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数多の世界で紡ぐ物語~秘されし神の皇は数多な異世界を渡りその崩壊を防ぐ~  作者: 灯赫
2章 召喚勇者と邪神の怨み

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54話 神秘管理部



 光が収まるとそこに見覚えのある景色があった。

 自身の目の前にある学校指定カバンの乗った机。

 前に目を向けると壁に掛かったシンプルなアナログ時計と時間割表。

 そして、教卓に黒板。

 黒板には本日の日付と日直の名前が書かれていた。

 左側にある窓からはまだ登り切っていない日差しが入って来ている。


 クラスメイト達は自身が戻ってこれたと認識すると、隣の人達と手を合わせて喜んだり、拳を合わせたりしてそれぞれ嬉しさを表現する。


 ガラッ


 突然、閉まっていた教室の前のドアが開いて五名の人が入って来た。

 先頭を歩くのはスーツ姿の男。

 その後に続いて、制服を着た警察官が四名。

 先頭の男は教室に入って来ると、既に教壇に立っていた村瀬先生の前で止まった。

 そうして、クラス全体を観察するように見回した。


「三年A組の皆さん、この度は異世界への転移お疲れさまです。

 見た感じ……欠員は無さそうですね。

 現在、皆さんが転移なさられてから二十四時間が経過しました。

 その間の事と今後の事、その二点を話させていただきますのでご着席お願いします」


 スーツの男が突然現れたことにより戸惑うクラスメイト。

 と、そこに教室の外に学年主任の先生が立っており村瀬先生は呼ばれてそちらに向かい、少し話を聞いて戻って来た。


「よし! みんな、座ってくれ。

 あっちの制服姿の人達を見て分かると思うが警察の人達だ。

 えぇ、この人たちは異世界転移帰還者たちに対して対応に当たる部署の人だそうだ。

 今後の人生に関わってくる話をするそうだから良く話を聞くように」


 概要を軽く聞いた村瀬先生は軽く説明をしてくれた。

 村瀬先生が言うならと納得したクラスメイト達は次々と静かになり座っていく。

 僕も華奈も皆と一緒に席に座った。


「では、皆さんお静かになったようなので話を始めさせていただきます。

 初めまして、私は警視庁神秘管理部の谷川と申します。

 今回の騒動について、皆さんがいなかった間の説明とこれからの過ごし方、その二点について説明させていただきます」


 始めにここ二十四時間の話だ。

 昨日の転移後、第一発見者は一限の担当の先生だった。

 そこで、色々とあって生徒および担任の村瀬先生が不在であることが確認。

 荷物が散乱していた事から何らかの事件が発生したとされ警察に通報が入った。

 直ぐに駆け付けた警察が魔法陣を発見。

 その情報が神秘管理部の方に伝わり、専門の人が調査を行った結果、往復型の召喚魔法陣であることが判明。

 魔法などの秘匿された神秘に関連するため箝口令が公布され担当の人間により学校全体に認識改変などがおこなわれ騒動は秘匿された。

 そして僕たちの帰還を待つために現在、学校は臨時休校だそうだ。


 続けて今後の話。

 前提として魔法や人族以外の獣人族やエルフ族などの人種、また魔物は神秘としてこの世界ではまとめて称される。

 これは一般の人々には露見しないこと、また露見した場合は適切に処理する事と国際神秘秘匿条約で制定、またこの世界の神より指示されている。

 これに則って僕たちには夏休み以後、そういった帰還者、異種族を集めた学校に転校することになるそうだ。

 これに関して僕は既知のことであり、学校に関しても魔法関連が露呈しない限りはこちらで過ごすつもりだったが今回はそちらに移るいい機会だろう。

 ちなみに、費用に関して負担は無しと大盤振る舞いだ。

 また、夏休み期間中にこちらに居る間は暴発を防ぐため魔法やスキル、身体能力等を封じるための措置を取るそうだ。


「何か、質問はあるかな」


 スーツの男がそう尋ねたところですぐに手が上がる。

 手を上げたのは藤堂だ。


「はい、そこの君」


「その学校っていうのはどこにあるんですか?」


 これは重要な話だ。

 僕は既に行ったこともあり知っているのだが皆は知らないはず。

 スーツの男はすぐに答えた。


「あ、その話はしていませんでしたね。

 それじゃあそこ話を少し。

 始めに、みなさんに通ってもらうのは高天原高校になります。

 場所は東京都の高天原市。

 高天原市についてはみなさん聞いた事はないと思います。

 これは神秘を秘匿するために作られた神秘の当事者たちが暮らす街で一般人には秘匿されており、入市する際には特別な方法をとる必要があります。

 そして、みなさんにはその学校の寮または市内に住んで頂きます。

 場所、入市方法等に関してはこの後資料を配りますのでそちらでご確認ください」


「ありがとうございます。

 あともう一つ良いですか?

 能力を制限するのはどうするんですか?」


「はい。

 今のところ魔道具を皆さんに装備してもらうことを予定しています」


「ありがとうございます」


 藤堂が座り、再び質問者を募った。

 だが、数秒しても上がる手は無い。


「他には……無いようですね。

 それでは、本日の説明は終了とさせていただきます。

 詳しい資料をまとめてお渡しします。

 こちらは、情報拡散防止用の魔術がかけてありますがくれぐれも紛失等ご注意ください。

 その中の転校に関する資料を熟読、記入の上、終業式の日までに提出をおねがいします。

 明日も私は来ますので質問があればその都度伺います」


 そうして、谷川さんは村瀬先生に少し話をした後資料を置いて教室から去っていった。

 その後の教室は緊張が解けガヤガヤとだんだんうるさくなっていく。


 それから、一週間ほどを転校関連の対応のためドタバタと過ごし……。

 夏休みが訪れた。


今回で2章が終了です。

次回から3章に入っていきます。



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