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リーフェさんの頼み事

「私たちの居場所を見つけようとしているやつらの数を減らしてほしい」


「やつら?」


「クロネの父を殺めた妖狐の分身のことだ」


「な、なんでリーフェさんたちを探してるんですか?」


「あいつは世界神の配下で、

 真祖の夫であるハルトとその妻を皆殺しにする為に

 探せと言われているんだと思う。

 そして、あいつはクロネのことも探している」


「くっ」


「だから数を減らして見つけにくくする。

 そして、見つかる前に

 私があいつの居場所を突き止めて

 リョウタとフィアに倒してほしい。

 頼む」


 リーフェさんは頭を下げた。


「引き受けます」


「それは本当か?」


 彼女は頭を上げた。


「はい。クロネの為に頑張ります」


「すまない。よろしく頼む。

 早速、ついてきてくれ」



 リーフェさんは壁に向かっていく。

 すると道が現れ、彼女はそこを行く。



「失礼しました。ほら、ユキちゃん行くよ」



 俺はティアさんに頭を下げて、

 リーフェさんを追いかけた。



「はいっ。それではティア様、失礼しました」


「主様の助けになるのですよ」


「はい。行ってきます」


 ーー


 リーフェさんについていくと光に包まれた。


 目を開けるとそこは穏やかな村だった。

 ユキちゃんは戻っている。



「ここは真祖であるルナが創った村だ」


「真祖って凄いんですね〜」


「まぁ、体内に蓄積されているハルトの血液が

 満ちていて、夜であること。

 この二つの条件が揃わなければ不可能だが。

 使ったあとは死んだように眠り、

 起きたらハルトを襲う。

 襲われるとハルトは動けなくなって

 アリスがお世話しなくてはならなくなる。

 それにアリスも眷属だから襲われるし、

 あいつはアリスに迷惑ばかりかける」


「アリスって?」


「アリスは私と同じ、ハルトの妻で正妻だ」


「は?リーフェさんが眷属じゃ?」


「違う」


「じゃあ、どうやって生きてるんですか?」


「今度、ルナに聞け」


「はあ」


「ほら、着いたぞ」



 リーフェさんが立ち止まった場所は

 祭壇の前だった。


「この祭壇は転移魔法陣になっている。

 ここから森の上空にリョウタを転移させる」


「なんで上空?」


「見つかるからな。

 だから夕方になったら上空にきてくれ」


「夕方までやるんですか?」


「魔力量的には大丈夫だ」


「はあ」


「行ってこい。〈転移〉」


 次の瞬間、視界を(まばゆ)い光が覆った。




 ーー




 光が収まると、俺は空にいた。


「いやぁああああ〜!」


 垂直に落下していく。



「け、結界!」

 

 俺は咄嗟に結界を張った。


「ふぅ。ちょっと待って。

 結界を張った状態で、落ちたらどうなるの?」


 ユキちゃんが姿を現す。


「多分、結界が地面に着いたら、ゆっくり足がつくと思います。

 一応、私が下にいますね」




「ん? ん!?」


 気がつくと、唇がユキちゃんのとくっついていた。

 慌てて、ユキちゃんから離れる。


「ご、ごめんね」

「い、いえ。事故ですから」

「でもユキちゃん、初めてだったでしょ?」

「は、はい。

 ですが、リョウタ様に捧げられたので、よかったです」


 ユキちゃんは笑顔で言った。

 その笑顔が可愛くて俺は彼女にキスをした。



「あ、あの、な、なんで、したんですか?」



 彼女は顔を真っ赤に染めて、聞いてきた。



「ちょっとユキちゃんが可愛くて」


「や、やっぱりフィアを連れてくるべきでしたね」


「そ、そうだね」



 そう言って彼女から離れ、周りを見渡すと

 狐のお面をつけた男が二人と顔があった。


 俺はすぐに結界を張り、眼を強化した。



「ユキちゃん、こいつらだよね?」


「魔力の感じが悪意に満ちてますし、

 感情が存在していないのできっとそうです」



 ユキちゃんが言い終えた瞬間、狐仮面二人の内一人ーーこちらをaとするーが小刀を構え、距離を縮めてきた。

 もう一人はその場から動かず、手をこちらに向けている。


 狐仮面aが小刀で切り掛かってくるが、結界に止められる。

 狐仮面aはすぐに諦め、退いた。

 すると火球が飛んできて、結界に当たった。

 でも結界は割れなかった。


 火球を放ったのは始めの場所から動かなかった

 狐仮面bだった。


 俺は狐仮面bを〈フロストブレス〉で氷漬けにして、狐仮面aに手を向ける。

 咄嗟に、顔を隠す狐仮面a。

 彼のがら空きの胸に〈氷砲〉を放つ。

 彼は氷の砲弾に胸を貫かれ、倒れて、動かなくなった。


「お見事です、リョウタ様」


「ありがとね。

 でもこいつら思ってたよりも弱い気がする」


「多分、探す専門なんだと思います。

 村を襲う者たちはずっと強いと思いますよ」


「そうだよね」


「ですから気を抜かずに頑張りましょう。

 油断大敵ですから」


「そうだね。

 一体一体確実に倒していこう。

 大好きなクロネたんのためにね」


「私もお手伝いしますね」


「よろしくね」


「はいっ!」



 ユキちゃんは笑顔で言った。

 可愛い。



 ーー


 あれから狐仮面を何体も何体も、ユキちゃんと協力して倒した。


 氷漬けにしたり、〈氷砲〉を放って倒したり、

 〈ブリザード(鋭利な氷の刃を大量に放つ魔術)〉で倒した。

 ユキちゃんは氷の刃を飛ばしたり、水流で木に頭をぶつけさせたりして倒していた。


 夕方になると、また光に包まれた。

 光が収まると、祭壇とリーフェさんが視界に入った。


「どうだ?」


 リーフェさんが聞いてくる。


「分かんないくらい倒しました」

「そうか。来週も頼む」

「はい、分かりました」

「それじゃあ、『スカーレット』に転移させる」

「お願いします」

「ああ。〈転移〉」


 また光が視界を覆った。





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