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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第一章 幼年期 〜今世の母は銀髪ハーフエルフ〜
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1-7 ハーフエルフとの講義 その3


「それじゃあ、お勉強、始めようね」


 一冊の本をテーブルの上に置き、俺の隣に座ったアクアさんが言ってきた。


「うん」

「この本を使って勉強するんだけど、

その前に世界の成り立ちを教えるね」


 アルバス様の苦労話かな?


「この世界『ルナティック』は

アルバス様っていう神さまが生み出したの」

「世界と生み出した神様の名前って、みんな知ってるの?」

「学校に通ってた人はみんな知ってるよ」


 この世界にも学校ってあるんだな。

 でも違うものかもしれないし、一応、聞いておこう。

 

「学校?」

「学校っていうのは、勉強を教えてもらうところで、

九歳から十八歳までの九年間、通うんだよ。

ママは中等部卒業だけどね」

「中等部?」

「うん。

学校内には初等部、中等部、高等部があって、

順番に三年ずつ通うの」


 小中高一貫みたいなものか。


「働きたい人は中等部で卒業して、

それ以外の人は高等部まで通うんだよ」


 義務教育制度まであるのかよ。



「それじゃあ、成り立ちの続きね」

「うん」

「世界を生み出したアルバス様は

次にエルフ、イデルフ(妖精族)、獣族、竜族の

四つの種族を生み出したの。

それから何百年か経って、人族を生み出したんだよ。

人族は四種族に助けてもらいながら

発展していって、今の生活の原型をつくったの。

これが世界の成り立ちだよ」


 初めのころはこの五種族だけだったんだな。


「それから何千年か経ったころ、

人族の中に四種族と一緒に生きていきたくないと

思う人たちが出てきたの。

そして、全体の三分の一の人が

今の魔族領の森林地帯から出ていって、

魔族領の南半分に街をつくって、

暮らし始めたんだよ」


 恩を感じないやつ、めっちゃいた。


「ほかの人たちは、四種族と一緒に生きていきたいと

思って、残ったの。

そして、ドラグニカ王国をつくったんだよ。

この国ができた年から王竜暦が使われるようになったの」


 王竜暦はドラグニカ王国とともに始まったんだな。

 今は王竜暦2973年だから、ドラグニカ王国ができたのは約三千年前のことか。


「ここからは本でお勉強しようね」


 ここからは、本を見ないとわからないくらい難しいの?


「大丈夫だよ、リョウくん。

この本、絵本だから」


 そう言って、テーブルの上に置いた本を手に取るアクアさん。

 絵本って、レベル下げすぎじゃないか?


「この本に描かれてる物語は、

王竜暦七百七十年ごろから千年のお話だよ」


 そう言うと、アクアさんは本を開き、ページをめくった。

 開いたページは右に文章、左に絵という構図をしている。


「それじゃあ、読むね」


 そう告げて、アクアさんは朗読し始めた。



ーー



 昔々、あるところで、黒い髪と瞳をした男の子が生まれました。

 ですが、外見のせいで、両親に災いを招くと思われて、男の子はエルフが暮らす森にある湖のほとりに捨てられてしまいます。


 男の子はわけもわからず、じっとしていると、水色の髪と瞳の美しい女性が現れ、彼女に抱き上げられました。

 彼女はこの湖の主である精霊です。


「黒い髪と瞳をしてるだけで捨てるなんて、

最低な親だね」


 女性がそう言うと、捨てられたことがわかったのか、男の子は泣き出しました。


「泣かないで。

お姉ちゃんが責任を持って、

育ててあげるから、ね?」


 彼女がそう言うと、男の子は泣き止みました。


「いい子だね。

君にはいい名前つけてあげるね」


 そう告げると、彼女は考え始めました。


「……リュート、リュート!

