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数多の世界で紡ぐ物語~秘されし神の皇は数多な異世界を渡りその崩壊を防ぐ~  作者: 灯赫
3章 【幕間】高天原の神秘の街

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1話 リリィに会いに

3章開始です。

序盤は“アルメア”でのリリィとの話です。

「凪! 早く行こ!」


 朝食を終えると華奈はパパっと皿洗いなどを済ませるとそう言って、僕に迫って来る。

 今は“アルメア”から戻ってきて三日目の朝だ。

 今日は土曜日で学校は無い。

 そして、リリィに会いに行くと約束した日であった。


「そうだね、準備は……もう出来てるよね?」


「うん♪」


 華奈に抜かりはなく既に着替えを済ませて向こうに持っていくものなども既に自身の<アイテムボックス>の中に収納していた。

 行く前にすることも既になく、家の戸締りを確認すると僕は華奈と一緒にリリィのもとへと転移した。





 私は、朝からソワソワしながら過ごしていた。

 どうしてそんな状態なのか。

 それは昨夜、寝る前の事だ。

 ナギ様から明日の朝にこっちに来るという連絡を貰ったからだ。

 まだ、別れてから数日しかたっていないが思った以上に寂しいと思ってしまう。

 なので今日、ナギ様と華奈ちゃんに会えるのがとても楽しみなのだ。


 そんなことを考えている内にベットの前あたりの絨毯が敷かれるのみの空きスペースがある場所に光が生まれた。

 すぐに、その中からナギ様と華奈ちゃんが出てくる。

 嬉しさが限界突破した私は取りあえずナギ様の方に向かって飛び込んだ。





「うおっ!」


 転移した瞬間、目の前に何かが迫る。

 とっさに受け止めたそれはにこにこ笑顔のリリィだった。


「ナギ様っ! お待ちしていました!」


 えへへっと笑いながら僕の腕の中でリリィは出迎えの言葉を言う。

 すると、リリィの頭に横からスッと手が伸びてきて撫で始める。

 その手に気づいたリリィは手の出所の方に頭を向けた。


「華奈ちゃんも待ってましたよ」


「三日ぶりだね~。リリィちゃん」


「はい! 三日ぶりですね華奈ちゃん」


 僕は、ゆっくりとリリィを床に下ろした。

 僕から降りたリリィはちょっと待ってて下さいと入り口からひょこっと頭を出して廊下の人になにかを伝えるとすぐに戻って来る。


「取り敢えずお父様にお伝えしました」


「ありがとう、リリィ。

 それで、何しよっか?」


「はい、お父様の反応があるまでお茶にしませんか?」


「私はそれでいーよ〜」


「じゃあ、お茶でも飲んでゆっくり待つか」


「私、お茶入れるね」


 そう言って華奈は備え付けのキッチンの方に向かった。

 準備整った後に元の世界に戻った後のことなどをそれぞれ話しながらお茶をした。

 その間にクルスさんから返って来た返事は昼前に一度来て欲しいとの事だった。

 僕たちはその時間まではゆっくりと過ごしたり、今後の事も多少相談する。

 それから時間は刻々と進み約束の時間となった。





 コンコン


「お父様、リリィです」


「おお、入れ」


 扉の向こうから声が聞こえてくる。

 僕たちはドアを開けるとその中へと入っていく。

 ドアの向かい側には大きなデスクが置かれ、その後ろにある窓から入って来る光に照らされて一人の男が座っていた。

 そう、この国の国王クルス・ドゥルヒブルフ・フィアルだ。

 また、僕の妻の一人、リリィの父でもある。


「戻りました、クルスさん。

 それに、ドゥルヒブルフ神も」


「おお、ナギ殿。お久しぶりです」


 始めに、大きなデスクの前に並べられたソファーに座ってお茶を飲んでいたこの世界の神であるドゥルヒブルフ神からの返事が返って来た。


「ナギ君、よく戻って来てくれたね。

 にしてもドゥルヒブルフ様から話を聞いたときは驚いたよ。

 まさか君も神なんてね」


「ははは、そうですね。

 あ、後ろの二人も神の妃って事で種族としては神の一部ですよ」


「そうなのか、ん? ……え、何て言ったかい?

 リリィが種族として神の一部に入るって!?

 ナギ君もドゥルヒブルフ様もちょっと初耳なんですけど……」


「ああ、じゃあそう言う事です」


「すまない、それを教えるのを忘れていた」


「あ、ああ。取りあえず理解はした、理解は……」


 既にクルスさんは一杯一杯になってしまった。

 それから、オーバーヒートしていたクルスさんを待つ間に僕たちはドゥルヒブルフ神の反対側に座ると、取りあえず自分たち用にお茶を入れた。


「ふぅ。待たせたな。

 それで、久しぶりだね」


「はい。取りあえず今回は今日と明日それで明後日の早朝にでも帰ろうかなと思います」


「おお、そうか。なら、大丈夫だな」


「えっと、何が大丈夫なんですか?」


「え、結婚式だが」


「は?」

「え?」


 僕と華奈の返事が重なる。

 結婚式とか初耳だ。

 クルスさん、ドゥルヒブルフ神、リリィと順に顔を合わせてみるがただ微笑み返されるのみだった。


「マジですか?」


「ああ、取りあえずこの後、夕方……黄昏時に式を挙げて夜は城で披露宴だな。

 国の貴族や大規模な商会などの人には既に招待状は出してある。

 ドレスなどの準備もしてあるからこの後は衣装合わせなど準備をすると良い」


 本気の話だった。

 既に準備はほとんど終わっているようだ。

 まあ、やらない訳にはいかないんだろうな~とは思っていたがかなり急に来た。


「分かりました、それじゃあこの後は準備しますね」


「あ、華奈ちゃんの方もドレスを用意してあるぞ」


「やった~! 凪! ドレスだって!」


 余程、嬉しかったのか華奈は僕に抱き着くほど喜んでいた。


「喜んでくれて何よりだ」


「クルスさん、華奈の分までありがとうございます」


「いや、リリィと同じナギ君の嫁なんだ。

 どうって事ない」


「じゃあ、準備もあるんでここらへんで戻ります」


「ああ、そうだな。

 それじゃあ、案内させよう」


 そう言ってクルスさんは手元のボタンを押す。

 すると、間もなく部屋がノックされてメイドさんが入って来た。


「三人を案内してくれ。

 取りあえず昼食からだ。その後は準備の方に移ってくれ」


「かしこまりました。

 それでは、ナギ様、リリィ殿下、華奈様、ご案内させていただきます」


 メイドさんは一礼するとドアを開けた。

 僕たちは最後にクルスさんとドゥルヒブルフ神に頭を下げるとメイドさんについて部屋を後にした。


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