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奇跡の闘病記録  作者: なかさん
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入院2日目

16日午前4時

いきなりなりゆきが話し出した「お父さん、ぼく足がなくなった夢みたよ」と。

しゃべった事もそうだが、その内容に愕然とした。

「かわいそうに、とうとう下半身の感覚機能が無くなったんだな」と思うと涙が止めどもなく溢れてきだした。

「この足ももう使われることはないんだなあ」と思い両足を丁寧にさすった。

看護婦さんが、「今、確かに話しましたよねえ、決して話できる状態ではないんですけど・・・」

それっきりなりゆきは無言であった。今思ってもあの時の発言は何だったかと不思議に思う。夢かとも思うが看護婦さんも聞いているので夢ではないと言うことであるが。


朝10時

頭からスッポリ入れるビニール製の酸素吸入室が作られて、そこに酸素を送りこまれるようになり本人も安心したのかぐっすり眠っている。

昨夜電話でなりゆきの急変を伝えた神戸のおじいちゃんとおばあちゃんが大慌てでやってきた。

いきなり外でトラックのクラクションが鳴ったときにそれは起こった。

「ワーア、キャアーア、ブーン」まるで獣のような叫び声を挙げは始めたのである。

目はロンパリでどこを見ているかわからない状態であった。  

この状態には全員が驚いた。というより「ついに、アホになってしまった」という言いようのない敗北感にさいなまれたのであった。

おじいちゃんが「かわいそうで見ておれん」とポツリといった。

まわりで音がしない時は静かであるが、顔の形相はまるで今までとは違っていた。

「なーくん、お父さんやで、わかるか?」と聞いたら、目をつむって「ウン、ウン」と首だけ振っていたことが唯一の救いであった。

「まだオレをお父さんと認識できるだけの知能はあるんだ」と思った。

しかしなぜこの子がこんな姿になってしまったのかという運命を呪った。

「なにも悪い事はしていないのに、天罰ならオレにきてくれ」と心の中で何度も叫んだものである。


この夜はほとんど一睡もしなかった。(できなかった)

この時思いだした事は2つあって

1つは、5月の社内旅行に連れていった時の事である。

この時みんなで白浜に行った際に、神社にお参りしたのである。

みんな他の子がおもちゃ買ってほしいとかお祈りしている時になりゆきは「死んだらお墓に入れますよう。」と言ってほかのみんなを驚かせたのである。

それと2つめはわたしのメガネの事である。2つあるガラスのうち1つが無くなったのである。

2つともなくなる事はあっても1つしか無くならないのは不思議に思っていた。

わたしの子供は2人いるので、これも気になってしかたがなかった。


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