表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第九章 青年期前半 皇竜氷王の娘編 〜俺の精霊はただの精霊じゃなかった〜
95/140

皇龍帝との出会い


 夜が明けて、午前十時。

 俺とユキちゃんはウィンテルに王宮の地下に連れて来させられた。

 地下にある転移魔法陣を使って、竜帝様の元へ向かうからだ。



「では、行きます」



 俺たちが魔法陣の上に立っていることを確認したウィンテルが言った。

 俺たちが頷くと、彼は詠唱しだした。

 その詠唱に反応して、魔法陣が青く光りだした。



「『転移』!」



 ウィンテルがそう言うと、まばゆい光が視界を覆った。



ーー


 目を開けると、雲の上にいた。

 雲に乗っている訳じゃなく、雲の上に存在する岩でできた道に立っている。



「この道を真っ直ぐ進めば、竜帝様がおられます」


「えっと、ウィンテルさんは?」


「ここでお待ちしております。

竜帝様はスノーリア様とその主様に

お会いされたいとおっしゃっておられましたから、

お二人で」


「分かりました。

じゃあ、行こうか?」


「はい」



 俺が聞くとユキちゃんは微笑んで言った。

 俺たちはウィンテルをおいて、進み始めた。



ーー


 しばらく、歩いていると面積の多い場所にたどり着いた。



「やっと着いた〜」


「すまないね」


「ほんとですよ。

あれで強い魔物が出てきたら最悪ですよ」



 そう言って、顔を上げると銀髪翠眼の美青年が立っていた。

 


「あの、どちら様で?」


「私はエア。

皇竜族の祖で、皇竜帝と呼ばれているよ」



 美青年は笑顔で言った。

 綺麗だな。

 って、この美青年が竜帝様!?



「すいません。

文句を言ってしまって」


「いや、いいよ」



 怒ってないみたいだ。

 よかった。

 ん? さっきなんか引っかかったな。

 皇竜族の祖とか言ってなかった?



「皇竜族の祖って、どういうことでしょうか?」



 ユキちゃんがエア様に聞いた。

 ナイス!

 ちょうど聞きたかったんだ。



「そのままの意味だよ。

今の皇竜族は元をたどれば私に行きつく。

少し昔話をしよう」



〜〜


 ずっと、ずっと、昔。

 この世界が生まれた頃の話。


 創造神アルバスは、この世界の原型の岩の塊を出現させた。

 その次にこの世界の真祖を生みだした。


 そして、この世界を住めるものにすべく、五体の精霊を出現させた。

 それぞれ火、氷、雷、風、地を司る。

 世界を作るには雷以外の四つの属性があればいい。

 だけど、創造神は精霊たちをまとめる存在が必要だと思って、雷の精霊を生みだした。

 

 精霊たちの頑張りで世界は人間が住める環境になってきた。

 創造神はそれを確かめようと思った。


 確かめるには人間を住まわせればいい。

 だけど、魔物がいる。

 今よりずっと強い魔物がね。


 魔物から人間を守るために三人の男を生みだした。

 すべての魔術を扱う長く尖った耳を持つ者、

 凄まじい素早さ、闘気と呼ばれるものを纏える獣の耳と尻尾をもつ者、

 竜力を持ち、巨竜に変身する私。

 私たちを生みだした後に数十人の人間を生みだした。


 私たち三人と人間たちは危険なく暮らせた。

 魔物は襲ってくるけど、私たちがすぐに倒してしまうからね。


 ある日、人間たちは自分たちの身は自分たちで守らなければいけないと思い始めた。

 人間たちを守るのが私たちの役目だと言うのに。


 そう思い始めた人間たちは私たちに魔物と戦う術を教えてほしいと頼んできた。

 私たちは快く引き受けた。


 人間たちは頑張った。

 だけど、なにも修得できなかった。


 修得できなかった人間たちは私たちに女性たちをあてがい始める。

 自分たちが無理なら、私たちの血を引き継ぐ者たちなら修得できると思ったらしい。


 私たちは仮にも男だから、そういうことに興味があった。

 だから、引き受けた。


 それから何人もの女性を抱いた。


 何年かすると、子どもが生まれ始めた。

 その子たちは今のエルフ、獣族、竜族の姿をしていた。


 彼らは戦う術を修得していき、大人になった。

 彼らは繁栄していった。


 人間たちはと言うと、全滅していた。

 すべての女性を捧げてしまって、子孫が途絶えたことで、滅んでしまったんだ。


 私たちは不要になった。

 守るべき人間たちはいないし、暮らしている人々は魔物を倒せるからね。


 それに気づいた創造神は、私たちの夢に出てきた。

 


