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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第一章 幼年期 〜今世の母は銀髪ハーフエルフ〜
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1-8 東都からの贈りもの


 コンコン。

 夕食を作るアクアさんを眺めていると、玄関の扉を叩く音が聞こえた。


「リョウくん、出てくれる?

今、手を離せないから」

「うん、いいよ」

「ごめんね〜」




 玄関まで来たけど、もしものために魔術放つ準備してよ。

 魔力ーー魔術発動のときの血液を左手に集め、扉のノブに触れる。


「どちら様ですか! ……ってあれ?」


 扉を開けると、誰もいない。


「ピンポンダッシュか?」

「あー」

「普通に考えてそうだよね。

って、今の返事、誰っ?」

「あー」


 声の方へ視線を向ける。

 すると、そこには銀髪の赤ちゃんが布に包まれ、かごに入っていた。


「赤ちゃん……?」

「きゃうー」


 赤ちゃんは目線が合うと、紫色の瞳を輝かせ、小さな手をこっちに伸ばしてくる。

 

「やっと会えたね、お兄ちゃん。

抱きしめて」


 というかのようだ。




「ふふっ、誰が来たのかと思ったら、

可愛いお客さんだこと。

捨てられたのかな〜?」


 頭の上から今一番好きな女性の声がした。

 

「母さん。

今、いいの? 手が離せないんじゃないの?」

「手が離せないところはもう終わってるから大丈夫。

それで、この娘は?」

「ドア開けたら、誰もいなくて、

この子だけがいたんだ」

「そっか。

じゃあ、リョウくんの妹にしちゃおっか?」

「は? 

なに言ってんの? アクアさん」


 突拍子もないこと言うから、アクアさんって呼んじゃったじゃん。

 ていうか、この子、女の子なの?


「リョウくんの妹にしようって言ったんだよ。

リョウくんの妹になりたいよね〜?」


 抱き上げた赤ちゃんに聞くアクアさん。

 答えられねえーー。


「きゃうー」


 答えられるんかいっ!


 あれ? かごの中になんか入ってる。

 手に取ると、それは手紙だった。




ーー

拝啓、我が息子レオンへ



この娘はセラ。

母親はお前と昔組んでいたエリーゼさんだ。


彼女は今から一年と少し前にやってきた。

彼女はお腹に子どもがいて、夫は少し前に亡くなったそうだ。

一人では不安だから、産むまではうちに置かせてほしいらしい。

私は彼女とは何度も会っていたし、

いつかはお前と結ばれるのだろうと思っていた。

だから私は快く了承した。


半年が経ったある日、エリーゼさんはまた頼み事をしてきた。

自分になにかあったら、お前に育ててほしいと頼んできた。

私は了承した。

すると、この娘が成長したら渡してあげてほしい。

そう言って、一通の手紙を渡してきた。


そして、エリーゼさんはこの娘を産んだ後、亡くなった。

だから、育ててあげてくれ。



追伸 

受け取った手紙はこの手紙と一緒に同封してある。


お前の父より

ーー




「……だって」

「やったね〜、セラちゃん。

リョウくんの妹になれるよ〜。

あっ、血が繋がってないから

お嫁さんになれちゃうね〜」


 なん……だと?

 ていうことは俺の理想にできるじゃん。

 手始めに兄様呼び、いや、お兄ちゃん呼びも捨てがたい。

 よし、五歳まではお兄ちゃん呼びで、その後は兄様呼びで呼ばせよう。


 いや、やめよう。

 そんなの、セラちゃんが可哀想だ。

 ただ「お兄ちゃんと結婚したい」と思われるように頑張ろ。

 



ーー




「ただいま」


 レオンさんがリビングに入ってきた。


「おかえり、レオくん」

「おかえり、父さん」

「うん。

あれ? その子は?」


 アクアさんの腕の中にいるセラちゃんを見て聞いてくるレオンさん。


「新しい家族だよ〜」

「えっと……、どういう事?」

「これ、読んで」


 頭の上にクエスチョンマークを浮かべているレオンさんに手紙を渡す。




 手紙を読み終えると、レオンさんが納得した顔をした。


「アクアはいいの?」

「なにが?」

「セラを育てること」

「うん、いいよ。

女の子も欲しかったから」

「リーゼ……エリーゼは僕の元恋人なんだ。

セラはエリーゼの娘なのにいいの?」

「エリーゼさんのおかげで、今の幸せがあるんだよ。

だから、恩返しとして

セラちゃんを立派に育てたいの」


 アクアさん、貴女は慈愛の女神なのですか?


「そっか。

僕ももちろん協力するけど、よろしくね」

「うん」


 なにも起きなくてよかった。




「リョウくん」

「な、なに?」

「セラちゃんが大人になったら、幸せにしてあげてね?」

「なっ!?

なんで俺と結婚することになってんの?」

「だって、ずっとセラちゃん、リョウくん見てるんだもん」

「それは偶々。

成長していくうちに嫌だって思うようになるよ」

「嫌にならないよね〜?」


 自分の腕の中にいるセラちゃんに聞くアクアさん。


「じゃあ、セラちゃんが俺と結婚したいって

思ってくれてたらね」




 こうして、俺に妹ができた。





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