表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/140

クロネ、連れ去られる!

今、俺の目の前で戦闘が行われている。


黒髪の美少女剣士と白髪美少女が魔物と戦っている。


黒髪美少女は次々と斬り伏せていく。

白髪美少女は支援攻撃に火球や赤い光線を放つ。

火球が黒髪美少女にあたりそうになると

動きが速くなって当たらない。

で、俺はというと直方体の形の結界を

魔物の腕や足に出現させて動きを止めたり、

氷砲で倒していた。



「一応、片付いたけど。

リョウちゃん、魔力反応まだある?」



戦っていた場所に漂わせていた魔力を

レーダーのようにした。

でも魔物の反応はなかった。



「もう無いよ」


「匂いもしないからもういないと思う」


「じゃあ、帰ろ?」



俺たちは手を繋いで帰路についた。


リーフェさんと出会って半年が経ち、

季節は春。

あの日、家に戻るとフィアが抱きついてきた。

それからずっと引っ付いていた。

フィアだけではなくクロネとリルも引っ付いていた。

だからお夜もしないで三人とくっついて寝た。


あれから毎週狐仮面を倒していた。

でもあいつの居場所は未だわかっていない。



「ほんと二人は強いよね。

俺いる意味あんのかな?」


「ある。

リョウタが索敵とか魔物の動き封じたりしてくれるから

安心して戦えるの」


「そうだよ。

リョウちゃんが色々してくれるから

クロネちゃんと合わせることに集中できるんだよ。

だから、リョウちゃんは必要だよ」


「そ、そっか」



二人と話しながら歩いていると

魔力反応を感知した。

次の瞬間、狐のお面をした奴らに囲まれた。

俺は結界を発動させた。



「やっと見つけたよ。

僕のクロネ」



声がして、そっちに視線を向けると

白い狐の耳に尻尾がある男がいた。


クロネは繋いでいる俺の手をぎゅっとした。

俺も彼女の手を握る力を痛くない程度に強くした。



「クロネちゃん、大丈夫だよ。

絶対この手は放さないから」



笑顔で言うとクロネは頷いた。



「やっぱり君はいい身体に育ったね。

今すぐにでも楽しみたくなるよ」



狐男がそう言った瞬間、

青い炎の光線が彼に向かっていった。

だが彼は空中に浮かんで避けた。



「危ないな。今のは君かい?

白い髪に赤い瞳。ああ、君が二代目真祖なんだね?」



「そうだったらなんですか?

私の親友の目の前から消えてくれるんですか?」



フィアは声のトーンを落としている。



「こんないい女の子、逃す訳ないよ。

真祖は殺せたら殺せって言われてるだけだよ。

でも君は顔が好みだし、体もいいしね。

ただ殺すだけじゃ勿体無い。

だから力を封じて

僕が仲良く君とクロネの二人を可愛がってあげる」



俺は空いている左手を男に向け、

氷砲を放った。

だけど躱された。



「お前、何言ってんの?

二人は俺の嫁なんだけど」


「ああ、だから捜索担当の分身を倒していたんだね。

君を殺せば僕がもらっていいよね?」



そう言うと男の周りに紫色の火の玉が六つ出現した。

そしてその火の玉はくっついていき、

一つの頭サイズの炎の砲弾になった。



「これならその結界に穴をあけられるかなっ!」



そう言うと炎の砲弾がこちらに向かって、

飛んできた。


その炎の砲弾は途中で

複数の青い炎の短い槍に当たって爆発した。


次の瞬間、俺たちを囲んでいた狐仮面たちに

青い炎の光線が注ぎ、彼らを貫いた。

彼らは消えて無くなった。



「リョウちゃん」


「なに?」



俺が返事した瞬間、赤く燃え盛る炎が結界を包んだ。



「私があの人の相手するから

その間にクロネちゃんを連れて逃げて」


「フィア。それは危険過ぎる!」


「そうだね。

だけどクロネちゃんは震えてるし、

リョウちゃんの氷魔術は効かないから

今、戦えるのは私だけなんだよ。

だから二人に逃げてもらって、

誰か強い人を呼んできてほしいの」


「分かった。無理はしないでね」


「うん。分かってるよ、リョウちゃん。

私が出た後にこの炎消すから

消えたら走ってね」



そう言ってフィアは魔力の翼で飛んで行った。


数秒後、包み込んでいた炎が消えた。

俺は結界を解除して、

クロネの手を引いて走った。




ーー


走りながら、ゲートを発動しようとしたが

発動しなかった。


走っているとクロネがこけてしまった。



「クロネちゃん!」



俺は彼女に駆け寄った。



「怪我してない?」


「大丈夫。いっ」



クロネは立とうとして痛がった。



「ユキちゃん、治癒」


「はい」



ユキはクロネの足に手を近づけ治癒をかけた。



「治りました。立ってみてください」



クロネは立とうとした。



「うん。だいじょう……な、なんで?」



でも彼女は一点を見つめ、

震えて座り込んでしまった。

俺はクロネの見つめている方に視線を向けた。

そこにはフィアと戦っているはずの狐男が

空中に浮いていた。



「お前、なんでここにいんだよ?

フィアは?俺のフィアーナはどうしたんだよ!」


「お前、お前って僕にだって名はあるんだよ。

クノハっていう名がね。

あの子は僕の幻影を相手してるよ」



クノハはそう言って俺に真っ直ぐ近づいた。

俺は結界を発動させようとして、

腹を殴られた。



「かはっ」



そして蹴られ、横に吹き飛んだ。



「リョウタ!」


「さぁ、行こうか?クロネ。

僕たちの愛の巣へ」


「い、いやっ。放してっ」



俺が起き上がり、クロネのほうを向いた。

彼女はクノハに腕を掴まれていた。



「俺のクロネに触るなっ!」



俺は反射的に氷砲を放った。

氷砲は彼の近くに現れた

紫色の炎の盾に当たり、溶けた。


俺は続けて、アイシクルフィールドを

クノハの足元に発動させた。

だが彼は少しも凍っていかない。



「君はバカなのかい?

