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数多の世界で紡ぐ物語~秘されし神の皇は数多な異世界を渡りその崩壊を防ぐ~  作者: 灯赫
3章 【幕間】高天原の神秘の街

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6話 住居決定

 僕たちはその後、再びもとの館へと戻って来る。

 そして、最初に案内した部屋の扉の前まで戻って来ると、中に入ろうとして襖を開いた天照大御神の動きがそこで停止した。


「どうしたんですか?」


 そう聞きながら気になって華奈と二人で天照大御神の後ろから部屋を覗くと、軽く着物をはだけさせながらゴロゴロとしているのが見えた。

 その手には黒いカバーを付けたスマホが握られており、その動作はフリック、長押し、連打と色々と動かしていた。


「月読命、またそんなはしたない格好でスマホをやって……」


 天照大御神の言葉ぶりからして何度かあったことのようだ。

 天照大御神がそのまま部屋の中に入っていくのに続いて僕たちも中に入っていった。


「もう! 取りあえず凪様と華奈様が来るから直しなさい」


 本人たちを前にして繰り広げられる着物を直そうとする天照大御神とそのままだらけていたい月読命の攻防。

 天照大御神が崩れている場所に手を伸ばすが月読命はそれを手で払っていく。

 そして、その中でチラッと見えた月読命のスマホの画面。

 その瞬間、華奈が動いた。


「月読命ちゃん! そのキャラ当てたの!?」


「う、うん」


「私、狙ってるのにまだあったってないんだよ~」


「……単発で、出た」


「え、そうなの! 凄い!」


 華奈が動いたのはやっていたゲームで狙っていたキャラを月読命が当てていたためであるようだ。

 天照大御神も目を丸くして動きを止める。

 既に自分もスマホを出して月読命と一緒にゲーム談義を始めた華奈を止める事が出来ないと思った僕は天照大御神に声を掛ける。


「まあ、二人はこのままにして話の続きをしませんか?」


「あ、ナギ様。……そうですね、月読命もあまり見せない笑顔を見せているようですし、今日の所はこのままにしておきましょう。

 じゃあ、向こうに行って話しましょうか」


 そうして、天照大御神と共に部屋の端の方に移った。

 座布団を天照大御神から受け取ると、向かい合って座る。


「それで、お住まいはどうなさいますか?」


「先ほどの家を使わせて貰うことにします」


「分かりました。準備させていただきます。

 いつ頃お引越しされますか?」


「まあ、すぐにでも出来るんですが……じゃあ、一週間後で」


「分かりました、それまでに準備を済ませておきます」


「それと……一つお願いが」


「何でしょうか?」


「戸籍って一人分作れますか?」


 これは、リリィをこちらに連れてくるための準備である。

 戸籍が無くともリリィを連れてくるのには問題ないのだが何かあった時を考えると作っておいた方がいいと思うからだ。

 なぜ、ここで頼むのかというと一応、この街ではこの館が市役所の一部みたいな扱いであり、天照大御神が書類上の市長となっている。

 そして、未だ隠れ住んでいる異族なども居る事から天照大御神の確認を経て、神秘管理部の手によって戸籍を作ることが出来る。


「分かりました。因みに、誰のものでしょうか?」


「今回の転移先で……結婚することになった人です」


「まぁ! それは、おめでとうございます。

 それでは、後程、書類の方だけご記入をお願いします」


「はい」


「それで、この後は何をされるんですか?」


「えっと、予定だと……学校の見学に街の散策ですね」


「そうですか。案内はお付けしますか?」


「そうですね……大丈夫です」


「分かりました。では、山の麓まではお送りさせてください」


「お願いします」


 話が終わり、華奈の方を見ると楽しそうに二人でゲームをしていた。

 ただ、時間も有限なのでそろそろ街の方に降りたいと思い、忍びないが二人に割って入る。

 すると、駄々をこねると思っていたが、二人はゲームをやりつつも話を聞いていたらしくスッと終わらせた。

 その後、様々な人達に見送られ、送迎の車で館を後にすると山の麓まで移動した。

 そこで車を降りて徒歩の移動に切り替える。


「じゃあ、高校の見学から行こうか」


「うん♪」


 そうして、華奈と共に街を歩き始める。

 高校があるのは山にほど近い所で、歩いて約五分と言ったところである。

 敷地内にはほかにも小学校、中学校、大学の校舎が立てられておりかなりの広さを持っている。

 その建物の造りは、イギリスの方などで見られるゴシック様式の校舎であるが、機能としては最新鋭であり様々な設備が整っている。

 また、魔法や体術などの訓練が出来るように訓練所が数か所存在していて、これは街の人にも利用が可能である。


「あれだね」


 僕の指さす先に見えるのは大きな門とその先にはゴシック様式の校舎があった。


「うわぁ! 近くで見るとやっぱりすごいねぇ」


「そうだな。ドゥルヒブルフ城も中々だったけど、これもまた違った感じだね」


「そうだね。イギリスの方の建物みたい」


「見たいっていうか、同じ様式で作ってると思うよ」


「確かに! って、喋ってないで早く行こ!」


 僕は華奈に腕を引っ張られながら付いて行く。

 その後は、校舎を入ってすぐの事務室で見学の旨を伝えて入館の署名をすると華奈と共に校舎の見学を始めるのだった。





 その後は、学食で昼食を食べたり、訓練場を巡ったりしながら自分たちの通うことになる学校を隅から隅まで巡り、その後は街に出て日が暮れる頃まで街並みの散策をした。

 そうして、僕と華奈は街を一通り巡り満足すると、転移を使って一瞬で帰宅する。


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