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フィアーナズメモリーリターンオペレーション

 明日で目覚めて一週間。

 俺はほとんどフィアーナと過ごしていた。

 一緒に本を読んだり、あーんしてもらったり、一緒に眠ったりして過ごしていた。

 すごく楽しい。


 だけど、もう我慢の限界だ。

 部屋から一歩も出してもらえないからじゃなくて、性欲の方ね。


 だって、同じ部屋に美少女だよ?

 しかも、奥さんで、毎食後、密着するんだよ?

 それなのに抱けないし、発散しようにも一人のときがないし、トイレも部屋に付いてるからできないんだよ?

 我慢できなくなってもおかしくないと思う。


 ガチャッ。

 扉が開いた音の後すぐにフィアーナがワゴンを押して部屋に入ってきた。



「リョウタさん、夕食です」



 彼女は笑顔で言ってきた。

 はぁ、我慢できるかな?



ーー


「はい。終わりです」



 俺が最後の一口を飲み込んだところでフィアーナが言った。



「今日もありがとうね」


「血をもらってるんですから、言わなくていいですよ。

じゃあ、今日もいただきますね」



 そう言って、彼女は俺の首に着いているチョーカーを慣れた手つきで外した。

 そして、俺の膝の上に乗って、体を密着させて、首に顔を埋めた。

 すると彼女は俺の首筋に舌を這わした。

 牙が入りやすい場所を探すためにやってるらしいんだけど、腰がビリビリってなるからやめてほしい。

 少しするとチクッとした。

 それからしばらくすると、彼女が顔を離した。



「はぁ、やっぱりすごく美味しいです。

二人で過ごす時間も楽しくて、

ずっと一緒にいたいなって。

その、ずっと私のそばにいてくれまーー」



 フィアーナが瞳を潤ませて言うもんだから、俺は我慢できなくなって、彼女の唇を奪った。

 そして、口内に舌を入れ、貪った。



「ごめん、フィアーナ」



 唇を離した俺は、彼女を抱きしめて言った。



「俺、フィアーナを抱きたいんだ。

俺との記憶がないから怖がらせてしまうと思って、

我慢してた。

だけど、もう我慢できない。

だからごめんね」



 そう言って俺はフィアーナをベッドの上に押し倒した。



「私もリョウちゃんが大好きだからいいよ」


「えっ?」



 俺は驚いて、彼女の顔を見た。

 すると、彼女も驚いていた。



「頭の中にふと出てきて、言わなきゃと思って、

それに私自身も抱かれたいと思ってて、口にしたんです。

だから、いいですよ」



 そう言って、フィアーナは優しく微笑んだ。

 俺は彼女が着ているブラウスのボタンに手をかけた。



ーーSide クロネーー


 あれから一週間が経った。


 あの後、リーフェさんにすべて話した。

 そして、私に流れている獣神様の血を目覚めさせてほしいことを頼み込んだ。

 リーフェさんは私の家系の何代か前の当主の妹だったらしいから。


 頼み込むと、リーフェさんは分かったと言ってくれた。

 だけど、目覚めさせるには時間がかかるらしい。

 少しでも早く向かいたいのにと思っていると、ルナさんがやってきた。

 自分の力を使えば、時間の流れを十倍にした空間を作れると言った。


 私はお願いして、その空間を作ってもらい、リーフェさんとその中で目覚めさせる修行が始まった。

 そして、目覚めさせて、空間から出ると六日経っていた。


 それからリーフェさんに転移魔術でフィアの両親を連れて、今、ブラッディーナ城に戻ってきた。

 転移魔術の阻害は二週間に一度止まるらしいから、今回はすぐに来れた。



「それじゃあ、ここで待っていてください。

フィアを連れてきますから」



 私は後ろにいるフィアの両親に言った。

 きっとフィアと戦うことになるから。

 

