7 決着
戦闘が終われば、魔物の死体は消える。それが消えてないということはまだ戦闘が終わっていないということ。
フォレストウルフの生き残りがいる、という訳では無い。
気配察知にはなにも反応はない。だが、こちらに向かってくる敵がいる。
おそらく気配察知を逃れるスキルなどを持っているのだろう。
それでも本能的に危険だと、逃げたいと思ってしまう。だが、逃げることは不可能だろう。
ならば戦うしかない。
私は死なないと誓った。生き残って、美味しいお肉を食べるんだ!
覚悟を決め、こちらに向かってくる敵を睨む。
敵はゆっくりと歩き、私の30m程手前でその歩みを止めた。
姿はフォレストウルフだが、その大きさが違う。
フォレストウルフは私の腰くらいの高さだったのに比べ、あの魔物は私の身長の3倍はある。
……この距離なら鑑定が使える。
<フォレストマザーウルフLv25>
……高い。フォレストウルフがLv3、4だったのに、その6倍以上。
どうすれば勝てるのか、ビジョンが浮かばない。
どうしよう……あれ、そういえばなんでまだ私は生きているんだ?いや、死にたいわけじゃないよ。けど、このLv差だ。瞬殺されてもおかしくない。なのにフォレストマザーウルフは動こうとしない。なんでだ…?
……もしかして、糸を警戒している?だとすると、フォレストマザーウルフには糸は効くのでは?それなら……
私はメニューを確認し、フォレストマザーウルフを見る。
……チャンスは1回。それを逃せば勝ち目はない。だが、それを物にすれば勝てる!……たぶん。
賭けになるけど、何もしないよりいい。
その時、フォレストマザーウルフに動きがあった。
右前脚を振り上げ、こちらに向かって振り下ろしてきた。
私は危険を感じ横に全力で跳ぶ。すると先程までいた場所に深く爪痕がつく。
何らかのスキルなのだろう。この距離で斬撃をとばしてきたのだ。
フォレストマザーウルフの前方の糸はすべて切れ、道ができる。フォレストマザーウルフはその道を駆けて私に襲いかかってくる。
「…っく!」
私は横に転がり攻撃を避ける。ギリギリで避けてカウンターを狙いたかったのだが、先程まで極限に集中していたのだ。あの領域にまたすぐに入ることはできない。今の状態でフォレストマザーウルフの動きを完璧に読むことはできない。
何度かギリギリで避けると、フォレストマザーウルフが攻撃の手を止めた。
なにか来る、そう思い身構えるが意味をなさなかった。
ガアァァァァァァァ!!!!!
フォレストマザーウルフの口から放たれた大音量の咆哮が、鼓膜を通り脳を揺らす。
体が動かず、フォレストマザーウルフの攻撃をもろに食らう。
体が飛ばされ、何度か地面をバウンドして包囲網の糸に引っかかり、動けなくなる。
だが、死んでない。
HPは1割も残っていないが生きている。
フォレストマザーウルフは自分の糸で動けなくなっている私に向かってくる飛びかかってくる。
このままだと潰されて死ぬだろう。
だが……私の勝ち。
「[罠作成]」
戦闘中に回復しきったMPをすべて使う。
現れるのは巨大な蜘蛛の巣、それがフォレストマザーウルフと私との間に何枚も出現した。
私に飛びかかってきていたフォレストマザーウルフは避けられずに蜘蛛の巣に突っ込む。
脱出しようと暴れれば暴れるほど絡まり、動けなくなる。
ついにフォレストマザーウルフが完全に動きが止まった。
そして私は、フォレストマザーウルフの首を落とした。
[エリアボスを討伐しました。報酬を獲得しました]
[プレイヤーの中で初めて北の森のボス<フォレストマザーウルフ>を討伐しました。特別報酬を獲得しました]
[北の森のボス<フォレストマザーウルフ>を特定の条件で討伐しました。特別報酬を獲得しました]
[Lvが上がりました]
[SPを獲得しました]
[Lvが上がりました]
[SPを獲得しました]
~
[スキルのLvが上がりました]
[スキルのLvが上がりました]
[[斬糸Lv1]が獲得可能になりました]
[[危険察知Lv1]が獲得可能になりました]
