フィア救出作戦 前夜
今日で森を歩き初めて六日目。
今は夜だ。
六日間の食事は、動物を狩った。
クロネが捌いて、俺は魔術でお湯を沸かして
二人で協力して食べていた。
夜はユキが番していてくれた。
精霊は睡眠を必要としないからだそうだ。
だからちゃんと眠れている。
食料確保、食事、睡眠以外の時間はずっと歩いていた。
フィアを助けに行かないといけないし、
疲れていたからクロネとしたいと思わなかった。
だけど今日はやばい。
「リョウタ、どうしたの?」
焚き火の上に置いた鍋を見ていたクロネが聞いてきた。
「何が?」
「なんか今日は私のことばかり見てるから」
そう。気づくとクロネを見ている。
彼女の唇だったり、胸だったりを見ていた。
今もクロネの胸を見ていた。
「いや、なんでもないよ。
強いて言えば、クロネたんが可愛いから見てたんだ」
「そう」
クロネは顔を少し赤らめて、鍋に視線を戻した。
今すぐ隣に行って、キスしたい。
てか今すぐ抱きたい。
最低だ。
フィアが辛い思いしてる時に
クロネで興奮してるなんて。
「リョウタ、はい」
クロネがよそったお椀を渡してきた。
「う、うん。ありがとう、クロネたん」
「うん」
クロネは自分のお椀によそってから
二人でいただきますと言って食べ始めた。
「リョウタ」
「ん?」
「溜まってきたの?」
「なにが?」
「えっと、あの、せ、性欲」
クロネは顔を真っ赤にして言った。
「な、なんでそう思ったの?」
「えっと、私たちがあれの日以外、
毎日してたのに
フィアが連れ去られてからずっとしてないし、
私のこと、ずっと見てるから」
「うん。ちょっと、今日はやばい。
ダメだよね。
フィアちゃんが辛い思いしてるかもしれないのに
クロネちゃんとしたいって思うなんて」
「仕方ない。リョウタは男だから。
それに誰か死んでしまうかもって不安なんでしょ?」
「う、うん。クロネちゃんが俺を庇って……って。
俺、フィアーナもクロネもティリルも失いたくない。
一人でも欠けたら俺は生きていけない。
ずっと側にいてほしいんだ」
そういうと抱きしめられた。
「大丈夫。私が全部守るから。
リョウタもフィアもリルも、
もちろん、私自身も守る。
絶対リョウタに悲しい思いさせない。
だから大丈夫」
「クロネちゃん。
ごめん、逆で」
「なにが逆なの?」
クロネは俺の顔を見つめて聞いてきた。
「男が女の子に言うのに
男の俺が女の子のクロネちゃんに言われてるから逆。
はぁ、情けないし恥ずかしい」
「今は私しかいないから気にしないでいい」
ーー
「リョウタ」
「ん?」
「抱いて」
「えっ?」
テントの中に入って、横になろうとして
女の子座りしているクロネが言った。
「わ、私も溜まってるから抱いてほしいの」
クロネは両手の先同士をくっつけて、
鼻と口を隠しながら言った。
「フィアちゃんが辛い思いしてるからできない」
「でもリョウタ、私を見てばかりで
他のことが疎かになってる。
しておかないと危険過ぎる」
「でもフィアちゃ……」
話してる途中でクロネに唇を合わせられた。
「私を抱くか、私に斬り殺されるか、選んで」
「なにいってんーー」
クロネは刀を俺の首に合わせた。
「本気だから。
足手まといは要らない。
もう一度だけ聞いてあげる。
私を抱くか、私に斬り殺されるか、どっち?」
「クロネちゃんとする」
「そう、よかった」
クロネはホッとした様子で
刀をしまった。
「ごめん、脅して。
リルがリョウタは私の全てが好きだから
色っぽくすれば大丈夫だって言ってたの。
でも私はそういうこと苦手だから。
本当にごめん」
彼女は頭を下げた。
「いいよ。無理だって言ったらどうしたの?」
「目の前で脱いで、抱きついて、
しよって可愛く言って、し、舌を絡ませようと思ってた」
クロネは顔を真っ赤に染めた。
「そっか」
「うん」
「クロネちゃん」
「なに?」
「今言ったの、してほしいんだ」
「い、今のって、脱いで抱きつくの?」
「うん。その続きもしてほしい」
「わ、分かった」
そう返事してクロネはいつもの浴衣に手をかけた。
浴衣を脱ぎ終わり、下着を脱いで、
彼女は生まれたままの姿になった。
そして、俺に抱きついて、
唇を合わせ、舌を絡めてきた。
「にゃ、にゃんにゃんしよ?」
クロネは上目遣いで
サファイアの瞳を潤わせて言った。
「クロネ!」
俺は彼女を押し倒し、唇を合わせた。
「最後まで付き合ってね」
クロネは頷いた。
「じゃあ、するね」
「うん」
この後、クロネと愛し合った。
ーー
「ユキ、ご苦労様」
朝焼けの空を見ているとクロネが話しかけてきました。
「いえ。
身体、洗いますか?」
「うん、お願い」
私は真っ白な氷のドームを魔術で作った。
クロネにその中に入って、衣服を脱いでもらった。
私もその中に入り、
クロネの首から膝下あたりまでの直径の水球を
彼女の首から下に出現させ、回転させて洗っていく。
「終わりです」
「ありがとう、ユキ」
「はい」