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第25話



 自室へと戻ると、リビアがこちらへと顔を向けてきた。

「クレスト様。会議のときの話ですが、人間たちには気づかれていなかったのですよね?」

 北の調査のときの話だろう。

 俺がどのようにして情報収集をしたかについては、具体的に話していなかったため、リビアはその部分を心配しているようだ。

 以前も、俺一人に負担をかけさせてしまっていると申し訳なさそうにしていたし、今回もその辺を気遣ってくれているのだろう。

「もちろんだ。今回はフードの男もいなかったし、何も問題はなかったな」

「そうですか。そうなると、やはり北の亜人たちの首領はそのフードの男で間違いないのでしょうか?」

「たぶん、な」

 敵の首領がもしも、外に出ていないのなら、分からないが。

「とにかく、良かったです。クレスト様に何かあれば大変ですから。そういえば、ガチャポイントはどうでしょうか? 新しい魔物は見つかりましたか?」

「いや、見つかってないな。北の亜人たちの拠点よりさらに北側に行けば、魔物を探せるかもしれないが……」

 そちら側は完全に敵の領域であるため、できれば行きたくはないんだよな。

 見つかる危険性がかなり高まるし。

 そんなことを考えていると、リビアの視線がこちらに向いた。

 その表情はどこか申し訳なさそうだった。

「私たちももっとうまく動ければよいのですが……」

「いや、大丈夫だ。とりあえず、明日も北側の情報を集めようと思っている。村のほうは頼んだぞ」

「かしこまりました。どうかお気をつけて」

 ひとまず、今後も情報を収集していくしかないな。




 次の日。

 いつもの通り、北にて亜人たちからの情報収集と、スキルの練習相手として魔物を探していた俺は、浜辺のほうへと出た。

 そして、感知術を使用すると、海の中から魔物の反応があった。

 海の中か。

 確かに、これまであまり海の魔物と戦ったことはなかった。

 最初の頃くらいか。

 そんなことを考えながら浜辺付近を歩いてみたが、魔物が姿を見せる様子はない。

 海の中に入らないといけないのかもしれないが……それはな。

 海水でべたべたになるのでできれば避けたいところだ。

「影術でどうにかしてみるか」

 感知術と影術。

 この二つを組み合わせればうまく行くかもしれない。

 とりあえず、やるのはタダなので実践だ。

 まずは影術を発動して、海へと影を伸ばした。

 その影を操作しながら、感知術で魔物の反応へと伸ばしていく。

 そして、影の先を鋭くして、貫いてみた。

 感知術に反応していた魔物が慌てた様子で動いているのが、影越しに伝わってくる。

 そのまま、魔物の体を影で覆い、その体を締め付け、貫いていく。

 やがて、感知術から反応が消える。

 俺は死んだ魔物の死体を影で持ち上げ、浜辺で確認する。

 ……完全に魚の見た目をした魔物だな。

 ポイントは200入るので、引き続き倒していこうか。

 しばらく、影術で魔物を倒していく。

 どうやら、魚の魔物は二種類いるようだ。

 そちらの魔物も200ポイント入るので、上限である25体倒していこうか。

 影術の操作練習にもなるので、ちょうどいい。

 そうして、上限である25体。二種類合わせて合計50体を倒したところで、俺は浜辺での狩りを終えた。

 感知術を使えば、魔物はまだまだいるのが分かる。

 ただ、残っているのは恐らく同じ魔物だと思うので、これ以上の戦闘はやめた。

 もしかしたら、さらに陸から離れれば魔物はいるかもしれないが、さすがに水中で魔物と戦うわけにもいかないしな。

 自由に動けるのはリザードマンくらいか。

 そういえば、あのリザードマンたちはまたここに来るのだろうか?

 恐らく、北の亜人たちはいくつかに分かれ、自分自身の腕を磨いているんだと思う。

 今確認できているのは人間とリザードマンだけだが、他にもいるのだろうか?

