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奇跡の闘病記録  作者: なかさん
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日吉神社とお地蔵さん 

日吉神社とお地蔵さん   


わたしは先に書いたが、無宗教の人間である。妻もまたそうである。

二人ともたいそう楽天的なタイプで熱心になにかに祈るという種類の人間からはほど遠い存在である。

しかしこの時ばかりは、目の色を変えて一心不乱に祈った。

その祈りの対象は、「お地蔵さん」である。家の近所に日吉神社という古い神社があって、その鳥居のたもとの地蔵が、子供の役病によく効くという評判を聞きつけて、さっそく入院の次の朝からお参りをする事に決めた。

お参りにもルールがあって、観音とびら開けて初水を供え、焼香した後に「平成元年5月21日うまれ巳年の男の子、名前をなりゆきといいます、現在はしかによって、脳炎、髄炎、髄膜炎、肺炎を患っております。なにとぞ元の姿に戻して下さい。」と唱えて、般若心経を3回唱和するのである。その後黙礼してから、その場を離れるのである。

以上の行為を47日間続ける事によって、成就するそうである。

その時は本当に効くのかどうか、疑っている心の余裕がなかった。というかそれしか、方法が無かったのである。

祈りをけている間、助かった事は、猛暑の年であったがために、雨の日が少なかった事である。

カサをさしながら祈った記憶は2~3回しかない。ただ蚊が多くて、唱和している時などは格好の餌食になった。

たまたま地蔵盆の日があり、近所の住職が子供たちを集めて法話をしている場面に遭遇した事があった。近所のオバサンが「このひとたちは若いのに毎朝熱心に拝んでいるんですよ。こっちにきてみんなと一緒に、おかしでも食べません?ジュースもありますよ。」と親切に仲間にいれてくれた。

なにかにつけて、人の親切が身にしみる心境であった。

法話の内容は昔の住職の、役割についてであった。

テレビもラジオもない時代に、ニュースが全くはいらなかった環境の中、諸国をまわっている僧侶というのは、格好のニューソースであったという話。子供はそんな話には全く無関心で、もっぱらお菓子とジュースの方に気が行っていた。

しかし結果としてはこの地蔵に頼ったおかげである、と今でも確信している。


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