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プロローグ
この物語は半分だけフィクションですが、半分は事実です。
一つの物語が終わり、現実の世界に没頭していた彼。
先の見えない未来を掴むために、必死になっていた時に彼は彼女に出会った。
彼と彼女が出会ったことは互いにとって幸運で、同時にどうしよもなく不幸であった。
彼と彼女が離れていったことは互いにとって不幸で、同時にどうしよもない幸運でもあった。
最初に言っておくと、この話は既に終わった人間関係の話である。
それでも、そろそろこの話をするのも悪くないと思ったからこそ、ここに書き記す。
そして書き記すのは、誰のためでもない彼の為に。
一つのゲームの中で同じ時を過ごし、
別の場所で生きている彼と彼女の話で、それに伴う周りの人々の話だ。
前置きが長いのは好きではないので始めよう。
「あるネットゲームで少女と出会った話」を。