今日から君はリュートだよ。

これからよろしくね、リュート」


 こうして、男の子ーーリュートは湖の精霊に育てられることになりました。




 それから十数年が経ち、リュートは立派な青年に成長しました。

 育ててくれた精霊に五歳から剣術の稽古をつけてもらっていたリュートは剣術の腕前を試すため、旅に出ることにしました。


「姉ちゃん。

俺、自分の剣の腕を試したいから、旅に出るよ」

「一人で?」

「うん。そうだけど」


 リュートがそう答えると、精霊は泣き出しました。


「やだぁ、お姉ちゃんを一人にしないでぇ。

もうリュートなしじゃ生きていけないのぉ」

「はぁ、じゃあ、一緒に来る?」


 困ったリュートは精霊に言いました。


「うんっ! リュートと一緒に行くっ!」

「でも、この湖って、(ぬし)の姉ちゃんが

いなくなったらいけないんじゃないの?」

「大丈夫、大丈夫。私はただ住んでるだけだから」


 こうして、リュートは湖の精霊と旅に出ました。




 旅に出て、半年くらいすると、二人は人のいない街に着きました。

 

 二人が街を散策していると、物陰から瞳が赤く、様子がおかしい男性が現れます。

 そして、、彼はリュートに襲いかかってきました。


 リュートは腰に携えた刀を抜き、男性に一太刀、浴びせますが、彼はまだ動いています。

 リュートが首に一突き、浴びせると、男性は動かなくなりました。


「ふぅ、姉ちゃん。こいつ、人間じゃないよな?」

「うーん。アンデッドってところかな。

アンデッドにしては、体の状態がいいけど」


 姿を隠していた精霊が現れて、答えます。


 アンデッドは人間を仲間にして、どんどん数を増やしていく魔物です。

 リュートは倒さないとめんどくさいことになると思い、目的を『剣術の腕前を試す』から『アンデッド討伐』に切り替えて、旅をすることにしました。


 アンデッドを倒しまくっていると、彼らは吸血鬼だということがわかりました。




 吸血鬼討伐の旅を続けていると、リュートたちはある王国の近くまでやってきました。


 やってきたリュートをたくさんの吸血鬼が待っていました。

 リュートはどんどん倒していきますが、吸血鬼は減るどころか増えていき、彼は困ってしまいます。


 そこに女騎士と白銀の鎧、青いマントに身を包んだ少女が現れて、黄金の光で、リュートを助けてくれました。


「すはらしい剣さばきでした」


 少女騎士がリュートに言います。


「まだまだだよ。

そんなことより、助かった。ありがとう」

「いえ、私の国の領土内にいるものはすべて国民で、

国民を守るのは王の義務ですから」


 少女が微笑んで、返します。


「君って王様なの?」

「はい。相応しくありませんけど」

「大変だな、女の子なのに」

「私は男です! 名前もアルスっていうんです!」


 アルスは少し怒って、リュートに言いました。

 アルスは少女ではなく、青年だったのです。


「悪かった。助けてもらったお礼と

女の子と間違えたお詫びに、なにかさせてほしい」

「では、国の精鋭騎士団『ロイヤルナイツ』に

入ってください」

「『ロイヤルナイツ』?」

「『ロイヤルナイツ』というのは、

あらゆる危機から民を守る部隊で、

王が認めたトップクラスの騎士数名で

構成されている」


 リュートの質問に女騎士が答えました。


「そんなすごい騎士団に、

俺なんかが入っていいのか?」

「いいんです。ていうか、入ってください」


 アルスはそう言って、頭を下げました。


「わかった。入らせてもらうよ」

「ありがとうございます。えっと……?」

「リュートだよ」

「ありがとうございます、リュート」


 アルスは笑顔でお礼を言いました。

 その笑顔は少女のものでした。


 こうして、リュートはドラグニカ王国の精鋭騎士団『ロイヤルナイツ』の一員になりました。




 リュートが『ロイヤルナイツ』の一員になり、『湖の騎士』と呼ばれるようになって、年月が経ちました。

 ある日、白い髪に赤い瞳をした美しい女性が吸血鬼たちを率いて、王国に攻めてきます。


