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数多の世界で紡ぐ物語~秘されし神の皇は数多な異世界を渡りその崩壊を防ぐ~  作者: 灯赫
2章 召喚勇者と邪神の怨み

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45話 魔王激突

「アネモネ! 

 抑えて!」


 青木は〈精霊魔法〉で契約した妖精の一人に呼びかけた。

 契約には双方の同意と名付けを必要としており青木と契約した固有属性の植物属性を持った妖精はアネモネと名付けられた。

 アネモネは指示に従い自然の魔力を使用して植物を成長させ、巨大になった蔦を使って魔王の巨体を絡め捕りその場に固定させる。

 それを好機と見たアタッカー役が一気に魔王に飛び掛かった。


「シュシュシュシュ!!!!」


 蔦から脱出しようとする魔王だが、アネモネが緩んだ所を新たに蔦で絡ませて再び抑え込む。

 その時、不利を悟ったのか魔王が音を立てるとともに地面からは太い石柱が魔王の周囲数十本突き出した。

 石柱は魔王への攻撃を阻む位置に突き出しており、けっこう厄介なものである。

 さらに、大量の石弾を周囲に飛ばし始めた。


「<城壁展開>」


 盾を持った高森が聖域の中にいる後衛全員の前に出るとスキルを発動させた。

 盾の延長線上に光の障壁が展開してゆき、後衛に向かってくる石弾をすべて阻む。

 盾に守られた後衛メンバーは前線で剣で叩き落したり魔法で障壁を作るなど回避をしている前衛メンバーのサポートをおこなう。

 ただ、破片が大量に飛び散り前衛は少なくとも軽い傷を負っていた。


「『ヒール』」


 聖域の中心で坂上が『ヒール』を使った。

 前衛はまだ聖域の中で戦っていたため、その効果により全員に回復が行き渡る。

 と、そこで魔王を抑えていた蔦の一部が切れる。

 アネモネも大量の魔法操作により対応できなくなり、魔王が再び動き出した。


 坂本が槍を持って一番に飛び出した。

 それを見た魔王は先ほどとは打って変わり、針のような石柱を地面から坂本の方に無数に刺突させる。

 アクロバットに悠々と躱し進む坂本であったが、着地の瞬間など気の緩んだ瞬間に石針に、何度も掠り貫かれていたためかなりのダメージを食らう。


「《執念》」


 坂本はそこで一日一度限りの大権を発動させると、紫色のオーラを纏う。

 ここまでダメージを負ってきたのはこれを発動させるためであった。

 発動と同時にスピードを上げた坂上は槍を前に構えると魔王に向かって一直線に飛んでいく。


「〈迅穿〉」


 スキルによって一気に加速。

 自身が大きな槍の穂先のようになり、魔王に突き刺さると先端から衝撃波が真っすぐに体を貫く。

 その一撃で、体を大きくのけぞらせた魔王は体勢を崩した。

 それを好機とみて後続も一気に畳みかけていく。


 魔王も抵抗しないわけがない。

 体制を崩しながらも杭を生やして防御、石弾を撃って反撃する。

 だが、その攻撃で怪我を負ったとしても後衛から即座に回復魔法が掛けられるため大事には至らない。


 攻撃を続けること約五分。

 接近戦が多くなってきたこともあり、高威力の攻撃も確実に当てられていた。

 そのため、魔王の顎は既に砕け、黒光りしていた表面の殻も砕け、亀裂が入り、泥まみれ。

 魔王もかなりボロボロになっている。

 藤堂たちも終わりが見えてきたことで気が抜けてきていた。

 その一瞬の油断をした時のことだ。


「ジャジャジャジャ!」


 魔王は突然、体を大きく震わせた。

 それと共に、砂埃が舞い上がり魔王の近くにいた人たちは一度大きく後退する。

 前衛メンバーは魔王の動向をそれぞれの武器を構えながら確認していた。

 数秒の内に砂埃は晴れ、魔王を確認してみれば黒いオーラを纏っていた。


「体力低下による強化って感じかな?」


「ああ、多分そうだろ」


「よし、ダメージは確実に溜まっている。

 強化に注意して、一気に畳みかける!」


 それを聞いた前衛メンバーは大きくうなずいた。


「アネモネ、もう一回抑えて!」


 芽生の言葉に答えたアネモネは再び蔦を伸ばして魔王を押さえにかかる。

 だが、魔王は黒いオーラの効果によってか力が強くなっていて先ほどのように絡め捕ることは出来ないが、アネモネはアネモネでしつこく蔦を絡ませていくため魔王の気はそちらの方へと向いている。


「よし! 

 今のうちだ!」


 その声に合わせて前衛メンバーが魔王に向かって走り出し、後衛は魔法の詠唱や矢を弓につがえて準備をする。

 そして、前衛が魔王に攻撃する直前、準備していた魔法や矢を一気に放つ。

 魔法や矢が魔王に当たって、所々で爆発が起こる。

 そこに前衛メンバーが追撃をおこなおうとしたのだが……。


 魔王の体から黒い衝撃波が全方位に向かって放たれた。

 その衝撃波はまだ飛んできていた魔法を撃ち消し、矢を叩き落とす。

 前衛メンバーもそれを確認してやむを得ず、一度後退。

 次の攻撃の期を探るのだが、魔王はそれだけではとどまらなかった。


 魔王は黒いオーラを周囲に噴出させ、それを空中で無数に凝縮させて剣を形作る。

 毎秒十本ほどのペースで生成されていく黒い剣はあっという間に三百を超えてしまった。

 その脅威によって藤堂は一度、全員を聖域の中まで後退させる。

 そして、一本の黒い剣が射出された。

 剣は藤堂へ向かって寸分違わず真っすぐと飛ぶ。


 その剣を阻もうと高森が最前列に踊り出し<城壁展開>を使用。

 障壁を展開した。

 黒い剣は勢いよく障壁の中央に突き刺さる。


 ピシッ


 そんな音が聞こえたかと思うと、剣の刺さった部分から亀裂が一瞬にして全体に広がって端の方から崩れ落ち始めた。

 すかさず、藤堂が剣を作成し投擲。

 黒い剣に当てると剣は黒いオーラに戻り、宙に消えていった。


「ぐ、障壁が!」


「高森! 

 俺が代わるから後ろに下がってろ!」


 藤堂は即座に判断して場所を入れ替わり最前線に出る。

 その間にも剣は増え続け、魔王の周りには黒雲が立ち込めているように思える。


「舞、属性バフ頼む」


「分かった! 

『ホーリーエレメンタルトーチ』!」


 坂上が藤堂の要請を受けてが魔法を発動させた。

 坂上の目の前には白い光で編まれた杖が地面に突き刺さっている。

 杖からは一定間隔で白い波動が周囲十メートル辺りの所まで発生していた。

 この魔法によって波動の範囲内にいる人の光属性の武器、魔法が強化される。

 効果範囲は狭く、本来なら藤堂のいる場所まで効果は届かないが聖域の効果により藤堂の場所までその効果は届く。


「舞、ありがとう」


 坂上にに感謝を伝えるた藤堂は魔王を強く睨み見上げる。


「来い、魔王!

 ここで終わりにする!」


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