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第33話


「本当に必要なことなんだよな」

「ええ、もちろんですとも!」

 その勢いのある返事が怪しいんだよなぁ。

 そんなことを考えていると、リビアがこちらを向いた。

「本当に、検査しているんですよね? だいぶ怪しい顔をしていますが」

「していますよ! していますとも……っ! けっして、クレストさまの匂いを堪能しているわけではございませんとも!」

 そういわれると余計に疑わしいんだけど……。

 そんなことを考えていると、こちらをちらちらと伺うように見てくる視線を感じた。

 ヴァンニャだ。

「……何をしているんじゃ?」

 俺とマールナス、そしてリビアへと視線を向けたヴァンニャは当然とも思える疑問をぶつけてきた。

 そちらを見たマールナスは眉間を寄せてヴァンニャを睨みつけている。

 ヴァンニャはその視線に短い悲鳴を上げて、後ずさる。

 マールナスは何も口にしなかったので、俺がかわりに答えた。

「今、魔力の波長とかを調べてもらっているんだ。強化魔石を作るのに必要みたいでな」

 そう答えると、すっとゆっくりマールナスは俺から離れる。

 それを見ながら、ヴァンニャがあっけらかんと答えた。

「別に抱き着かんとも、魔力の波長とかは調べられると思うんじゃが」

 それを聞いた瞬間、マールナスの尻尾がぴくりと動き、彼女は逃げる準備を整えていた。

 俺の隣にいたリビアが当然じろっと視線を向ける。

「マールナス様?」

「それでは失礼いたします!」

 マールナスは舌をぺろりとだし、それから逃げ出した。

 リビアもそれを追いかけていき、二人が立ち去った。

「ヴァンニャはどうしたんだ?」

 わざわざ来るなんて珍しいと思ったのだ。

 問いかけると、彼女は呆れた様子でマールナスの背中へと視線を向ける。

「いやの、わしは一応似たような系統じゃからマールナスのことを警戒しておったんじゃよ。こう遠くから見張っていたんじゃが」

「ああ、それで来てくれたのか」

「うむ。とりあえず変なことはしていなかったんじゃよ」

 できるのなら、もう少し早めに来てほしかったところだが。

 今日は良い天気だし、これでもヴァンニャなりに頑張ったのかもしれない。

 軽く伸びをしてから、俺はヴァンニャに視線を向ける。

「とりあえず、俺はまた北の辺りを回ってみる」

 何か、新しい情報が手に入るかもしれないからな。

「うむ。危険なことにならないようにの」

「ああ、分かっている。リビアたちにも調査に向かったって伝えておいてくれ」

「任されたのじゃ」

 ばしっと胸を叩くヴァンニャを確認してから、俺は出発の準備を整え、村を出た。

 村を出てから、しばらく北を散策していると、ようやく感知術に魔物以外の反応を見つけることができた。

 そちらへと向かうと、リザードマンと人間が共に動いていた。

 ちょうど、魔物を狩っているところであり、アサシンを使用している俺には一切気づいていないようだった。

 また、後をつけてみようか。

 何か新しい情報が手に入るかもしれないからな。

 魔物を仕留め終えたところで、人間がリザードマンたちに視線を向けた。

「そういえば、今度上界に向かうって言っていたけど、具体的な日程って決まったのか?」

 上界に向かうということは、自然その途中にある俺たちの拠点による可能性も高いだろう。

「ああ、なんでも三日後らしいぜ」

 リザードマンがそう答え、人間は相槌を打っている。

 ……亜人と人間の仲は良好で間違いないようだな。

 別にそこに対して驚きはない。

 お互い、歩み寄ればいくらでも仲良くすることはできるというのは自分のことで体験済みだしな。

「ってことは、南の拠点とかも見つかったのか?」

「まあな。まあ、寄ってみて話しくらいはしてみるらしいぜ」

 彼らの会話に、少し驚いてしまう。

 ……見つかっていたか。

 さすがに、時間の問題だとは思っていた。

 ただ、見つかったからといて完全に敵というわけでもないのだから、構わないとも思っている。

 あとは、実際に会ってみて話をするしかない。

 それにしても、三日後か。

 その日は、一日警戒しておく必要がありそうだな。

「上界に一緒に攻め込むかどうかって話だろ? たいていの亜人は憎んでいるんだし、一緒に行くんじゃねえのか?」

「そうとも限らないぜ? オレたちだって全員が恨みを持っているわけじゃねぇしな。まあ、上界を奪い返せるってのなら、協力はしてぇけどよ」

 ……なるほどな。

 下界で暮らすよりは上界のほうがいい、くらいの考えで戦いに参加する者もいるということか。

 ただ、彼らの拠点は遠目にしか見ていないが、かなりの出来だし、生活に関しては不自由なさそうだけど。

 しばらく彼らの後をつけていたが、それ以外に重要な情報は手に入らなかった。

 人間とリザードマンたちが拠点へと戻っていったところで、俺も自分の村へと帰還した。



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