第20話
虹色の玉に触れた瞬間、そのスキル名が表示される。
《虹スキル》【アサシン:レベル1】
おお、欲しかったスキルが出た!
俺が声を上げるよりも先に、隣にいたリビアがぎゅっと抱き着いてきた。
「やりましたね、クレスト様!」
「ああ、そうだな……っ」
やはり月初めのガチャはいい。とりあえず当たりしかないからな。
とりあえず、さっそく調べてみよう。
『アサシン 自分にアサシン状態を付与する』
アサシン状態? なんだそれは?
さらに鑑定を使ってみると、それも調べることができた。
『アサシン状態 気配探知、気配遮断などがうまくなる』
なるほど、な。
アサシンとして何かを仕留めるためのスキルではなく、その前段階のスキルというところか。
レベルが上がればより効果も高くなり、隠密行動もとれるようになるはずだ。
それらを実際に使用してみるのは後にして、もう一度ガチャを回そうか。
残っているポイントは5000ポイントだ。
「まだ持っていないスキルが出たらいいですね」
「そうだな」
もちろん、アサシンのスキルレベルを上げたい気持ちもあるが、今は新しいスキルを獲得したい。
そんな思いとともに、俺はもう一度ガチャを回す。
宝箱が出現し、そこから四種の玉が出現する。
その数を二人で数えていく。虹色は、一つだ!
「銅色4つ 銀色4つ、金色2つ、虹色1つ……やりましたね! 虹色が2つでましたから、もしかしたら今回ですべてのスキルを獲得できるかもしれませんね!」
「ああ……あとは被らなければいいんだけどな」
「そうですね。見ていきましょう!」
リビアに急かされるままに俺はスキルを確認していく。
まずは銅色からだ。
《銅スキル》【力強化:レベル1】【耐久力強化:レベル1】【耐久力強化:レベル1】【魔力強化:レベル1】
まあ、無難に強化されたな。
次は銀色四つか。魔法がさっきよりも減ってしまったのが残念ではあるな。
《銀スキル》【鍛冶術:レベル1】【地図化術:レベル1】【忍び足術:レベル1】【鍵術:レベル1】
ん? また見覚えのないスキルだ。
忍び足術に鍵術か。
この二つはこれまでに獲得したことがなかった。
一体どんなスキルなのだろうか?
まずは忍び足術から確認してみようか。
俺は鑑定を使い、そのスキルを調べてみた。
『忍び足術 音を消す』
なるほど。
アサシンと組み合わせることで、潜入などに使用することができるだろう。
ただしレベル1だと効果時間が短いようだ。
ここは今後もガチャを回していってレベルが上がってくれるのを期待しよう。
次は、鍵術だ。
こちらも調べてみよう。
『鍵術 鍵の製作、鍵の解錠が可能になる』
おお? これは果たして良いのだろうか?
下界では、かんぬき程度の鍵しかないだろう。
一応、俺も建築術や鍛冶術で鍵は作れるのだが、他の種族が鍵を造っているとは考えにくい。
そうなると、このスキルは現状使う場面がなさそうだ。
上界でなら、犯罪級のスキルだろうけど。
まあ、そもそも俺は上界にいるはずの人間なんだからこういったスキルが出てしまうのも仕方ないよな。
これらのスキルも、試してみるのは後だ。
次の金スキルを見ていこう。罠魔法が出てくれればいいんだけど……。
《金スキル》【火魔法:レベル1】【罠魔法:レベル1】
おっ、罠魔法だ。これで罠魔法もレベル2になるから、さっきよりは使い勝手も上がるだろう。
そして、最後だな。虹スキルが1つだ。
俺は緊張しながら虹スキルを確認する。
《虹スキル》【アサシン:レベル1】
……くそっ!
スキルが被ってしまった。もちろんレベルが上がるので嬉しいが、今はこのスキルじゃないんだよなあ。
できれば、別のスキルの方が欲しかった。
「残念でしたねクレスト様」
「そうだな。ただまあ、明日以降の楽しみってことにすればいいかな」
「はい。きっとクレスト様ならすべてのスキルが揃うはずです」
リビアが嬉しそうにそう言ってくれた。
「それではクレスト様。一緒に寝ましょうか?」
「……ちょっと、スキルを試してみたいんだけどいいかな?」
俺が両手を合わせてリビアと見つめあう。
「もう少しだけですよ? もう夜も遅いんですから」
「分かってるって」
リビアの許可もおりたので、早速スキルを使用する。
アサシンは最後にしよう。
まずは忍び足術からだ。音を消すんだったよな?
それから、すっと歩いてみる。
「あっ、なくなりましたね」
リビアが言う通り、どれだけ強く踏んづけても足音はしなかった。
ただ、効果時間は10秒ほどだ。
再使用に関しては制限がないため、いくらでもどんどん使っていけば問題なさそうだ。
「これなら、レベル1でも問題ないな」
「クレスト様は魔力が多いですからね。でも、これがあれば潜入が必要な場面では活躍できるかもしれませんね」
「……そうだな。次の戦いに向けて、使う機会があるかもな」
今回の戦いはこちらが攻め込む可能性もある。
ヴァンニャの仲間たちを連れだすという点で考えれば、このスキルは使い勝手が良いだろう。
万が一、向こうと戦うことになったとしても、俺が先に一人で潜入して敵を混乱させるなどもできるだろう。
次は鍵術について調べてみようか。