表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
数多の世界で紡ぐ物語~秘されし神の皇は数多な異世界を渡りその崩壊を防ぐ~  作者: 灯赫
2章 召喚勇者と邪神の怨み

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/555

9話 今後の予定

「あれ?

 華奈ちゃんの片目の色が変わってます!」


 と言うのは華奈の左目が桜色になっているのだ。

 これは先ほど制限を一度解除した時に<偽装>も解除していたのでかけ直すのを忘れていたのだろう。

 神皇妃ということで<神眼>と神皇大権が付与されたため、その発動制限に紋章の展開があるため目の色も変わったようだ。

 ちなみに、神皇妃の場合は独自の紋章では無く夫となる神皇の紋章が共有され色違いとなる。

 リリィも気づいてはいないだろうが左目が空色だ。


「リリィちゃんも左目が空色になってるよ」


「ええっ!」


 華奈の返しに驚くリリィ。

 手鏡を取り出した華奈がそれをリリィに向けてみれば中に映った自分の目を見たリリィは再び驚いていた。

 僕が理由を説明したところリリィは納得がいったようだ。


「あ、そうだ!

 リリィちゃんの力の使い方の説明をしていこうよ!」


「ええっと、ナギ様?

 これも説明してもらっていいですか?」


 僕はこれに頷くと再び説明を始める。

 リリィが僕の妻として種族が神皇妃になったことで基礎的な能力が上昇した。

 また、称号に【第三世界線神皇妃】というものが華奈と同じく追加されており、そちらでも能力の上昇がある。

 そのため、今まで通りの力の出し方でいると周りを破壊しかねない。

 制限を掛ければそんなことは問題なくなるのだが常に力の出力が制限した状態での百パーセントになってしまう。

 そのため、制限をする前に力を制限する方法を身に着けておいた方が良いのだ。

 それを聞いたリリィは十分納得してくれた。


「じゃあ二人とも練習場に行こうか」


 僕たちは立ち上がると、先に出していたテーブルとイスを収納する。


「ナギ様? 練習場って?」


「うちの地下にあるんだ。

 ちょっと見ててごらん」


 演出のためにパチンと指を鳴らす。

 僕は音と共に偽装していた館の透明化を解除した。

 すると、少し先に館の土台がスッと現れたかと思うと、そのまま上に向かって館が姿を現していった。


「普段はこんな感じだよ」


「……え?」


 館の出現を目にしたリリィは目を大きく見開いて驚いている。


「ふっふっふ~。

 やっぱりそうなるよね~。

 私も初めて見た時はリリィちゃんとおんなじ反応だったよ~」


 リリィの横に立った華奈が声をかけていた。


「リリィ、華奈それじゃあいこう」


「うん♪」


「……あ、はい!」


 すぐに返事が返ってくる華奈と僕の言葉で引き戻されたリリィ。

 僕は二人に手を差し出すと手を繋いで歩いて移動を始めた。


 館にたどり着いくと早速、地下の練習場へと降りていった。

 今のリリィに必要なのは力の制限の仕方の訓練だ。

 とりあえず、今のフルパワーを知ってもらってから徐々に出力を低くさせていく。

 華奈も同じ方法で半日と掛からずにできたのでリリィも同じくらいの時間を目安に訓練をおこなう。

 華奈が張り切ってリリィに教え込んでいたので僕は必要ないようだった。

 そうして、予定より少し早くリリィの出力調整は終了する。


「凪、これくらいでいいよね?」


「そうだね。

 これくらいで大丈夫」


 ただ、想定外の事態で出力が出すぎてしまうという可能性も考えられるので<制限>を保険にかけておく。

<制限>はスキルの一種であり自身の指定した以上の能力が出せなくなると言うものだ。


「華奈ちゃん、ナギ様! 

