第4話 あなたは決意した
どうしてやろうか、とあなたは盛大に悩んでいた。
貴方はあの倉庫からトラックを出発させ、コンビニに止めた。買った缶コーヒー片手にあなたは神(SYATIKU)から送られて来た轢く対象の人物についての資料に目を通そうとしていた。他にもサンドイッチを買った。
そこで出る前言われたことを思い出す。
『早くノルマを達成したいならば、是非ともシチュエーションにこだわってください。当たり前ですが評価が高いと、ポイントも高くなります』
それが当たり前じゃないなら尚更ブラックであるのでその時あなたは頷いた。
『ただ、人を轢いてもポイントは貰えます。けれども、それでは評価は低いです。いかにうけるシチュエーションかが重要です』
あなたは頷いた。頷くしかなかった。けれども、思わずにはいられない。誰が評価するんだ、誰に需要があるんだ。
誰うけを狙えばいいんだよ! とあなたは声を大にして言いたかった。けれど、トラックの中とは言え外は元々住んでいた世界。いつどこで誰に聞こえるか分からない。そして、相談も出来ない。
あなたは演出家でも小説家でもないのに……。
あなたはあの、異世界転生チート付きという言葉を聞いた以上、早くノルマを達成したい。それに、その分死ぬ人も少なくなるはずだ。
あなたは思わず外を見た。住んでいた世界だ。これを眺めてると本当に自分は死んだのかと思う。運転中にも何度も思った。
危うく何人もの人を転生させてしまうところだった。
あの時のことを思い出すと冷や汗が止まらない。
あなたは今まで悪い夢を見ていたんじゃないかと思う。しかし、このトラックの存在が、無線機から時々聞こえる声がそれを現実だと証明してくれる。
例え、夢だとしてもまだ覚めてないことは確実だ。
『あ、まだ悩んでいるんですか?』
あの存在の声が聞こえて来た。
あなたはその声に対して、手に取った無線機に口を近付け、小さな声で人を殺す仕方について悩むとは思わなかったよ、と返す。
『だから違いますって! そんな犯罪扱いしないで下さいよ!』
おや、とあなたは思う。
犯罪だなんて言ってないのにそう返ってくるとは自覚しているんだな? そう伝える。
すると面白い位の慌てようが感じ取れる。
『い、いえそんなまさか。犯罪じゃありませんよ。神のお仕事ですよ? そして、人を新たな世界へと導く立派な仕事ですよ?』
はぁ、そうか、とあなたは溜息が深く、重く出した。
まぁ、気にしても仕方がない。やるしかないんだといい加減自分に言って効かせる。
で、問題は演出だ。そう返すと意外なことにまともなアドバンスが返って来た。
『もー、手がかかりますね。そんなのあなたが今まで読んできたものでも参考にすればいいじゃないですか』
確かに、とあなたは頷く。あれはこの上類を見ない参考書となるだろう。
『じゃ、頑張ってくださいね!』
あぁ、とあなたは返事をする。
ガシャンと無線機を元の場所に戻す。
果たして今まで読んできたもの中にどんなシチュエーションがあったか……。
トラックが主人公を轢く。
言葉にすればただそれだけの動作だ。
あなたは考えてと余り思い付かなかったので、対象の人物像を知ればなんか思い付くかとしれないと考え直し、手元の資料を目を通し始めた。
ふむふむ、ふむふむ。はむはむ……。
サンドイッチ美味しいとあなたは思いながらあなたは情報を読み取っていく。
この辺りに住んでいる。
そりゃ、知ってる。だからこの町に繋げたんだ。
高校生。
テンプレだな、とあなたは呟く。
男性。
これもそうだ、とあなたの言葉。女性主人公は珍しい方だからな、とあなたは考える。
イケメン。鈍感。多数の好意。勉強出来る。運動神経抜群。実家は道場。
どれもこれもド定番な要素。ついあなたはテンプレ乙と言ってしまった。
ここまでテンプレで来ればシチュエーションなんて考えなくてもいい気がしてきた。
目には目を。
歯には歯を。
テンプレにはテンプレを。
つまり、あれだ。とあなたは強く決意した。
これが本日最後の投稿かと。
次回は未定。