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10 ミタマ

 ラフコンスさんのお店を後にして大通りを歩いている。

 美味しい料理を食べて満足したので街を散策しようと思ったのだ。

 大通りを歩いている他の人を見てみる。

 プレイヤーと思わしき人は見られるが、服装が変わったせいか住民との見分けが付きにくくなってきた。

 そういえば、私はまだ初期服だった。

 初期服は耐久無限なのはいいんだけど補正が全く無いから早く変えたいね。

 お金も入ったし、なにか見てみようかな。そうと決まればレッツゴー。



「なんか……ビミョー」


 一通り見てみたけど、大体補正は+1~3程度で今の私にはあまり関係ないくらいなんだよね。

 +5とかもあることにはあるんだけど、見た目がね……。

 ぶっちゃけ可愛い服はない。

 ファンタジーなんだし、可愛くて強い服を求めていたんだけど、やっぱり強い服は厳つい物が多いね。

 うーん、これならしばらく初期服のままでもいいかな。初期服は程々に可愛いし、耐久無限だし、無理にお金を使う必要は無いもんね。


「にゃ!そこのかわいい女の子!」


 そうと決まれば宿を探してログアウトかな。宿屋ってどこら辺だろ。


「無視かにゃ!?おーい!止まってくれにゃ!」


 目の前に何かが立ちふさがった。

 朱色の髪に同じ色の瞳、頭の上には種族を主張するようにそそり立つ猫耳。

 だれなんだろう?


「だれ?」

「さっきから呼んでたのに無視はひどいにゃ!」

「え?私のことを呼んでたの?」

「認識すらされてなかったにゃ!?」


 いや、誰かがなにか言ってるな、とは思っていたんだけど、私に言ってるとは思ってなかったんだよね。


「それで、何の用?」

「もしかしなくても服を探しているとお見受けしたにゃ!それでここには可愛い服は無いからガッカリしてたように見えたにゃ!」

「まぁ、当たってるね」

「そこでにゃ!私が可愛い服を作ってあげるにゃ!」


 この人生産者なのか。でも初日でそんなにいい服は作れないのでは?

 いや、もしかしたらプレイヤーじゃなくて住民ですごいひとなのかも。


「あ、私はプレイヤーにゃ!」

「え?じゃあ初日だからそこまでいい物は作れないでしょ?」

「ふっふっふ、ところが私はβテスターにゃ!素材さえあれば服を作るのなんて造作もないにゃ!」

「βテスターだとなにか関係あるの?」

「βテスターの特典で好きなスキルのレベルを一つだけ持ち越しすることが出来るのにゃ。それで私は[裁縫]のレベルを持ち越したのにゃ」


 なるほど、それなら確かにここにある物よりはいい物が期待できそう。


「それで、なんで私なの?」

「もちろん可愛い子には可愛い服を着てもらいたいからにゃ!」


 バーンと効果音がなりそうな程に堂々と言い切った。


「……それだけ?」

「もちろん、それだけじゃないにゃ」


 おや?他にもちゃんと理由があったんだね。でも、なんか本当にそれだけの理由で言って来そうな気もする。


「服を作るには素材が必要にゃ。その素材を持ってそうな人じゃないといけないにゃ」

「……なぜ私がそれを持っていると?」


 自分で言うのもなんだけど、私は人畜無害な見た目をしていると思う。

 初期服で武器も持ってない。そんな相手がβテスターのレベル相当の素材を持ってるとは考えにくいと思う。


「勘にゃ!」

「……は!?」

「こう見えても私の勘は外れない自信があるにゃ!」


 ま、まさか勘とは……。

 確かに、フォレストウルフの素材は沢山あるし、フォレストベアとか、フォレストマザーウルフの素材もある。

 服の素材ならそれらよりも私の糸がかなり使えるだろう。

 ……まぁ、気に入ったものは無かったし、作ってもらうのもまた一興かな。


「わかった。じゃあ、お願いすることにする」

「お願いされるにゃ!」


 私がお願いすると、彼女は満面の笑みを浮かべた。


「じゃあ、よろしくね。私はカンナ。あなたの名前は?」

「私はミタマにゃ!こちらこそよろしくにゃ!」



 そこからミタマとフレンド登録をして作業場まで移動した。

 会話をしていて分かったけど、ミタマは少し変わった人だ。だけど、悪い人じゃない。仲良くやっていけそうだと思う。


「それじゃ、カンナちゃんの持ってる素材教えてくれるかにゃ?」

「うん。まずは狼の皮が58個で…」

「……にゃ!?」

「あとは熊が10個で豚が15個、牛が12個…」

「にゃ!ちょっと待つにゃ!」

「あと……ん?どうしたの?」

「それ、全部自分で取ってきたのかにゃ」

「もちろんそうだけど?」

「……カンナちゃん、レベルいくつ?」


 レベル?あ、ポーギーとビフタイン倒しててレベル上がってる。

 何気に高かったもんね、あの2匹。


「今は20だね」

「にゃ!?高すぎにゃあ!」

「そうかな?まぁ、ガチ勢とか呼ばれる人たちにはもっと高そうだけどね」

「いや、今最前線のプレイヤーでも高くてLv13って聞いてるにゃ。それと比べるとカンナちゃんのレベルは突飛しているにゃ。いったいどんなレベリングをしたのにゃ…」


 言ってもいいかな?まぁ、別にミタマになら問題ないか。


「北の森のフォレストウルフわかる?」

「もちろんにゃ」

「その狼に仲間を呼ばせて狩りまくったの。100匹くらい狩ったらフォレストマザーウルフってのが出てきてさ、これがLv25もあったの。その時はまだLv3だったけど何とか倒したらLvがいっぱいあがった」

「……開いた口が塞がらないにゃ」


 こうして話してみるとよく勝てたよね。

 アラクネじゃなかったら勝てなかったと思う。


「……フォレストウルフはいつも群れで行動してて、負けそうになると30匹以上の仲間を呼ぶから数に押されて死ぬってベータのときから言われてたにゃ。それを突破したあまりかエリアボスも倒しちゃうなんて……。やっぱり只者じゃなかったにゃ」

「いやー、そうだとしてもこれから抜かれていくって。のんびりやってく予定だしね」

「そうなのかにゃ?まぁ、それでもカンナちゃんは何かしらやらかしそうにゃ!」

「ひどい!?」


 人のことを危険人物みたいに扱わないでほしい。

 まぁ、そんなことより…


「フォレストマザーウルフの皮もあるから使ってね」

「切り替え早いにゃ!?」


 あ、糸も渡さなきゃ。

 私は糸を出して纏めて玉にしていく。

 1つできたのでミタマに渡す。


「これも使っていいよ」

「今何やったにゃ!?」

「え……糸出しただけだけど」

「なんで糸が出せるのにゃ!?しかもすごくいい糸にゃ!」


 あ、そういえばフライにあまり種族を言いふらすなって言われてたや。


「なんか出せたってことで」

「納得出来ないにゃ!」


 納得されなかった。



「じゃあ後はお願いね」

「2日後には出来ると思うにゃ!可愛い服を期待しているにゃ!」


 結局余った糸は好きにしていいと言ったら納得してくれた。

 用事も済んだし今度こそログアウトしよう。

 思考加速は3倍だから、ゲーム内時間では8時間ちょっとたってるけど現実だと3時間もたってないんだよね。

 準備してさっさと寝よう。

ちなみにβテスターの特典は選択式で、スキルレベルの引き継ぎの他にもあります。

フライはVR機本体を選択したのでスキルレベルの引き継ぎはしていません。

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