18話 決勝トーナメント最終日⑤
ブレイズさんとの試合が終わり、次は準決勝。
フィールドの整備の為、僕は一度、控室に戻ってきてイスに座って休んでいる。
コンコン
ドアがノックされ、僕が了承すると運営の人が入って来た。
「突然、すいません。
至急、ナギ様にお伝えすることが出来ましたので参りました。
次の、第三試合……決勝トーナメントの準決勝なのですが、ナギ様の相手となるはずだった方が棄権したため不戦勝で決勝進出という事になりました。
おめでとうございます。
試合開始時間の方ですが準決勝終了から大体三十分程となります。
ですので、こちらから退室していただいても結構ですが試合開始の一時間前にはお戻りください」
「はい、分かりました」
返事をすると運営の人は一礼して部屋から出ていった。
それにしても不戦勝で決勝進出とは思ってもみなかった。
この降って湧いた暇な時間をどう潰そうか迷う。
華奈たちの方に戻るとしても、今日は戻らないと言ってあるため恐らく席は無い。
まあ、このまま部屋で寛いでいるのが一番無難だと思う。
と、いう事でこのまま控室に居ることにした。
十分位前から会場の方から幾度となく歓声が聞こえてくる。
恐らく準決勝のもう一つの方の試合が始まっているのだろう。
僕はもう少しだな~とは思いつつソファーに横になってぐでっとしていた。
コンコン
「ナギ様、準決勝が終了しました。
もう少しで移動となりますのでご準備を済ませましてお待ちください」
ドアの外から声が掛かった。
思っていたより準決勝が早く終わったようだ。
僕は体を起こすと、そのまま右手を開いた<アイテムボックス>に突っ込む。
取り出すのは二本の刀。
双刀である陽華と薄月だ。
なぜ、これを持っていくのかと言うと先ほどの試合に影響されてだ。
対等に戦う条件とは?
それに影響されて僕は刀を使って戦闘することを決めた。
刀を取り出してから数分後。
運営の人に案内されて遂に決勝戦の舞台へと僕は移動を開始する。
移動する間にも遠くからは歓声が聞こえてきて会場の盛り上がりが予想された。
「では、これから決勝戦の入場となります。
決勝戦ではいくつかルールの変更があります。
第一にフィールドが一つにまとめられて広くなっています。
第二に勝利条件の一つである強制退場ですが、退場させるのに必要なダメージ量が試合の間一定となり減少していくことはありません。
試合が終了し次第そのまま表彰に移りますのでその際はこちらの指示に従ってください」
試合の前、最後の説明が終わり会場に繋がるゲートが見えてきた。
ゲート前にあるベンチに座って僕は決戦の時を待った。
「皆さんお待たせしました!
長かった決戦も残すところあと一試合。
この試合を制したものが聖杯を手にすることとなる!
それでは、最終試合……聖杯争奪戦決勝戦の出場者の発表だ!」
遂に決勝戦の司会のアナウンスが入った。
この試合で優勝者が決まるため観客たちの熱気も凄い。
「それでは始めにナギ選手の入場だ!」
そのアナウンスと共に僕はゲートを抜けてフィールドへと向かい歩き出した。
僕がゲートから出たとたん、観客から上がる歓声がドッと盛り上がる。
「現在、入場してきているナギ選手は未だかつて名前を聞くことは無かった者だ。
今回、約五千人と言う出場者の中、並み居る名も知れない挑戦者の中に人知れず敗退していくと思われたのだが……。
しかし! 決勝トーナメントの第一試合で大賢者のメアリー・メメリーを魔法戦の末に圧倒!
そのようなことを誰が予想していたのだろうか!?
その後の第二、第三試合では相手を瞬殺。
そして、本日の初戦、予選でも同じグループであったイスリア帝国元帥のイーズ・フレッドと当たる。
ここでは、それまでの試合で見せてきたお得意の魔法を断魔の剣で完封されたのだが……。
会場にいた観客たちも目を疑ったのではないのだろうか?
なんと、ナギ選手はその拳でイーズ選手を殴り飛ばし勝利を収めたのだ!
また、続く本日の第二試合ではビッグスケールな武勇伝が多数噂される武王ブレイズとの試合。
そこでは、今までとは打って変わり魔法を使わずに体術のみで激戦を繰り広げ、最終的には魔法を織り交ぜ圧倒的な勝利をした!」
司会の人は僕のこれまでの戦歴を手短にかつ劇的に語る。
僕はその中を手を振りながらフィールドの中央に向かって移動した。
「さて、そんなナギ選手の相手となるのは……。
アルヴァ―ン・イスリア。
イスリア帝国の現皇帝だ!
剣の腕も魔法の腕も超一流で大陸でその名を知らない人はいないであろう!
その言葉が示す通りにアルヴァ―ン選手は決勝トーナメントの初戦から準決勝まで圧倒的な武力を見せつけて来ており、その対戦相手は例外なく瞬殺されている」
そんなアナウンスと共に入って来たのは筋骨隆々の男であった。
全身金ぴかの鎧で身を包み、紅いマントをはためかせる。
また、腰に刺さった剣は鞘に入った状態でも分かるほどのオーラを放っていた。
その歩みは威風堂々としたもので会場からの歓声はぱったりと止み、代わりに畏怖や畏敬と言った情が込められた目が向けられている。
「両者、位置に着いた!
これより、聖杯争奪戦の決勝戦を開始する。
泣いても笑っても勝負は一度きり、悔い無きように……。
三・二・一・決勝戦! 試合開始!」