「ご苦労様じゃ。

無事に使命を果たしてくれた礼に

お主の理想の女性をあてがおう。

その代わりと言ってはなんじゃが、

その女性との子が成長したら、その子を置いて、

異空間で暮らしてくれんかの?」



 そう言われた私たちはその通りにした。

 そして、私たちはそれぞれ違う空間で自分たちの種族をつくりあげた。

 


〜〜



「それが皇竜族ですか?」


「そう。

私と私の妻は真祖と同じ不老不死だから、

今も生きているんだ」


「あの、三人の中の獣の耳と尻尾を持った男って、

獣神様ですよね?」


「そう呼ばれてるね。

君の妻のクロネは、

彼と創造神があてがった彼の妻との子の子孫だよ」



 クロネちゃん、すげえ。

 


「あの、エア様たちって、ルナさんと同じくらい強いんですか?」


「若干劣るけど、そうだね」



 だから、フィアちゃんとクロネちゃんが必要なんだ。

 世界最強とそれに肩を並べる実力者の子孫で力を受け継いだ二人なら倒せると思うわな。



「きっと、創造神は君にフィアーナとクロネが必要だと言っただろう。

真祖と獣神の子孫ですべてを受け継いでいる彼女たち二人なら倒せると思っているからね。

だけど、二人だけでは彼には勝てない」


「えっと、どうしてですか?」


「創造神は少し抜けているから

知らないかもしれないけど、

世界神は正真正銘神だ。

それも破壊神」



 破壊神って、あの猫みたいなやつでしょ?

 それってやばいじゃん。

 超サ○ヤ人3を簡単にいなしちゃうんだから。



「彼を相手するのは、彼女たちでは身に余る。

一応創造神は救済措置を施してある。

それでも足りないと私は思う。

だから、スノーリアに術を施し、

君に出会わせた。

皇竜族の血を受け継ぐスノーリアと契約すれば、

竜力が使えるからね」


「あの、私は竜力が感じられないのですが……?」



 静かに聞いていたユキちゃんがエア様に言った。



「記憶と共に封印されて、今も封印されているからね。

あとで封印を解いて、使い方を教えるから

それまで待っててくれるかい?」


「はい」


「竜力が使えるようになったら、勝てるんですか?」


「そうじゃない。

本気の彼と同じ土俵に立てるとっておきのきっかけだよ」


「とっておき?」


「彼と戦う前に教えるよ。

大事な話は以上。

帰っていいよ」


「えっと、ユキちゃんに竜力の使い方を教えるんじゃないんですか?」


「スノーリアには残ってもらうよ」



 竜力の使い方じゃなくて、性的なことを実技で教える気だろ?

 ユキちゃんは俺だけのものなんだよ。

 絶対帰らねえ。



「あ、な、たっ」



 急に銀髪の女性がエア様に抱きついた。



「ニア、人前だから」


「お嫌でしたか?」


「嫌な訳ないよ。

愛する妻に抱きつかれて」


「よかった。

それで御用とはなんでしょうか?」


「スノーリアに竜力の使い方を教えるんだけど、

彼に余計な心配させないためにそばにいてほしいんだ」



 お見通しだ。

 すげえよ、竜帝様。



「分かりました」



 銀髪の女性はそう返事するとこちらに振り向いた。

 彼女はエア様と同じ緑色の瞳の美人さんだ。




「私がおりますので、安心してお帰りください」



 彼女は笑顔で言ってきた。

 うん。この人がいれば大丈夫だな。



「分かりました。

では、失礼します」



 そう言って、俺はユキちゃんに近づき、抱きしめた。



「えっと、リョウタ様?」


「ユキちゃん、頑張ってね」



 俺は彼女の耳元で囁いた。



「は、はい。頑張ります」



 彼女は頰を赤らめて言った。



「じゃあね」



 俺は彼女にそう残して、来た道を戻った。



ーー



「お疲れ様です」



 転移してきた場所にたどり着くと、ウィンテルが言った。



「スノーリア様は?」


「エア様に竜力の使い方を教わるらしいです」


「そうですか」


「竜力を修得するのってどれくらいかかるんですか?」


「普通は一年くらいかかりますけど、

五皇竜王の血を引く方は一から三ヶ月ですね。

なので、一旦下界に戻られて、二週間後にまたあの洞窟に来ていただきます。

では、行きましょうか」


「はい」



 俺はウィンテルに案内され、下界に戻り、家に帰った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