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数多の世界で紡ぐ物語~秘されし神の皇は数多な異世界を渡りその崩壊を防ぐ~  作者: 灯赫
2章 召喚勇者と邪神の怨み

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20話 唐突な野営

 早朝に村を出た僕たちは森の中の細い道を進みたまに遭遇する低級の魔物を狩る。

 そしてお昼頃に“ピザン”へ続く街道へ合流した。

 ちょうどキリが良いということで合流地点昼食をとると街道を歩き始める。

 ただ、まだまだ“ピザン”への距離は長く日の出ている内に街の外壁さえ捉えることは出来なかった。

 そのため、本日の移動は日が沈み真っ暗になった時点でいた場所で切り上げることに決定した。


「暗くなってきたからここらで今日はストップかな」


 僕は二人に確認を取る。

 まあ、そんな確認を取らずとも返事は分かっていた。


「ねえ、凪」


<箱庭>を展開しようとしたところで華奈から待ったがかかった。


「野営しよ?」


 華奈は<箱庭>のコテージで泊まるのではなく、街道脇にテントを張ってそこに泊まりたいということだ。

 理由はなんか旅をしている感じがしないということだった。

 さらに、それだと押しが弱いと思ったのかリリィが加わったのでもし野営をする必要があった場合の予行演習と言う理由も後から加わる。

 僕としてはどちらでも良かった。

 ただ、リリィの意見も聞いとかなければ返事は出来ないと思って聞いてみればリリィもキラキラした顔で「私もやりたいです!」と即答だ。

 ということで街道の脇でテントを張って野営をすることとなった。


「それじゃあ、三人で手分けして準備していくぞ」


「はい、ナギ様」


「私も頑張るよ~!

 じゃあ取りあえず、『結界』」


<空間魔法>が使えるならば野営では『結界』を張っておくのがセオリーだ。

『結界』で野営をする範囲を決定した後に必要な物資を出していく。

 僕はブルーシートを広げるとその上に、テントや鍋、食器類と食べ物を必要な分だけ出した。

 話し合った結果、僕が料理をおこないその間に二人がテントを立てることになる。

 二人はテントを組み立て始めるのを横目に僕はかまどを作るとその周りに折り畳み式のテーブルとイスを組み立てて並べると、そこを使って料理を始める。


 僕が食材を一通り切り終わった所で華奈とリリィがテントを張り終えて僕の方へとやって来た。

 テントを張るのも一台だけだったのようですぐに終わったようだ。


「凪~。

 テント終わったよ~」


「あと炒めるだけだからちょっと待ってて」


「ナギ様、何の料理を作っているのですか?」


「これはチャーハンっていうものだね」


「お米と卵、後いくつかの野菜を細かく刻んだものを油でパラパラになるまで炒めたものだよ」


 食材はこの場で切ったが米は事前に炊いて<アイテムボックス>に保管してあったものを今日は使う。

 僕はリリィに調理工程を説明している間にも魔法でかまどの火力を一気に上昇させるとフライパンを振ってしっかりと混ぜる。

 高火力で一気に炒め、チャーハンは完成した。

 僕はフライパンを持って皿の並べられているテーブルの所まで行くと並べられているお皿にそれぞれ盛り付けていく。

 そして、全員の分が揃い僕の合図で食事を開始した。


「「「いただきます」」」


 まずは恒例の行事となっているリリィの味見だ。

 僕と華奈は静かにリリィが一口食べるのを待つ。

 視線に少し照れているようであったが、スプーンでチャーハンを一口分掬い上げると一気に口の中に運んだ。


「ん~♪

 おいしいです♪」


「それじゃあ華奈、僕たちも食べようか」


 リリィの反応を確認した僕たちもチャーハンを食べ始める。

 ただ、食事を始めた華奈がなんだか微妙な顔をしていた。


「凪、ちょっと足りない気がする」


「まあ、確かにね。

 う~ん、そういえば餃子があったかな。

 それを出そうか」


 確かにチャーハンだけでは量が少ないと思った。

 なので、<アイテムボックス>の中に作り置きしてあった大皿の餃子と醤油、取り皿を取り出す。

<アイテムボックス>のレベルは最大なので時間経過の停止が可能であり、出した餃子は温かいままである。


「これがギョウザですか」


「うん。

 この醤油につけて食べてみな」


 僕はそう言って醤油の小皿とフォークを渡す。

 リリィはまだ箸が使えないのでフォークを使う。

 そして、リリィは皿に盛られた餃子の内の一つをフォークで刺して取ると醤油を軽くつけてそのまま口に運んだ。


「これもおいしいです!」


「リリィのお口にも合ったようだし続きを食べようか」


 新たに餃子が並べられ食事が再開した。

 それから十五分後。

 テーブルに乗る皿の中にはもう何も残っていない。

 二人を見れば満足いったような顔をしている。


「「「ごちそうさまでした」」」


「よし、じゃあ食器類を集めて。

 洗うから」


 華奈とリリィがお皿を並べ僕が片付け三魔法をかけてから<アイテムボックス>に収納した。

 全てを綺麗に片付けてすっきりしたテーブルにお茶を淹れて座りなおした僕たちは寝る前の会議をおこなう。


「じゃあ明日の予定を確認するぞ。

 明日、街道を少し進んだ所でまた森の中に入っていく。

 確かそこに洞窟があったからその中で依頼品の採取だ。

 残った依頼は三件で一つはその採取で後の二件が依頼を受けた時に貰った小包を“ピザン”のギルドにて受け渡し。

 こんな感じで二人ともどう?」


「うん、私は大丈夫。

 リリィちゃんは?」


「私も問題ないです」


「じゃあ、明日は早めに出るから、もう寝よう。

 ただ、一応見張りの練習もしておこうか」


 もし、他者と一緒に野営をする場合に見張りを立てておく必要があるかもしれない。

『結界』もあるので相当高ランクの魔物が来ない限りは形だけになるが練習しておいて損は無いと思う。

 二時間ごとの三交代制に決めるとその順番決めだ。

 纏まった睡眠がとれる最初と最後を二人に譲るため、僕は二番目。

 華奈がリリィに負担を掛けないようにということで最後を受けることにしたので、リリィ・僕・華奈と言う順番に決定した。


「何かあったらすぐに起こしてね」


「はい。

 頑張ります!」


「じゃあ、僕と華奈は先に寝させてもらうね。

 おやすみ」


「リリィちゃん、おやすみ~」


 僕と華奈はリリィに声を掛けるとテントの中に入って睡眠をとることにした。


「お二人ともおやすみなさい」


 僕と華奈はそんなリリィの声を聞きながら眠りについたのだった。


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