表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第九章 青年期前半 皇竜氷王の娘編 〜俺の精霊はただの精霊じゃなかった〜
91/140

繋がりと無属性魔術

 四月下旬の土の日になった。


 俺はシエラさんの家を訪ねた。


「シエラさ〜ん!

俺です! リョウタです!

無属性魔術を教えてもらいに来ました!」


「うるさい!

大声を出さなくても、魔力で分かる!」



 扉がガッと開いて、シエラさんが強く言った。



「そうですね。

大きい声出して、すいませんでした」



 俺は頭を下げた。



「次、大声出したら、教えないからな」


「出しません」


「無属性魔術を教える前に確認したいことがあるから、中に入ってくれ」


「はい」



 俺は家の中に入った。



ーー


「セラという名前に聞き覚えはあるか?」


「はい。俺の妹がセラって言います」


「やっぱりお前か。

セラの兄は」


「セラちゃんと会ったことがあるんですか?」


「会ったことはない。

修道院にいる私の娘が手紙で教えてくれた。

私の孫だってな」


「どういうことですか?」


「私には息子と娘がいる。

その息子ーーシオンは鬼族のエリーゼと契約して、娘を作って、死んだ。

その娘がセラという訳だ」


「てことは、セラちゃんは鬼族とキャスティアのハーフ?」


「そうだな。魔力操作が上手いだろうな」


「そうなんだ。

えっ? じゃあ、シエラさんはセラちゃんのーー」


「祖母だな。

確認したいことが済んだから、

無属性魔術を教える。

外に出てくれ」


「はい。分かりました」



ーー


「それでは始める」



 家の裏に着くと、シエラさんが言った。



「よろしくお願いします」


「一応聞くが、私たち亜人と同じ魔術を使えるか?」


「はい。

イメージとそのイメージに必要な魔力があれば発動する魔術ですよね?」


「ああ。

あと、身体強化はできるか?」


「はい。大丈夫です」


「そうか。では、早速、魔弾から教える。

まずは私が見せる」



 そう言うと、シエラさんは生えている木に向かって右手を出し、人差し指を突き出した。

 その指先に白っぽい光球が現れた。

 その光球はまっすぐ木に向かっていき、直撃して、消えた。

 ド○ゴンボ○ルの気弾じゃん、これ。

 直撃した場所は少し穴が開いている。



「今のは非殺傷じゃないですよね?」


「いや、非殺傷だ」


「いやいや、穴開いてるじゃないですか」


「殺傷だったら貫通している。

非殺傷だとしてもダメージも傷もできる。

死なない程度に抑えられるだけだ」


「そうなんですか」


「ああ。次はお前の番だ。

身体のエネルギーを出して、球体に形成して、放て」



 俺はシエラさんが穴を開けた木の隣に生えている木に右手の指を向けた。

 そして、目を瞑り、イメージをした。

 すると魔力が指から抜ける感じがして、

 指先を見るとスカイブルーの色をした光球が現れていた。



「色付きか。珍しい」



 レアなんだな。

 俺はその光球をシエラさんが穴を開けた木の隣の木に放った。

 放たれたスカイブルーの光球は狙った木に直撃して、消えた。

 光球が直撃した場所は穴が開いていた。

 貫通はしていない。



「あの、勝手に非殺傷になったんですけど……?」


「殺すという気持ちが入ると殺傷になる。

その気持ちが無ければ、非殺傷になる」


「そうなんですね。

あの、色付きってどれくらいいるんですか?」


「転生者と神に直接生み出された者だけだ。

真祖が赤色らしい」


「色ってなにで決まるんですか?」


「得意な属性に依存する。

火属性が得意なら赤系の色、

水系統が得意なら青系の色になる」


「そうなんですね」


「ああ。

それじゃあ、今日はこれで終わりだ。

今日から魔弾の鍛錬を積んでおけ」


「えっ? もう終わりですか?」


「ああ。

お前に教えることはその魔弾を入れて四つだからな。

だから今日は終わりだ。

あっ。一日最低、百発は放ってくれ。

じゃあ、また来週な」



 そう言って、シエラさんは家の中に入っていかずに立ち止まった。



「まだやるべきことが残っていたな」



 そう言って、彼女は俺に近寄ってきた。



「手を出してくれ」


「は、はい」



 俺は右手を出した。

 すると、シエラさんは灰色のローブのポケットからなにかを出して、俺の右手に置いた。

 そのなにかはガラスでできた手のひらサイズの球体だった。



「あの、これは?」


「魔宝石だ」


「色付いてませんけど」


「はぁ、色付きは(いろ)魔宝石だ。

この魔宝石は

魔力を入れた者の使う魔術すべての威力を上げる。

お前は無属性と氷属性に適正があるから、

この魔宝石の杖の方がいいからな」


「そうですか」


「じゃあ、私がいいと言うまで、

その魔宝石にお前の魔力を流してくれ」


「はい。分かりました」



 俺は手に持った魔宝石を握って、魔力を流した。

 だんだん、魔宝石がスカイブルーに染まっていく。

 魔宝石が完全にスカイブルーに染まるとシエラさんがいいと言った。

 俺はすぐ魔力の供給を止めて、彼女に渡した。



「杖は持っているか?」


「はい。持ってます」


「見せてくれ」



 俺は返事して、マジックポーチから『輝く氷帝(フリージングブライト)』を取り出してシエラさんに見せた。

 見せると彼女はブツブツとなにか言い出した。

 少しすると、納得がいったのか頷いた。



「この杖、借りていいか?」


「いいですけど。

大切にしてくださいよ。

今の親にもらって、苦楽を共にした杖なんです」


「安心しろ。

ただ魔宝石をこれに交換するだけだ」


「じゃあ、お願いします」



 そう言って、俺はシエラさんに『輝く氷帝(フリージングブライト)』を渡した。



「大切に扱わせてもらう。

じゃあ、また来週な」



 受け取ったシエラさんはそう言って、家の中に入っていった。



「よし、魔弾の鍛錬して、帰ろ」



 それから、俺は百発放ってから家に帰った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