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一章:異世界の道路は危険がいっぱい

 馬車をこぎ始めて二日が経った。

 今日までは、何事もなく順調に進んでいた。

 しかしエルフの村というのは森の奥にあるらしくって、ここからは魔物が溢れてるっぽい?


「でも魔物いないよなー」


「ネロくん、油断は禁物よ。今は舗装された道だから、余り魔物は出てこないけど、年間で何万ものヒューマンがこの通りで死んでるのよ」


 この金髪に猫の獣耳をしている少女はバニラ。

 バニラは17歳で、獣人では珍しく魔法に長けているらしい。

 何でもスキルに【魔力消費減少】というものがあるらしく、魔法を行使するのに必要な魔力が少ないらしい。


「まぁネロは、ボク達みたくひ弱じゃないからね。だって勇者様だし」


 そしてエルヴィさんのもう一人の娘である銀髪の少女はミント。

 ミントはこの世界の僕の身体と同じ15歳だ。

 こちらは獣人らしく、近接戦闘に特化しているそうだ。

 だって獣人って獣の力を取りいれた人間みたいなものだしね。

 でもひとつ物申したいことがある。 


「ミントがひ弱?それは何かの間違いでしょ。だって君、僕にプロレス技ばっかりかけてくるじゃん」


 ミントはこの二日間の休憩中に何度もプロレス技をかけてきた。

 あれすごく痛かったんだからな。

 スクリューパイルドライバーを決められたときは焦った。

 首がへし折れる。

 いや、前世の僕だったら死んでたね。


「あははー。だってネロが丈夫なんだもの」


「程々にしてくれよ」


「しっ、二人とも前を見て」


 目の前には緑色の皮膚を持った、下から生えている大きな牙を持つ大男だ。

 あれって、ゴブリンかな?

 とりあえず馬車を止め様子を見る。


「どうした急に止まって」


「エルヴィさん、それにリーンさんも」


 エルヴィさんは、出産後のリーンさんと生まれたてのルーンの様子を見てもらっていた。

 ルーンはリーンさんの手の中ですやすやと眠っている。


「オォォォオオ!」


「すごい叫び声」


 ルーンが起きたらどうすんだよ。

 迷惑な奴。


「ねぇ、あれってゴブリン?」


「あれはゴブリンの亜種、オーガです!極めて残忍な気性を持っていて、わたしが居た村でもよく出没していました」


 オーガってあのオーガか!

 へぇ、リーンさんの村はあんな恐ろしい姿をした魔物に襲われていたのか。

 強いかどうかはともかく、あんな見た目の魔物が村の近くに現れたら普通は怖い。

 リーンさんが顔を青くしていることから、あまり良い思い出もないんだろうね。

 ていうか、この馬たちあのオーガとか言う奴の雄叫びを聞いて、ビビらない当たりとっても良い馬だな。

 あのクソ共の馬には勿体ないね。

 おかげで隠れてやり過ごせるかも知れない。

 けど、実際どれくらい強いんだろうか?


「オーガはDランクの魔物です。冒険者ギルドでは冒険者として食べていけるかの登竜門となっています」


 いまいちわかんないけど、登竜門って言うくらいだからそこまで強くないだろう。

 オーガってもっと鬼っぽいの想像してたんだけどなぁ。

 

「エルヴィさんって闘えますか?」


「えぇ、オーガ程度でしたら剣があればなんとか。しかし今は持ち合わせがなく・・・」


「わかりました。ちょっと失礼しますね。ステータス解析っと」


――――――――――――――――――――――――

エルヴィ・ハゲンダ


年齢:35歳


職業:医者


ステータス

 

レベル:Lv18

筋力:48

魔力:27

体力:45

敏捷:15


スキル

【薬草知識】      Lv1

【視力強化】      Lv1

――――――――――――――――――――――――


 医者みたいなステータス。

 あ、医者だったよねエルヴィさんは。


「エルヴィさんのステータスって、この世界では一般的なんですか?」


「いえ、大分高い方だと思います。私は小さい時に、父に連れられて少しレベルを上げましたから。まぁ俊敏は成人男性の平均的な数値ですけどね」


 なるほど、そうなると僕はどれも三桁を超えてるから、かなり闘えるのでは!