僕はさっきからこの炎だけを使っている。

ということはこれが得意だって言っているものだよね。

で、氷は熱に弱い。

なのに君はバカみたいに氷魔術ばかり。

もう殺す気もなくなってしまったよ。

あっ!いいこと思いついたよ

ってやっと氷以外になった」



俺はクノハの腕、肩、脇腹、ふくらはぎの

計四ヶ所に結界を張った。



「でもこれ搦め手だよね?

こんなの仕留める一撃を当てる為のものだから

意味ないよ」


「時間稼ぎだよ」


「あの子が来るまでのかい?」


「そうだよ」



そう言った瞬間、結界が溶けて消えた。



「嘘……だろ……?」


「現実だよ。守り特化ではないから溶かせたよ。

待たせたね、クロネ。

今度こそ行こうか?」



クロネは首を横に振って嫌がった。



「じゃあ、あの子が死んでもいいのかい?」


「や、やめて。あの人は私の一番大切な人なの」


「じゃあ、僕と来るよね?」



彼女は頷いた。



「君は内面までいいとはね。

最高だよ、クロネ。

毎晩彼よりも気持ちよくしてあげるよ」



そう言ってクノハは彼女を肩に抱いた。



「じゃあ、リョウタ。

君とフィア、だったかな?

二人を待ってるよ。

その間だけクロネには何もしないから安心して

ゆっくり来るといい」



そう言って、俺のいる方向とは逆の方に

煙が円を描いていた。


クノハはその円に向かって歩き出した。

クロネは泣いている。



「いやっ。俺からクロネを取らないでっ。

お願いだからっ」



そう泣きながら言ってもクノハは歩みを止めない。

そして円の目の前に差し掛かった。

するとクロネは手を俺に向かって伸ばして

俺の名前を呼んだ。


「リョウタっ。やだっ。離れたくないっ」


「クロネっ。絶対助けに行くからっ」


「リョウタっ。リョウターっ!」



クロネの顔も何も見えなくなったけど、

声だけは届いた。



「うぅっ。クロネっ。クロネぇーっ!」


俺は一人、涙を流して、クロネの名前を叫んだ。




ーフィア視点ー


今日はいつも通り、

リョウちゃんとクロネちゃんの大好きな二人と

ギルドの依頼を受けた。


依頼内容はスカーレットから少し離れた村に

現れた魔物の討伐。


クロネちゃんと私のコンビネーションはいい感じだし、

リョウちゃんは得意の結界魔法で手伝ってくれるから

すぐに片付いた。


その帰りのこと、キツネのお面を付けた人達に囲まれた。

そして声が聞こえた。

声の方を見ると

獣耳に、大きい尻尾の全体的に白い男の人がいた。


男の人はクロネちゃんの身体を舐めるように見て、

今すぐにでも楽しみたいと言った。

私は女の子にひどいことをする人が大嫌いだから

魔術を放った。

でも彼は空中に浮かび上がって躱した。


次に彼は私の身体も舐めるように見てきて、

私とクロネちゃんの二人を可愛がってあげると言った。


いらないよ!

リョウちゃん以外となんて考えられないよ!

それにリョウちゃんが可愛がってくれてるから

行かないよ!


私とクロネちゃんがそう言われて、

リョウちゃんは彼に魔術を放った。


そして、二人とも俺の嫁だって言った。


リョウちゃんは私たちのことを俺の嫁って言う。

それが嬉しい。

リョウちゃん風に言えばドキドキしてやばい。

まあ、耳元でフィアーナ、好きだよとか

愛してるって言われながらされるのに比べたら

やばくないけど。


リョウちゃんの氷砲はなかなかの速さなのに

躱された。


そして獣耳男は火の玉を六つ出して一つに集めて放ってきた。


私は危ないと思って青い炎の槍を複数放って

空中で爆発させた。


そして炎を光線みたいにして

お面の人たちに放った。


それから私は私たちの周囲に炎を纏わせた。

二人に逃げてという為に。


そして私は二人を気をそらす為、

獣耳男に向かって飛んだ。

私は空中で剣の形にした炎を片手に出現させて、

男に斬りかかった。


でも彼も同じように炎の剣で防いだ。



そして何分か戦っていると男は煙になって消えた。


私はリョウちゃんを探しに飛んだ。


探すとすぐに見つかった。

その場にはリョウちゃんが泣いているだけで

誰もいなかった。



「リョウちゃん、どうしたの?」


「フィアたぁん。

クロネたんがぁ、あいつに連れてかれたぁ」



リョウちゃんは私のお腹に抱きついて、

泣きながら説明してくれた。



「説明してくれて、ありがと。

早速行きたいけど、その前に顔拭こう」



私はリョウちゃんの顔をハンカチで拭いてあげた。



「ありがとう、フィアたん」


「いいよ。

どうやって行ったらいいかな?」


「これで」



リョウちゃんは鈴を出して鳴らした。

すると私たちの目の前に

頭に猫耳の生えた女性が現れた。



「リーフェさん、クロネが……」



この人がリーフェさんなんだ。



「皆まで言うな。さぁ、行くぞ」



それから私とリョウちゃんは

クロネちゃんがいる場所に連れて行ってもらった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