 返事を聞かずに私は、一人で城門をくぐった。



ーー


 城内に入ると、コツコツと足音が聞こえてきた。

 足音が近づいてくると、よく知っていて、世界で二番目に好きな匂いがしてきた。

 足音の方に視線を向けると、フィアが現れた。


 彼女は白いブラウスに黒の短いスカートという格好をしている。



「また来たんですか?」


「来るに決まってる。

リョウタとフィアを救い出して、

いつもの幸せな日々を取り戻したいから」


「何度でも来る気ですか?」


「何度やられても、二人を取り戻すまで来る」


「そうですか。

じゃあ、もう来れないようにしてあげます」



 そう言うと、フィアの横に槍が現れる。


「槍?」


 彼女はその槍を両手で持ち、こっちに先端を向けた。


「杖です。

リョウタさんに毎日吸血させてもらっていたら、

使えるようになったんです」


 そう答えると、杖の先に赤い光球が現れ、大きくなっていく。

 二秒後、大きくなるのが止まった。

 光球は両手で抱えられるくらいになった。


「それじゃあ、さようなら」


 そう言った瞬間、光球が太い光線となって放たれる。


「『獣化』」


 私は獣化を発動して、体に闘気を纏い、受け身をとった。


 この獣化は獣神様の子孫だけが使える技。

 発動させると、獣神様が使っていた闘気を纏うことができる。

 闘気を纏えば、身体強化を発動した状態より高い身体能力と高い防御力を手に入れられる。

 

 受け身をとった瞬間、フィアが放った光線が私を襲った。



「どうですか?

もう動け……なっ!」


 なんとか受けきると、フィアが私を見て驚いた。

 少し着物が傷ついているだけで、ほとんど変わらずに私が立っているから。


 地面を蹴り、隙だらけになっているフィアとの距離を一気に詰める。

 

「ごめん」


 そう謝って、彼女のお腹に触れ、闘気を一気に流し込む。


「がはっ」


 血を吐くフィア。

 私は間髪入れず、フィアの頭を掴んで、また闘気を一気に流し込んだ。

 すると、彼女は気を失った。

 彼女は気を失ったことで全身の力が抜けて、倒れそうになった。

 私は彼女を抱きしめて支えた。



「フィア、苦しめてごめん」



 そう言って、私はフィアを横抱きして、彼女の両親の元へ歩き出した。



ーー


「フィア!」



 城から出てくると、フィアのお母さんが駆け寄ってきた。



「フィア、ごめんね。

お母さんの所為(せい)で、こんなことになって。

私が我慢してここにいればよかーー」


「よくねえよ」



 フィアのお父さんがやってきて言った。



「ニーナ、お前がここを出なきゃフィアは産まれてないし、

もし産まれるとしても、リョウタに出会えなくて、

ひとりぼっちになるだろうが。

お前がここを出たから、フィアは産まれたし、

リョウタとクロネちゃんに出会って幸せなんだよ。

だから、よくねえよ。

後、俺がよくねえ……」



 彼は照れながら最後を言った。



「ふふっ、そうね。

貴方が困るわね。

私にぞっこんだから」


「笑うなよ!

てか困らねえし、俺はモテんだからな」


「モテてたの?

私との初めてのとき、

初めてだから上手くできないかもしれないって

言ってたのに?」


「い、言うなよ。

レオンもアクアさんとが初めてだって言ってたし。

だから、モテてたし」


「じゃあ、私に捨てられても大丈夫ね」


「大丈夫じゃないです。少しもモテません。

ニーナちゃんに捨てられたら生きていけません」


「ふふっ、冗談なのに」


「冗談かよ!?」


「冗談に決まってるでしょ?

冗談じゃなかったら、毎日しないわよ」


「あの、リョウタを探しに行きたいので、

フィアをお願いしてもいいですか……?」



 私はリョウタが心配で、二人の会話に割って入った。



「ええ」



 フィアのお母さんが返事した。

 私は彼女にフィアを預けて、その場を後にした。

 




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