 おっとダメだダメだ。

 油断が敗北になるケースだってありえるんだ。

 ゲームではなく、ここは現実なのだ。

 あー、予想に反して強かったしやりなおそー、じゃ済まされない。

 武器もないし、危ない綱渡りはするもんじゃないな。


「ありがとうございます。僕のステータスはどれも三桁を超えています」


「おぉ、さすが勇者様」


「いざとなったら、僕が矢面に立って闘いますが、武器がないです。できるだけやり過ごした方が良いかもしれませんね。それにこちらには------」


「う、うぇぇぇぇええん」


 赤ちゃんが居ると言おうとしたところで、ルーンが泣き始めてしまった。

 あちゃー、これはやり過ごすのは無理かー。

 だってオーガめっちゃこっち睨んでるもん。


「オォォォオオ!」


「やり過ごすのは無理そうです。僕が気を引くから、バニラとミントは馬車を全速力で動かして」


「わかったわネロくん」


「ネロも無理しないで」


 さすが二人はすぐ様馬車を出して、オーガの横を通り抜けようとする。

 エルヴィさんには念のために、後ろから援護をしてもらう形にした。

 いくらなんでも一人でオーガに勝てると奢れるほど、僕は肝が座ってない。

 よし、その間に僕はオーガとスパーリングだ。


「来いへなちょこ!」


「オォォォォオオ!!!」


 僕を身体半分くらいの右の拳が迫りくる。

 動きは遅いけど、威力は高そうだ。

 とりあえず打ち合いできるか試してみよう。

 何故か魔物のステータスは見ることができなかった。

 カリス様と連絡取れれば良いんだけど、あと数十年は無理だって言ってたしなぁ。


「オォォ!?」


「意外と軽い?やっぱ所詮はDランクの魔物かー」


 僕の拳とオーガの拳が拮抗してる。

 見た目ほど力が無いのかな?

 いやそんなことないか。

 普通は素手では闘わないだろうから、これは異常なことなんだろうなぁ。

 ならそのまま飛び上がって、腕を踏み台にして。

 

「よっと!」


「オォォォオオ!」


 この情態なら顔面に蹴りが入れられるね。


「必殺パーンチ!」


「ヴァ!?」


 パンチと言いながらキック。

 これぞ鉄則だよね。

 一回してみたかったんだ。

 おっと、すぐに立ち上がるんだ。

 流石に登竜門、タフだねー。

 ならもう三発、腹に蹴りを入れよう。


「おらっ!一発!」


 膝蹴りをしてオーガを打ち上げた。

 想像してた以上に飛んだなー。

 次が二発目だ。

 俺は空高く飛び上がる。

 こんなの前世じゃ無理だった!


「かかと落としぃ!」


「オゴゴゴゴゴ」


 バキバキと、頭蓋骨の折れる音がする。

 気持ちがいいもんじゃないね。

 地面に叩きつけられたオーガは、脳漿をまき散らす。

 痙攣してるところを見るに、まだ生きてるか。

 じゃあトドメの一撃をかますとするか。


「オラァ!」


 げっ、頭部が完全に爆散したのにまだ痙攣してる。

 しばらくすると痙攣が収まり、オーガは絶命した。


「お・・・おぇぇぇぇぇええ」


 気持ち悪い。

 魔物を倒すだけでも、これだけ気持ち悪くなるのか。


「ふぅ、手間かけやがってー」


 胃からぶちまけてしまった口を拭って、俺はオーガへと近づいていく。


[レベルアップ!]


 へぇ、レベルアップの音ってこう聞こえるんだ。

 どれどれー?


――――――――――――――――――――――――

ネロ・アプレンティ


年齢:15歳


職業:勇者


ステータス

 

レベル:Lv5

筋力:230

魔力:400

体力:280

敏捷:215


スキル

【不屈】      Lv2

【身体強化】    Lv2

【統率】      Lv1

【魔人化】     Lv2

【精神防御】     Lv1

【体術】      Lv1

【理之知恵】    Lv1

――――――――――――――――――――――――


 あのオーガの経験値は上手いな!

 スキルもなんか増えてるし何より魔力がかなり増えた。

 魔力が増えるのはいいことだね。

 魔人化の持続時間が増える!

 俺はステータス一覧を見て、過って【魔人化】の部分に指を触れてしまった。


スキル説明

【魔人化】

自身の魔力を身に纏い、全身を強化するスキル。

すべてのステータスを100倍になり、肉体の自己治癒速度を数億倍に変える。

魔力を1秒ごとに100消費する。


 すっげぇ。

 スキルの説明見れたんだ。

 じゃあわざわざスキルについての検証はいらないんだ。

 わー、良いこと知った。

 でも魔力を1秒ごとに100?

 1秒ごとに1の間違いじゃないのかな?

 というか、あのクソ共からリーンさんと脱出したときに魔法を素手で破壊できたのは、単純に負った傷よりも回復速度が上回っただけなんだ。

 ていうかこれの肝って、ステータス倍増より自己治癒速度だよね。


「オーガを素手で倒す人って初めて見ましたよ」


「エルヴィさん。貴方が後ろで援護をしてくれてると思ったから思いきり行けました。なにせ僕は闘いのない世界から転生してきてますからね」


「転生?召喚じゃないんですか?ここに来てからまだ一ヶ月も経ってないと聞きましたが」


 あぁ、そうか。

 そういや説明してなかった。

 一応僕は29歳で生が終わり、この世界には別の肉体で転生してきて、この身体の年齢が15歳だったって話ということをエルヴィさんに説明した。

 馬車が戻って来る頃には、エルヴィさんは僕のことを崇拝していた。

 まぁ神様が直々に作った身体だもんね。

 あとでリーンさんとバニラとミントにも説明しないと。

一読いただきありがとうございます!

久々、というか一年ぶりにこちらを更新しましたね。

異世界モノを描くのに行き詰まってしまったため、王道異世界転生を書いちゃえ!って更新しました。

これ王道なのかな?

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