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9 美味しい料理

 街についた時には既に日が沈んでいた。それでも、街は明るく活気があった。

 私はすぐに串屋のおじさんのところに行った。お肉を焼いてもらうために!

 着いたがおじさんのお店は人気なのかすごく並んでいた。これではお肉を焼いてもらうどころではなさそうだ。

 少しがっかりとして立ち去ろうとすると、お店の方から大声が聞こえた。


「わりーな!もう売り切れだ!もし良かったら他の店で食ってってくれ!他もうめーからよ!」


 どうやら売り切れらしい。並んでる客も不満そうな声を出しながら渋々とほかの店に行く。

 これならお肉焼いてもらえるかも!


「おじさん!こんばんわ!」

「お?ああ、昼間の嬢ちゃんか。肉持ってきたのか?」

「うん!いっぱい持ってきたよ!」


 よく考えたら食べきれないほどの量を取ってきてしまった。このままインベントリに入れておくと腐ってしまう。どうしよう。……おじさんに聞いてみよう。


「食べきれないほどの持ってきちゃったんだけど、どうしよう?」

「余ったら俺が買い取ってやるよ!それより肉焼くんだろ?」

「うん!」


 私は焼いてもらうためにインベントリから<ビフタインの肉>と<ポーギーの肉>をひとつずつ出しておじさんに渡した。


「ホーンラビットの肉、じゃねえな。もしかして……」

「ビフタインとポーギーのお肉だよ」

「まじか!?よく買えたな」

「自分で取ってきたからお金かかってないよー」

「森まで行ったのか、嬢ちゃんは見かけによらず強いんだな!」

「そんなことよりはやく焼いてよー」

「いや、この肉をただの串焼きにするなんて勿体ねぇ。嬢ちゃん、付いてきな」


 そう言うとおじさんは屋台をさっさと片付けてどこかへと向かう。

 どこに行くかは分からないけど付いていこう。



「着いたぞ」


 そこは、一言で言えばすっごく高そうなお店だった。

 全体の雰囲気はファンタジーのお城と言った感じで、目の前の入口に『レストラン・ラフコンス』と看板がある。

 どうしておじさんはここに連れてきたのだろう?


「すごい……なんでここに連れてきたの?」

「ここはな、俺がオーナー兼シェフをやってる店なんだ」

「ああ、なるほ………って、ええええええ!?」


 オーナー兼シェフって、おじさんが!?


「なんでそんな人が串屋やってるの!?」

「あー、趣味みたいなもんだ」


 趣味で串屋をする高級レストランのシェフってどうなんだろう……。


「そんなことより、肉焼いてやるから入るぞ」

「え、私こんな高そうなお店でご飯食べられるほどお金ないよ!?」

「んなこと見てれば分かる。今回は肉持ち込みだし、余ったやつは売ってくれんだろ。それでいい」


 そう言っておじさんは中に入っていった。

 まぁ、いいなら気にしないけど……。


「「「オーナー、おかえりなさい」」」

「おう、今帰った。少し厨房を借りる。だれか嬢ちゃんの案内を頼む」

「かしこまりました」


 スタッフが一斉に挨拶する様を見ると、本当にオーナーなんだなぁと思う。


「お嬢様、お席に案内いたします。こちらへどうぞ」

「あ、はい」


 ザ・執事と言った感じの人に案内される。

 奥の個室に入り、椅子に座って待つ。


「料理が出来るまで少々お待ちください」


 そう言うと執事は退室した。


「あー、びっくりした。まさかこんなにすごい人だったなんて知らなかったよ」


 私が机に伏せてしばらくすると、扉がいきなり開いた。

 私は急いで体を起こして扉を見た。

 そこにはおじさんがいた。どうやらおじさんが扉を開けたようだ。


「料理できたぜ!」


 そう言うとスタッフ数人が料理を運んできた。

 それは、ステーキを初めとした数々の肉料理。中には現実世界でも見たことないようなものまであった。

 そしてどれもがとても美味しそうだ。


「これ本当に全部食べていいの!?」

「おう、たんと食え!」


 それを聞き、私は料理を食べ始めた。

 最初に手前にあるロールキャベツのようなものを食べた。


「んー!美味しー!!」


 野菜のシャキシャキと肉の弾力がすごく合う!!美味しい!!

 次はステーキ!

 口に入れた瞬間の肉の力強さ、それなのにすぐになくなってしまうほどの柔らかさ。すっごく美味しい!!


「あー、全部美味しかった!!」


 あっという間に全部食べてしまった。

 それにしてもあんな量を食べれるなんてVRじゃなきゃ出来ないね。太らないのは最高。


「相変わらず嬢ちゃんは美味そうに食ってくれるな!」

「だって本当に美味しいんだもん!」

「がはは!ありがとよ!」


 私が幸せの余韻に浸る。本当に美味しかった。


「そういや嬢ちゃんの名前聞いてなかったな」

「私もおじさんの名前知らないや」

「じゃあ自己紹介だ。俺はラフコンスだ。この店『レストラン・ラフコンス』のオーナー兼シェフをしている」

「私はカンナ。今日この街に来た異邦人だよ」

「カンナか、いい名前だ。よろしくな、カンナ」

「よろしく、ラフコンスさん」


「それでカンナ、ちょいと商談だ」


 私は姿勢をただし話を聞く。


「カンナが持ってきた肉だが、ポーギーの肉を1つ10,000G、ビフタインの肉を1つ15,000Gで買い取りたいと思う」


 えーと、いまはポーギーの肉が45個でビフタインの肉が30個あるから、全部で900,000Gってこと?高くない?


「そんなに高いの?」

「ああ、この肉はあまり出回らなくてな。むしろもっと払ったっていいさ」

「いえいえ!それならこれで結構です!」


 流石にこれ以上は貰えないよ!

 私はインベントリに入っているお肉をスタッフに渡してお金を受け取った。


「もしカンナが良かったらまた持ってきてくれ。そん時はご馳走するからよ」

「絶対持ってきます!!」


 美味しい料理は大事だよね!

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