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数多の世界で紡ぐ物語~秘されし神の皇は数多な異世界を渡りその崩壊を防ぐ~  作者: 灯赫
1章 始まりは咲き乱れ

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15話 継承

「凪君、お帰りなさい」


 花園へと帰ってきた瞬間に真美さんはこちらを向いてそう出迎えてくれた。

 そして、残りの二人の視線もこちらへと向いた。


「三人で見てたわよ。

 最後まで気を抜かない。

 いい結果じゃないかしら」


 真美さんの評価は上々である。

 ただ、僕が気になるのは真ん中に座っている女性の存在だ。


「ふふっ。

 私のことが気になるのかな?」


 真ん中にいた女性は僕の視線に気づいたようだ。

 予想外に声を掛けられて僕は驚いた。

 その反応を見た三人は僕のことを見てほほ笑んでいる。


「それじゃあ、最初に自己紹介をしてしまおう。

 私は第零世界線神皇《輪廻》シシル・ククア。

 始めまして、凪君」


「シシルさんですね。

 朔月凪です。

 よろしくお願いします」


 シシルさんから差し出された手を握り返してそう返事を返した。






「それで、試験の結果だけども文句なしに合格ね」


 僕はその言葉を聞くなり緊張感が抜け、ホッと一息をつく。

 真美さんはモニターをしまうと、代わりに出されたイスを出した。

 真美さんに勧められるまま僕はイスに座る。


「まあ、今回は神を相手にしてもらったのだけどどうだった?」


「そうですね……。

 調子乗ってくれていたんで楽ではありましたね」


「そうね。

 まあ、討伐対象に入る神なんてそんなものよ」


 世界を壊す原因を起こす神は基本的に今回のように調子に乗った神がほとんどだそうだ。

 管理神に任命されれば、世界を壊さないようにさえすれば世界については自分の好きなようにできる。

 そのため、何でもできると思い調子に乗ったが最後、世界を壊すまで暴走を続けてしまうそうだ。

 他には、実例として我を忘れたりや、生物に対しての怒りで破壊行動に移ったことなどらしい。


 と、ふと自分の胸元にあるネックレスが目に入りリリィのことを思い出した。


「そう言えば茜さん。

 また“アルメア”に行っていいですか?」


「リリィちゃんのこと?」


 真美さんが僕の思っていたことを言い当てた。

 それと共に僕を囲む三人は笑顔になる。


「えっと……はい」


「うん、良いよ。

 たまにはリリィちゃんにも会いに行ってあげるといいよ。

 ただ、残ってる邪神の討伐を頼むかもしれないけど良いかな?」


「はい、分かりました」


 無事に“アルメア”に再び戻る許可が貰えた。

 ただ、僕としては早めに仕事に慣れたいというのもあるので少し時間をおいてから行くことにしたいと思う。


「また、何かあったら連絡するね」


 茜さんは最後にそう言った。

 そして、真美さんの話に戻る。


「それじゃあ、凪君。

 正式な神皇として継承の儀式をおこなうわよ。

 そのためにククアちゃんにも来てもらったのだもの」


 何でククアさんが来たのかと言えば継承の儀の立会を行うためだそうだ。

 継承に関しては、神皇の中で最長である人が立ち会うことになっているそうで、十ある世界戦で原初から代替わりをおこなっていないのはククアさんの第零世界線神皇だけ。

 そのため、ククアさんが立ち会うことになる。

 ちなみに、試験が始まる前に謎の助言をくれたのもククアさんであるそうだ。


 僕たち四人は立ち上がる。

 そして、僕と真美さんは向かい合う形をとった。


「では、……第零世界線神皇|《輪廻》シシル・ククアが神皇継承の儀を執りおこなう。

 此度の立会人は第五世界線神皇|《薄暮》日暮茜。

 ここに第三世界線神皇の座の継承を宣言する。

 《舞月》荒神真美から《慈愛》朔月凪へと座は引き継がれる」


 シシルさんのその宣言と共に僕と真美さんの紋章が発動した。

 継承の宣言に共鳴するかのように双方の紋章が一度大きく輝くと紋章は消えていく。


「これにて完了だ」


 継承の儀はあっけなく終了する。

 僕が神皇を継承したことにより手の甲にあった真美さんの紋章も消え去っていった。

 継承の儀が終わった僕たち四人は再びイスに座ると試験の評価とこれからのアドバイスについて色々な話を聞くことになる。


 そこから二時間ほどが経っておもむろにシシルさんは立ち上がった。


「それじゃあ、私は自分の“花園”に戻る。

 改めて、凪君。

 同じ神皇としてよろしく頼むよ」


「はい。お願いします。

 今回はありがとうございました」


 最後に再びシシルさんと握手を交わす。

 その後、シシルさんは『転移』で帰っていった。


「じゃあ、凪君に真美。

 私も帰らせてもらうね」


「ええ、茜も今回はありがとう」


「じゃあ、凪君。

 またね」


 茜さんはニッコリと微笑むと軽く手を振る。

 そうして、そのまま茜さんも帰っていった。


 そうして、残ったのは僕と真美さんの二人。

 正式に継承も終わり、“花園”も継承されることになるそうでそのことについての説明を受けることになった。

 前にも聞いたように“花園”というのは神皇に与えられたプライベート空間。

 空間とは言うが一つの世界と言った方が正しい。

 空間は世界と世界の狭間に広がる自然の魔力が溢れかえっている空間に存在している。

 この空間に入れるのは神皇と神皇が許可した存在のみ。

 内部の広さは基本的に有限ではあるのだが、広さを拡張することができる。

 拡張できる広さは無限なため、広さは無限であると言ってもいい。

 あとは、“花園”の中に更に小さな世界を作成できる。

 これは、そのままで“花園”の中からでは無いと入ることのできない世界を作成し自由に環境を形成することが可能だ。

 と、以上が“花園”の説明だった。


「それじゃあ、これからは私もたまには手伝うけども全てが凪君主体でやっていくことになるわよ。

 世界を壊さないようにね、頼むわよ」


「分かりました」


 そうして、僕は正式に神皇を継承した。

 これからは、第三世界線神皇として生きていくことになったのだ。


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