 そんなことを考えながら、浜辺近くで魔物を探していく。

 魔物の姿は見当たらないな。

 砂浜は足跡が残りやすいので、本来ならば歩きたくはないものだが……アサシンのおかげで足跡も残らない。

 そうして、砂浜を歩いていくと、ちょうど足跡を発見した。

 これは、人間のものではないな。

 リザードマンたちだろうか。

 足跡は北のほうへと続いているので、俺はその後を追ってみることにした。

 何か分かればいいが。

 足跡を追っていくと、しばらくして感知術に反応があった。

 途中で砂浜から森のほうへと移動したようだな。

 感知術を頼りに亜人の姿を探していくと……見つけた。

 発見した亜人は予想通りリザードマンたちだ。

 ちょうど、彼らは魔物を倒したところだったようで、彼らは気の抜けた声を上げていた。

「よし、こんなもんか」

「おまえ、かなり強くなったな」

「へへ、魔名を与えられてからはどんどん成長するんだからな。そりゃあ強くなるってもんだぜ」

 魔名、か。

 リザードマンの口にした言葉に、浮かんだのはレイブハルトの顔だ。

 彼が皆に魔名を与えているのだろうか?

 それとも、さらにレイブハルトを超える奴がいるのかどうか。

 何か情報が得られないかと、俺は引き続きリザードマンたちを追いかけていく。

「なあ、それよりそろそろ上界に攻め入るって話、どうなったか知っているか?」

 攻め入る。

 その会話に、意識がいつも以上に集中する。

 ちょうど、俺が聞きたい情報だったからな。

 リザードマンたちは魔物を狩りながら、言葉を続ける。

「それがよぉ、南の亜人たちを支配下に置いてから行くって話だぜ」

 南の亜人たちというのはどう考えても俺たちのことだろう。

 ……やはり、存在は気づかれているか。

「南の亜人ねぇ。なんか、適当に争わせて集合させてるんだっけか?」

「そうそう。そんで、そのまとまった奴らのリーダーを潰して、従えるってわけらしい」

 ……なるほどな。

 北の亜人たちが、どうして攻め込んでこなかったのかは、手間の問題ということか。

 俺たちが争い、集団となったところで攻め込み、従わせる。

 実力に自信があるのなら、それほど楽な話はない。

 特に、亜人は実力主義の部分もある。

 集団の首領を説得できれば、皆も従ってくれる可能性は高いだろう。

 説得の仕方は、いくつかあるだろう。

 話をしてみて、ダメならば力を示す。

 それでもダメならば……最悪、殺してもいいはずだ。

「もしも逆らってきたらどうするんだ?」

「そのときは全員殺してそのまま上界にでも行けばいいんじゃねぇか?」

 ケラケラと笑っていた。

 ……中々に無茶苦茶なことを言う奴らだ。

 それほど自分たちの戦力に自信があるのか、あるいは実力に自信があるのか。

 どちらにせよ、上界に彼らが攻め込めば……簡単に国を落とせる可能性はある。

 少なくとも俺が知っているときの話だが、上界にはそれほど戦闘に慣れた人はいない。

 魔物がそもそもほとんどいないわけで、過酷な戦いを知らないのだ。

 レイブハルトのような実力者が、例えば上界にいる奴隷となった亜人たちを解放していったとすれば……歴史に残る大事件となるのは確実だ。

 彼らは、自分たちの拠点の方角へと歩きだした。

 そろそろ、戻るのだろう。

 もう少し情報が手に入れば良かったが、あまり追ってまたレイブハルトに襲われたくはない。

 とりあえず、今日の情報収集はこのあたりにしようか。

 リザードマンたちの姿を見届けてから、俺は自分の村を目指して歩いていく。

 村に戻って、皆にまた話をして、それからガチャでも回そうか。

 できれば、暗黒騎士のスキルはレベルMAXまで上げておきたいものだ。

 体力消費はきついが、あれなら格上相手にも通用するだろうしな。


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