 王国は白髪赤眼の女性を吸血鬼の親玉と仮定して、王国最強の騎士であるリュートに、それ以外の吸血鬼を『ロイヤルナイツ』と王国の兵士すべてに迎え撃たせます。


 向かってくる吸血鬼たちを斬り倒しながら、リュートは白髪赤眼の女性のもとへ向かいます。


 女性のもとへたどり着くと、彼女は名乗りました。


「私は真祖。吸血鬼たちを生み出した張本人だよ。

黒髪の剣士。よくも私の家族を殺してくれたね」

「王国に攻めてきた目的は、敵討ちか。

受けて立つ」


 リュートの言葉を皮切りに、二人の戦いが始まりました。

 二人は一進一退のものすごい攻防を繰り広げます。




「そろそろ決着といこうか」

「そうだな」


 二人が構えた瞬間、二人の間に突然、金髪赤眼の青年が現れます。


「だれだよ? お前」

「僕かい? 僕は世界神。

早速だけど、黒髪の君には死んでもらうよ」


 青年ーー世界神はそう言うと、リュートに攻撃をしかけてきます。

 ですが、アルスがリュートをかばって、攻撃をくらいました。

 

「アルス……? アルス!」


 リュートは倒れたアルスの上半身を抱きかかえます。

 アルスは自分が女であること、リュートのことが好きだということを伝えて、息を引き取りました。


 リュートは怒り、世界神に立ち向かって、必死に戦いましたが、五割くらい本気を出した世界神に敵わず、殺されてしまいました。


 自分と互角に渡り合えるリュートから想い人と命を奪ったことに怒りを覚えた真祖が世界神に挑みます。

 ですが、真祖もまた敵わず、殺されてしまいました。




 アルス王、リュート、真祖を殺した世界神は、吸血鬼から逃げのびた人族たちの前に現れます。

 そして、人族が住む街を生み出して、人族を大きく発展させました。


 ある日、世界神は人族たちにこう言います。


「僕が倒した吸血鬼はドラグニカ王国と

人族以外の種族ーー亜人と仲間なんだ。

あいつらを滅ぼさないと

また吸血鬼が生まれてしまう」

「滅ぼせと言われましても、

我々が敵う相手ではありません」


 人族たちの代表が世界神に言います。


「大丈夫さ。

僕が戦い方を教えるし、武器も与えるから。

僕と共に、ドラグニカ王国と亜人を滅ぼしてくれるかい?」


 世界神がそう尋ねると、人族たちは全員、了承しました。


 


 リュートたちが殺されて、二百年後の王竜暦千年、世界神が人族を率いて、世界の北半分に攻めてきました。

 魔神と呼ばれる女性が亜人たちをまとめ、それを迎え撃ちます。

 魔神側には、創造神アルバスに生き返らせてもらったリュートと真祖、亜人の中の強いものを倒すために召喚されたけど、真祖に恋して、こちらについた勇者とその仲間数名がいます。


 人族と亜人たちの戦いは壮絶で、特に世界神と魔神、リュート、真祖、勇者たちの戦いはすさまじいものです。


 なんとか世界神を封印して、戦いは魔神側の勝利で幕を下ろしました。



ーー



「めでたし、めでたし」


 そう言って、アクアさんは絵本を閉じた。

 世界神を封印しただけで、倒せてないから、めでたくないよ。


 ん? ちょっと待て。

 金髪赤眼の青年、神と名乗った、現れたのは

二千二百年、封印された。

 この四つから導き出されるのは、世界神はアルバス様が倒してほしいと言ってた青年だってこと。

 仲間を集めたところで、勝てるのか?


 今、考えても仕方ないな。

 今は置いておこう。


「今、話した人族と亜人さんの戦いは

『第一次人亜大戦』って呼ばれてるの。

このころの世界は一つの大陸だったんだけど、

世界神と魔神たちの戦いがすごくて、

魔族領と人族領に分かれちゃったんだよ」


 大陸が分かれるって、どんだけだよ。


「最後に大事なお話。

黒い髪と瞳のひとや白い髪と赤い瞳のひとを

こわがったり、気持ち悪がったりしちゃダメだし、

悪い人だって決めつけちゃダメ。

わかった?」

「うん、わかった。

見た目で判断しない」

「よし。それじゃあ、今日のお勉強はおしまい。

片づけてくるね」


 そう告げて、アクアさんは絵本を持ち、リビングから出ていった。

 





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