが有利に戦えるかはわかるか?」


 言葉を挟むと、オルフェは腕を組み首を傾げる。


「どちらも、同じじゃないか?」

「いや、圧倒的に攻め込む方が不利だ」

「そう、なのか?」

「ああ。攻め込むには単純に労力がかかるんだ。ここで言いたいのは単純な戦闘能力ではないぞ。数、地形の問題、それに敵地までの食糧も含めてだ」

「……」


 俺の言葉にオルフェは難しい顔で頷いた。


「こちらから出撃するのなら、中途半端な戦力で行くのは駄目だ。無駄死にする可能性があるからな。やるなら、全員で出撃する必要があるが……こちらで北の地でも同じように立ち回れるのはワーウルフ族だけだ。俺を含め、ゴブリンたちはここよりさらに北の大地を知らない。戦場になるだろう場所の情報がまったくない状態では、不利な戦いを強いられることになる」

「……ああ」

「まずこれで、地の利は相手に傾く。それに、北の地について知っているからといって、こちらのワーウルフたちが自由に動けるわけでもない」

「……なんだと?」

「例えば……ワーウルフたちしか知らない抜け道に罠が敷かれている可能性も十分に考えられる」

「……」


 俺の言葉に、オルフェは露骨に顔をゆがめた。

 ……やはり、何か村まで続く道などを知っていたのかもしれない。

 そこから侵入し、襲撃を考えていた……とかそんなところだろう。


「ここまでになれば、仮に同じ戦力数でも……相手が有利になる。攻め込むには、敵の三倍の戦力が必要、というのが基本的な考え方だ」


 ……もちろん、奇襲、奇策でひっくり返すことは可能だ。

 今はそんな小さな希望を彼に見せる必要はない。

 オルフェはぐっと唇を噛み、声をあげる。


「……だが、オレは――この村を戦場にしたくないんだ。オレたちを受け入れてくれたこの村を、オレたちが原因で傷つけたくはないんだ」


 他のワーウルフたちもこちらを見て頷いてきた。


「……ここが、居心地がいいんですクレストさん」

「……ここにいる人や物を傷つけたくない」

「ここが、戦場になるのなんて見たくないんだ……」


 そう続いた彼らの固い決意に、俺はため息を返した。


「さっき、おまえたちは言ったな。この村を戦場にしたくはない、と。この村が壊れるのは嫌だと」

「……ああ」


 俺は近くにあった、椅子を見て、剣を振り下ろした。

 バラバラと崩れたその木の木材を使い、俺は再び椅子を製作した。

 壊れたため、素材である木材が多少使えなくなったので、さっきよりも一回り小さくなったが、それでも俺は座れるくらいだ。


 それに座ってからオルフェたちを見ると、彼らはきょとんとこちらを見ていた。


「ちょっと座りにくいけど、元通りだ」

「……どういうことだ?」

「こんな村なんて、いくらでも壊してしまえばいい。俺や、新しく建築術、鍛冶術を手に入れた魔物たちがいる。彼らがいれば、時間さえかければいくらでも直せるんだ」

「……」

「居心地がいいといったな? その村にあるのは、物だけなのか?」

「……違う、な」


 オルフェがつぶやくようにいった。


「ああ、そうだろう? 俺たちのスキルでもそう簡単に、治せない。それが、おまえたちだ」


 俺はオルフェの肩を叩く。それから、笑う。


「おまえたちが死んだら俺にとっての居心地の良い村がなくなるんだ。だから、死ぬかもしれない行動はしないでくれ。いいな?」


 オルフェを見た後、彼らの後ろにいたワーウルフたちを見る。

 彼らはみな、俺の方を見てから……


「……ああ」


 オルフェがこくりと頷き、後ろにいたワーウルフたちも頷いた。

 なぜか涙ぐんでいる者までいる。

 俺は過剰な反応だなと思ったが、オルフェを含め、ワーウルフたちは頭を下げて村の中央へと向かっていった。


 ……まったく。


 オルフェは少し短絡的というか、感情に任せて動くタイプだ。それは悪いことではない。

 俺みたいに、考えてから動く者よりも動き出しは早いだろうからな。


 ……いずれは彼とリビアに村のトップを任せたいと思っているんだから、こういう場面ではしっかりしてほしいものだ。

 俺がオルフェの背中を見ていると、リビアが顔を覗きこんできた。


「さすがですね、首領」

「……俺は首領にはならないって」

「そんなこと言っていますけど、皆さまからの信頼が一番厚いのはクレスト様ですよ?」

「……そうか。それはおまえもか?」

「はい。お慕い申していますよ」

「それなら……俺がもしも間違っていると思ったときは、必ず忠告してくれよ」

「もちろんです。そうでなければ、あなたの隣にはいられないと思っていますから」

「……ありがとな」


 俺だって間違えることはある。なんでもかんでも肯定されてしまったら危険だ。

 俺を止めてくれる人がいなければ、俺は間違った方向へと突き進んでしまう可能性があるだろう。


「明日はスライムたちの村に行こうと思っている」

「情報共有のためですね? ですが、以前同盟は断られました、大丈夫でしょうか?」

「確かにスライムたちとの同盟は拒否されたよ。けど、敵じゃない」

「そうですね。話してみて、無謀だと分かれば共闘も可能かもしれませんからね」

「ああ」


 ……スライムクイーンはワーウルフたちを嫌っていたから、簡単にはいかないとは思うがな。

 それでも、ヴァンパイア種の脅威を知っていれば……もしかしたらどうにかなるかもしれない。


「ヴァンパイア種というのは、魔道具の製作が得意なんだな?」

「はい。魔道具製作、あるいは魔法系スキルを持っていることが多かったと思います」

「……スライム種は魔法系スキルが苦手だったよな?」

「そうですね……同盟を結ぶのなら、その辺りを指摘するのが良いかもしれませんね」


 リビアも俺と同じように考えていたようだ。

 ……明日、試してみるとしようか。



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