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数多の世界で紡ぐ物語~秘されし神の皇は数多な異世界を渡りその崩壊を防ぐ~  作者: 灯赫
2章 召喚勇者と邪神の怨み

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47話 帝都

 藤堂たちが、魔王の巣に向かって出発を始めた頃。

 僕たちは、帝国へと潜入していた。


<千里眼>を使って、帝都の位置を確認。

 そのまま、僕と華奈、リリィの三人で帝都の外に転移して門から正式に帝都に入った。


「にしても、あの城。

 すごいな」


「すごい真っ黒。

 魔王城みたいだね」


 僕たちが門に入ってすぐ目に入って来たのは綺麗に整えられた大通りと、その奥に見える帝城だ。

 街に関してはドゥルヒブルフ王国の王都と遜色なく綺麗に整えられており、活気もある程度はある。

 そして、帝城。

 皇帝の住む城であり、外壁は真っ黒。

 それどころか太陽の光を反射するほどであり、どこか街から浮いているようにも感じる。

 外見だけなら魔王城と言っても良いだろう。

 一度来たことのあるリリィによると、中は真っ黒では無く普通だそうだ。


「皇帝が見当たらないから、とりあえずここで待機かな。

 見つかるまでは街で時間つぶしだな」


「やった!」

「はい!」


 そう言うと二人から元気よく返事があった。

 ここに来る前に魔法の地図で皇帝がどこにいるか探してみたが充電切れまでには見つからなかったので、随時確認して姿を見つけたら帝城に乗り込むつもりだ。


「じゃあ、最初にギルドに行こうか」


 そうして、僕たちは情報集めのために帝都にある冒険者ギルドに向かって歩きだす。


「なんか、思ったより綺麗」


「この帝都はまだ出来て十年ほどなんです。

 前皇帝から現皇帝に代替わりする際にこちらに遷都してきたみたいですよ」


「じゃあ、けっこう新しいんだね。

 あ、凪。

 向こうの屋台の飲み物美味しそうだよ。

 喉乾いたし買おう!」


 僕の袖を華奈がクイクイと引っ張る。

 華奈にお金を渡すと先に行ってるねと屋台の方に小走りで向かって行ってしまった。

 なので、僕はリリィと一緒にゆっくり華奈を追いかける。


「ありがとう! 

 おじさん」


 屋台にたどり着くと華奈は既に購入を終えており、瓶を一本渡された。


「はいっ、凪。

 フルーツジュースだって。

 リリィちゃんもはい♪」


 フルーツジュースは黄色。

 一口飲んでみれば柑橘系を中心としたものだった。

 酸味が強いかと言えばそう言ったことは無く、かなり飲みやすい。


「美味いな、これ」


「はい、おいしいです」


 その場で少し休憩。

 フルーツジュースを飲み終えた後の瓶をサッと魔法で洗浄して返却してから再び移動を開始した。

 ただ、そのままギルドに向かったかと言えばそうでは無く何件かスイーツ系の屋台を寄り道していくことになった。


 それから、買い食いしながら大通りを歩き十分。

 帝都の中心部に程近い広場にたどり着いた。

 広場ではさまざまな屋台が出店しており賑わっているが目的はそこでは無い。

 広場を囲む建物の内、その建物の前には屋台が出ておらず建物への人の出入りが激しい。

 そここそ目的の冒険者ギルドマルスリオン帝国帝都支部だ。


 ギルド自体どこの支部であってもグレードの差はあれ構造や内部の配置はほとんど一緒の造りだ。

 そのため、この帝都支部は最高グレードの支部でドゥルヒブルフ王国王都のギルドとまったく同じ造りである。

 だが、ギルドの中に入ってみれば造りは同じはずなのに何かが決定的に違った。

 少し考えてみれば、こちらの空気は王国のギルドの活気の良さとは真逆でとても重たくどんよりとした空気である。

 酒場も荒れており、昼間っから飲んでいる冒険者で一杯だ。

 空き瓶や木製のグラスが床に落ちていて、その中で酔いつぶれた冒険者なんかも一緒に寝転んでいる。

 見ているのも気分が悪くなるような光景だったのでそこから立ち去ろうとしたのだが、そこで気になる話が聞こえてきた。


「にしてもこの国は大丈夫なのか?

 前まで依頼になってた戦争、やばかったんだって?」


「ああ、そうらしい。

 依頼を受けて逃げ出してきたやつが昨日王都に戻って来たらしい。

 そいつのいた左翼はたった二人にやられたらしいぞ。

 ランクなんて関係なく全員黄金の騎士に一発で気絶だそうだ。

 しかも、目が覚めた時にはデカい蟻の魔物に襲われて逃げ出してきたって話だったよ」


「マジか。

 受けとかなくて正解だったな」


「ああ。

 しかも、派手にパレードして出ていった皇子の行方も掴めてないらしい。

 今のところは捕虜になっているって説が有力だ」


「ま、その話には頷けるな。

 戦闘ができるっていう噂は一切無いし、それどころか部下をこき使ってるらしいじゃないか。

 自業自得だな」


「そら、大量の宝石の嵌った金ぴかな鎧つう観賞用の装備を大真面目に自慢げに着ている時点でもうダメだろ。

 まあ、光の反射で一瞬目つぶしが出来るくらいか?

 俺らにはあんなこと怖くてできねえな」


「ああ、その通り」


「そう言えば、SSランクのゼルドも参加してたらしいけどあいつも黄金の騎士に一発だったらしい。

 しかも、指揮官の方も気づいた時には首が無くなってたらしい。

 首を落としたのが女だっつう噂もある」


「マジか、ゼルドでさえ一発とか王国の騎士やばくね。

 その首落した女ってのも暗殺者か何かなのか?

 けど、白昼堂々気づかれずってのがヤベえ」


「今回の戦争はこっちから吹っ掛けたって話だ。

 返り討ちにあっちまって帝国はこれからどうなっていくのかな?」


「それ俺らが気にする必要あるか?」


「ん? いや確かにそうだな。

 依頼受けて金貰って飲んだくれてる俺たちにとって国がどうなろうと問題ないな。

 さすがに俺らにも被害がきそうなら逃げはするけどな」


「そうだな~」


 どうやら、早くも敗戦の話が噂になっているようだ。

 ただ、冒険者にとって国は簡単に移動できるのであってないもの。

 そのため、話の受け取り方はかなり軽い。


「敗戦の話、もう届いてるみたいだね

 しかも、盛大なパレードをしてから出発したとか。

 かなり哀れだな」


「自分たちの実力を見誤った帝国の自業自得です」


「まあ、あの皇子は自尊心の塊だったからね」


 その後は、依頼ボードも確認する。

 依頼に関して見た目上はいたって通常通り。

 ただ、護衛依頼に関して依頼主が帝都在住の貴族がほとんどで、恐らく敗戦したため自分たちが被害を被る前に逃げてしまおうと思っているのだろう。


「うん、なんとなく帝都内部の雰囲気は察せたな。

 時間も頃合いだし何処かでお昼にしよっか」


「分かりました」


「うん、そうだね。

 じゃ、そうと決まったら早速、行こ~!」


 ご飯と聞いてテンションを上げた華奈を先頭にして僕たちはギルドを後にした。

 街を少し散策しながら華奈がお店を探し、とある街角で女性が多く入店しているカフェがあったので僕たちはそこに入店した。

 


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