[称号《一騎当千》を獲得しました]
[称号《狼の天敵》を獲得しました]
[称号《大物喰い》を獲得しました]
うわっ!一気に流れてきた。
なんかすごく気になることが沢山あったと思うけど、とりあえず森の外に行こう。流石に連戦で疲れたよ……。
ふたたび平原に戻ってきたので、さっきのように寝っ転がる。
その体勢のままログを確認しよう。もちろん、空間魔法のLv上げも忘れない。
まず、フォレストマザーウルフってエリアボスだったのね。道理でLvが高いわけだ。よく倒せたな私……。
そして報酬だが、通常の討伐報酬と初回討伐の特別報酬、そして、よく分からないが特定の条件での討伐の特別報酬がある。
まず、通常の討伐報酬。
<森母狼の心玉>
森母狼の魔力が固まり出来た宝玉。
森母狼の力が宿っている。
見たところ素材アイテムといったところかな。まぁ、今のところ使い道がないけど。
次は初回討伐の討伐報酬。
<森母狼の腕輪>
装備すると動きが早くなる魔具。
AGI+30
なかなか強い。初期のままだから、アクセサリー枠は全然残ってるし付けておこう。
インベントリから出てきた腕輪は太さが大体指2本ほどで、森の模様が全体に彫られている。
それを装備して、最後の報酬を確認する。
<[気配遮断Lv1]のスキルオーブ>
使用すると[気配遮断Lv1]を獲得する。
とってもすごいものでした。
さっきの腕輪もそうだけど、特別報酬はかなりいいものをくれるみたい。
フォレストマザーウルフが気配察知に反応しなかったのはこのスキルの効果かな。
……いいね、これ。他にこの系統のスキルがあればステルスキルとか出来るじゃん。楽しそう。ちょっと、狙ってみようかな。
考えられるのは[暗殺]とか[隠密]とかかな。とりあえず、次からは気付かれずに倒していこうかな。
閑話休題
スキルがレベルアップしたよ。ついに!
やっぱり、実戦だと経験値が多いのかな?
今回レベルアップして[分体Lv2][蜘蛛糸Lv2]になった。
あと、新たに[斬糸Lv1]と[危険察知Lv1]を獲得できるようになった。
この戦いでLvが15も上がったので、SPは75もある。両方とも取ってしまおう。
スキルの確認は後でするとして、次は称号だ。
《一騎当千》
単騎で短時間で100以上の敵を撃破した者に与えられる称号。
全ステータス+25
《狼の天敵》
ウルフ系の敵を連続で100以上撃破した者に与えられる称号。
ウルフ系に与えるダメージが増える
《大物喰い》
単騎でLv差20が以上ある敵を撃破した者に与えられる称号。
自身よりLvが高いものに与えるダメージが増える
称号、つよい。
特に《一騎当千》がチートレベルで強い。これだけで5Lvくらい底上げされてるんじゃないかな。
他の2つも特定の敵だけだとしてもダメージが増えるのはありがたい。
それじゃあ、ステータスを見てみよう。
名前:カンナ
種族:亜人種 アラクネ
ステータス
Lv:18
HP:1550(+900+25)
MP:1350(+800+25)
STR:145(+80+25)
DEX:145(+85+25)
VIT:85(+50+30+25)
AGI:235(+120+25)
INT:95(+40+25)
MND:65(+30+25)
LUK:155(+100+25)
装備
<森母狼の腕輪>AGI+30
スキル
[蜘蛛糸Lv2]
[蜘蛛毒Lv1]
[立体機動Lv1]
[分体Lv2]
[鑑定Lv1]
[梟の目Lv1]
[空間魔法Lv1]
[気配遮断Lv1]
[斬糸Lv1]
[危険察知Lv1]
SP65
称号
《一騎当千》
《狼の天敵》
《大物喰い》
軒並み上がったね。
特にAGIが上がる。一つだけ200に行ってるしね。
あと、前は上がらなかったVITとMNDが上がっている。多分攻撃を食らったからだろう。
LUKがなんでこんなに上がるかは分からないけど、かなり強くなったと思う。
さて、時間もあまりないしさっさとスキル確認して、お肉取りに行かないとね。




