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第5話 あなたは勘のいいやつが嫌いだ

メインより1つの文字数が少ないから気軽に書ける。結果、気分がのって更新が早いかもしれない。


 

 あなたはあの後、直ぐ様トラックを動かし、コンビニを出発した。

 

 赤信号で止まってる間、手元のタッチパネルに地図を表示させ、目標を探す。

 

 三回ほどスライドさせたところ星のマークが映った。あなたはマニュアルを思い出した。確か、星のマークが目標のはずだ。

 

 信号が青になった。

 

 よし、とあなたは思いナビに従い目標の方へと曲がった。

 

 


 

 

 今の時間帯は夕方。調度、目標は学校帰りのはずだ。

 

 ならば楽チンな仕事である。そうあなたは考え、のんびりと車を進めていたが、目標の姿を視認した瞬間あなたはまたあの存在の言葉を思い出してしまった。

 

 

『関係無い人は巻き込まないで下さいね』

 

 

 確かそんなようなことだったはずだ。

 

 ふむ、とあなたは顎に手を当て悩んだ。

 

 主人公のプロフィールを思い出す。


  

 多数の好意。

 

 

 確かそれだ。あと、鈍感。まぁ、それはいいとあなたは思い直す。

 

 その言葉の通り、彼は沢山の人達と一緒に帰っていた。

 まぁ、女子だけでなく男子も混じってるが。もしかしたらホモかもしれない。そんなことをあなたは考えつつ正確な数を数えた。……5人か。

 

 あなた自身は巻き込んでもいいと思っている。むしろ、巻き込んでこそテンプレだろうと思っている。けれど、あのように言われた以上控えたいとも思っている。

 

 一応、あの存在は今あなたの上司なのである。

 

 ノルマを達成すれば夢を叶えてくれる素晴らしい上司だ。しかし、失敗したらどうなるか分からない。もしかしたら、無かったことになるかもしれない。それだけはごめんだとあなたは思った。

 

 まぁ、貰えるポイントが下がるだけなら気にしないが、とあなたは心の中で言ったことに付け加えるのを忘れない。

 

 

 とりあえず最初の仕事で失敗は不味いだろうとあなたは考え、彼が一人になるまで追跡することにした。

 

 決してストーカーではないと何度も呟きながら。

 

 

 人を殺そうとしているのに変なところで小心者なあなたである。 

 

 

 

 

 

 

 そんな風に着いて行ったところ見事怪しまれずに主人公が一人になるところまで着いていくことが出来た。

 

 さすがに取り巻きも家までは着いていかないらしい。彼の家は幸いなことに大通り沿いではなく、横道に入ったところであった。歩道なんて無い車一台分の幅の道。充分好条件である仕事場にあなたは大満足だ。

 

 ならば後は此方に任せて欲しい、そう呟きあなたはアクセルを全開にする。

 

 しかし、このトラック静音設計のため余り音が気にならない。そして、気付かれない。勿論、寝たふりとライトを強くしとくことは忘れない。

 

 

「え」

 

 

 見事に家の門に入る寸前の目標をあなたは捉えることが出来た。

 

 そして、そのまま夜になりかけてる町中へと進ませる。

 

 シチュエーションもへったくれもないただの轢き逃げである。

 

 

 

 その場にはトラックと塀に挟まれてミンチになった元人間だけが残った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『もしもーし』

 

 

 あなたは無事目標をロストさせた後、警察からも逃げ切り、倉庫に戻って来たところ無線機からそんな声が聞こえて来たので無線機に手を伸ばした。

 

 もしもし、とあなたは律儀に返す。

 

 すると淡々とした声が返って来た。

 

 

『あ、初仕事お疲れ様です』

 

 

 あぁ、と返しつつその事に不満をもったあなたはもっと嬉しがってくれないのか、と言う。

 


『確かに部下が初仕事を終えたので喜びたくはありますけど……結果がですね……いや、転生させましたけど』

 

 

 それならなんも問題無いじゃないか、と返すあなたに呆れたような声で返事が返って来た。

 

 

『あなたどんなシチュエーションで轢いたか覚えてます?』

 

 

 もちろん、とあなたは自信を持って答えた。テンプレにはテンプレで単純シンプルに送ってあげたぞ、と続けるあなた。

 

 

『どこの世界に家に入る間際で轢かれて転生する主人公がいるんですか!!』

 

 

 返って来たのは怒鳴り声であった。

 

 

 ふむ、確かに。

 

 

 あなたは今更己のミスを自覚した。

 

 

『遅すぎます! いや、巻き込まなかったところは褒めますけども!』

 

 

 おや、無線機越しでも心の中を読めるのか、と口に出しながらあなたは少し驚いた。今までいろいろなことを考えてたことを思い出す。

 

 

『いや、口に出してましたからねあなた……』

 

 

 そうか、それはすまない、とあなたは返す。同時に考えてたことはバレてないなと安心する。

 

 

『だからっておかしなことは考えないで下さいよ』

 

 

 ちっ、勘のいいやつは嫌いだ、とあなたは思わず呟いた。

 

 

『とりあえず次からは気をつけて下さいよ? 間違っても意味分からないシチュエーションだけは避けて下さいね』

 

 

 そんなこと言われても困る、とあなたはすぐに言い返した。

 あなたの頭にはただトラックを目標にぶつけることしか考えてない。あなたは読む専門で、書く人ではないと必死に伝える。

 


『それはそうかもしれませんけど……彼の視点で考えてみて下さいよ。いきなり帰宅間際で死ぬなんて意味不明でしょ? 例えは子供を助けて死んだりとか、彼女を助けて死んだりとか、お年寄りを助けて死んだりとか……いろいろありますよね?』

 

 誰かを助ける以外には無かったのかとあなたは思ったが心の中に留めて置くことにした。

 きっと思い付かなかったんだろうと、優しい心で。

 

 

『なんか失礼な事を考えられているような……』

 

 

 気にするな、とあなたは冷静に冷静にと気をつけながら返した。

 

 まぁ、言いたいことは分かる。自分の望むシチュエーションでやってあげろという事だろう。違うか? とあなたは確認をとる。

 

 

『あーうん、そうですよ。そういうことです。あなたの望むシチュエーションでいいですよ。そもそもあなたの方が色々知ってるはずなんですから』

 

 

 おーけー。言ったな? あなたの望むシチュエーション……

 

 

『だからって今回のようなものを自分は望んでるんだとか言い張らないで下さいよ』

 

 

 ちくしょー。

 

 これだから勘のいいやつは……

 

 

『こら!』

 

 

 あ、諦めないもんね!

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

次回の投稿はやっぱり未定。

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