 ありがとうございます」


「それじゃあ城に戻ろう。

 さ、手を出して」


 二人の手を握ると転移を発動させてリリィの私室へと帰還した。

 ただ、そこからゆっくりする訳にはいかない。

 リリィとの婚約は成立したので、報告をしない訳にはいかないのだ。

 僕たちはリリィの父クルスさんとその奥さん。

 合わせて、リリィの兄弟全員の部屋を回って結婚報告をおこなう。

 予想以上にそれぞれの反応は快いものでそれぞれから歓迎されたのだった。

 そして、一通り回った後に夕食に呼ばれ、リリィの家族全員と一緒に食事をすることになった。


 食事も終わり、長かった一日もあと少し。

 僕たちはリリィの私室へと戻って来た。


「ふ~。

 挨拶も済んだしやるべきことはこれで終わりだね。

 後は、これからの行動を決めておくべきかな」


 部屋に戻って来た僕と華奈はずっと王族に囲まれていたということによる気疲れからソファーに深く座り込んだ。

 そして、最後に部屋に入って来たリリィは疲れている様子など一切なく、僕たちのことを見て少し微笑みながらふんわりと僕の横に寄り添うようにして座った。


「それで、別行動をするんだよね?」


「そうだね。

 ただ……」


 僕はリリィの方に視線を向ける。

 それは、リリィがこの後に言おうとすることを察したから。


「もちろんついていきます♪ 

 ナギ様の妻ですから」


 予想通り。

 まあ、リリィと結婚してからはすぐにでも訓練を始めようと思っていたので問題は一切ない。


「となると……。

 邪神の動きを探りながら帝国の方の情勢を調べておくべきかな。

 リリィの件もあるし」


「私は何でも大丈夫」


 華奈は事情はすべて知っているので即答だった。

 ただ、リリィの方は……。


「えっと……邪神って何ですか?」


 何も知らないのだ。

 邪神関連の話は僕たちの役目からすると最重要な話である。

 リリィも無事に僕たちの家族となったので隠す必要はない。

 そのため、事の発端である三年前の話からリリィへと説明をおこなった。


「そうなんですか……。

 分かりました。

 私もこの世界を守るために頑張ります」


「あ、そういえばドゥルヒブルフ神に報告をして無いや。

 ……呼ぶか」


 ドゥルヒブルフ神を<念話>で呼び出す。

 まあ、神を呼び出すって言うのも何かあれだが立場的に何ら問題ない。

 そうして、五分と経たずドアがノックされてドゥルヒブルフ神が現れた。


「ナギ殿どうされたのでしょうか?」


 立場的な問題でドゥルヒブルフ神の呼び方はこうなっている。

 最初は神皇陛下なんて呼ぶもんだからさすがに僕自身がちょっと恥ずかしくなったので話し合った結果、この呼び方に落ち着いた。

 ドゥルヒブルフ神はこの国の神であり、この世界の上位神の内の一柱だ。

 そのため、リリィが嫁入りしたことを報告した。


「おぉ! 

 ナギ様、リリィ様、おめでとうございます」


「ありがとうございます♪

 ドゥルヒブルフ様」


 リリィはドゥルヒブルフ神に笑顔で返事を返した。


「取りあえず僕たち三人で帝国の方に情報集めに行こうと思います。

 勇者たちのこと、よろしくお願いします」


「承知しました、ナギ殿。

 私はこちらで魔王の動向を見守りながら勇者の強化をさせていただきます」


「頼んだ」


「それでは私はこれで……」


 伝えるべきことは伝え終わった。

 ドゥルヒブルフ神もこの後に予定があるそうで下がっていった。

 そして、僕たちは再びこれからの予定についての話を始める。


「一週間は説明があるから出ていけないね。

 とりあえずは、城で待機かな」


「はい、分かりました。

 私は準備してお待ちしています」


 僕たちはこの世界に関してのガイダンスがある。

 それに参加しないというのはかなり不自然になるので出発はそれが終わる一週間後以降だ。


「冒険者として“要塞水都フィル”まで北上しながらリリィの訓練。

 そこから、出国して帝国に移って情報収集だな」


「それで大丈夫です」


「私はこの世界のことはあんまりわからないから凪に従うね」


「じゃあ一週間後に出発。

 その間にゆっくり準備していこう」


 これにて、今後の予定は決定した。

 まあ、その後は雑談だ。

 リリィと華奈は昨日初対面でちゃんと話し始めたのは今日。

 二人は自己紹介から入って一時間と経たずにけっこう昔からの親友であるかのように仲良く話をするようになった。


 それから、日が沈んでからけっこうな時間が経った。

 城下街でも人通りがほとんどなくなり、街灯には虫がたかっている。

 城内も静かになり、気づけばほとんどの人が眠りについてしまっていた。

 さすがに夜が深まって来たので僕たちにも眠気が襲ってきている。


「そろそろ眠くなってきたし二人とも寝よっか。

 それじゃあ僕たちは部屋に……」


 と言いかけていたところリリィに腕を引っ張られた。

 リリィはもじもじしながら何ともあがらい難い甘えるような目を向けてくる。


「ナギ様、一緒に寝ませんか……?」


 その可愛さに僕はフリーズした。


「ふっふっふっ~♪」


 その時、空いていた反対の腕も固定された。

 そちらを向けば華奈が僕の腕を掴んでいる。

 華奈のその目は有無を言わせないような圧力があった。


「凪君、ね、いいでしょ?」


「ね、ナギ様。

 お願いします」


 僕は両側からの視線の圧力に押された。

 そのまま、二人の妻にベットへ引きずり込まれたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