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第20話


 よろよろと体を起こしているハイドウルフに視線を向けながら、俺は湧き上がる力を再確認する。

 ……まさか、これほどまで力が上昇しているとはな。

 ただ、相変わらず呼吸が薄くなったような、息苦しさも感じている。

 長時間使用できないというのは、頭に入れておいたほうがいいだろう。

 一度暗黒騎士を解除する。

 苦しくなっていた呼吸を整えながら、俺は次のスキルの確認を開始する。

 次は、影術を試してみようか。

 ハイドウルフがよろよろと立ち上がったのを確認したところで、俺は影術を発動する。

 俺の影が、俺の体から離れるようにぐいっと伸びる。

 それを操り、ハイドウルフへと伸ばしていく。

「ぎゅう!?」

 ハイドウルフは、俺の影を危険だと考えたようだ。

 逃げるように後退していくが、影のほうが速い。

 ぐいっと持ち上げるように操作する。

 次の瞬間、影は地面から浮き上がり、ハイドウルフへと迫った。

 なるほど、こういう使い方もできるんだな。

 さらに影を操作し、その形を変える。

 先を槍のように鋭く尖らし、ハイドウルフの背中へ向けて放った。

 しかし、ハイドウルフは横に跳んでかわす。

 俺の影は近くの木へと当たり、貫通する。

 中々の威力だ。

 さすがに、操作が難しい。

 まだまだ、細かな動きを行うことはできないな。

 直撃させるのは難しいが、それでも使えるスキルであるのは確かだ。

 あとは、どのくらいの重量物まで持ち上げられるかだな。

 木に直撃した影を操り、ぐるりとその木を一周させる。

 そのまま、木を引き抜いて持ち上げる。

 重たい、と感じる。影で持てる重さには限度があるのかもしれないが、このぐらいなら問題ない。

 その木をぶん回すようにして操るが、ハイドウルフはさすがに攻撃範囲から逃げてしまった。

 なるほどな。

 影術の使用感がだいたい理解できたところで、そちらも一度解除する。

 ハイドウルフがこちらをじっと睨んでいたが、最初に比べて覇気は薄れている。

 そんなハイドウルフに俺は一度背中を向ける。

 ただ、感知術を使いながらその動きを観察していると、ハイドウルフが地面を蹴った。

 俺が油断したと思ったのだろう。

 食らいつこうとしてきたハイドウルフへと体を向け、俺は後退しながら最後のスキルを放った。

 黒ノ盾だ。

 発動と同時に、俺とハイドウルフの間に黒い盾が出現した。

 直径二メートルほどだろうか。

 正方形に近い形であるが、下の部分は盾特有の湾曲を描いている。

 地面との接着部分には、その盾の先が突き刺さるようにして埋まっている。

「ガ!?」

 勢いよく突っこんできたハイドウルフは、俺の黒ノ盾に頭をぶつけ、地面に倒れた。

 ……かなり頑丈だな。

 黒ノ盾も影術同様に操作できる。多少形を変え、自分の前方を覆うようにもできるようだ。

 よろよろと起き上がったハイドウルフは、俺を見てすっかり怯え切っていた。

 逃げ出そうと走り出したハイドウルフの先へ、黒ノ盾を出現させる。

「ウガ!?」

 突然現れた黒い壁に、ハイドウルフは勢いを殺すことはできず、頭から直撃する。

 それを確認したところで、影術を発動する。

 俺の影が伸び、ハイドウルフの背中へと迫り、形を変える。

 いくつかに分かれた影の先を、槍のように尖らしてハイドウルフへと放つ。

 勢いよく放たれた影は、ハイドウルフの背中へと突き刺さり、あっさりと仕留めることに成功する。

 動かなくなったハイドウルフは、土魔法で作った穴に入れ、火魔法で焼き尽くしてすぐに土魔法で埋める。

 死体を残すと、北の亜人たちに気づかれる可能性があるからな。

「……このスキル、慣れたら凄い便利だな」


 今まで、戦闘中にここまで干渉できるスキルはなかった。

 どちらかといえば非戦闘向きのスキルばかりだったが、暗黒騎士によって俺の戦闘能力は一気に強化された。

 あとは、この影術と黒ノ盾に慣れるための練習をしていくだけだな。

 ひとまず、北の亜人たちの調査を行うのと並行して、魔物狩りをしていこうか。



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