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勇者ハーレムの半分との邂逅

 フィアーナたちを妻にしてから、一ヶ月が経った。


「リョウちゃん一人でなんて、心配だな」


 俺と手を繋いでるフィアーナが言った。


「しょうがないよ。

 俺一人で来いって言われてるんだから」


 俺たちは庭に集まっている。

 庭の中央でユキが魔方陣を描いている。


 今から俺はユキと全霊王様のところに行かなければならない。

 このことは何日か前から三人に話してあった。

 話した日からフィアーナはずっと落ち込んでいる。

 クロネは昨日まで哀しい顔をしていたが

 今は猫耳と尻尾が垂れているだけだ。

 ティリル姉はいつも通り、明るい。



「よし、描き終えました。

 あとは魔力を流し込むだけです」


「そっか。ありがとう、ユキちゃん。

 ほら、フィアちゃん放して」

「うん」


 フィアーナは暗い表情をしている。

 俺はそんな彼女を抱きしめた。



「大丈夫。

 ただ話聞きに行くだけだし、

 もし何かを倒すとしても

 フィアちゃんとクロネちゃんに比べれば弱いけど

 俺には氷魔術と結界魔法があるし、

 ユキちゃんも治癒と水魔術ができるから大丈夫だよ」


「はい。リョウタ様は私が守りますから

 フィアは家でゆっくりしていてください」


「分かった。出来るだけ早く帰ってきてね」


「終わったら速攻帰ってくるよ」


「絶対だよ?」



 俺は頷いて、フィアーナから離れる。

 ティリル姉の前に移動して、彼女を抱きしめた。



「リル姉、行ってきます」


「うん。行ってらっしゃい、リョウタ」



 俺は彼女にキスをして離れた。

 そして、クロネに近づいて抱きしめた。



「クロネちゃん、フィアちゃんと留守番しててね」


「うん。二人と家は何があっても守るから

 安心して行ってきて」


「クロネちゃん自身もね」


「うん。私もリョウタの大切なものなんでしょ?」


「あ〜、行きたくねぇ〜。

 クロネたんと一日中いちゃいちゃしてたいよ〜」


「私たちとはいちゃいちゃしたくないんだ?」


「したいに決まってる」


 そう言いながら、クロネをフィアーナの隣に移動させ、二人を抱きしめた。



「リョウちゃん、

 なんでクロネちゃんと抱きしめてるの?」

「半日会えないから」

「リョウタも寂しいの?」

「無茶苦茶寂しい。

フィアーナとクロネと離れるのは、半日でも嫌なんだ」

「私たちも同じだよ。

リョウちゃんと一緒にいたいよ」

「だから終わったらすぐ帰ってきて抱きしめて」

「分かった。でももう少しこうさせて」


 そう告げて、俺は抱きしめる力を強くして、フィアーナの首に顔を埋めた。


「えっと、リョウちゃん? なにしてるの?」

「フィアーナ成分を補充してる」

「そ、そっか」


 フィアーナ成分が満たされたところで、クロネの首に顔を埋める。


「わ、私も?」

「二人の成分がないとね。

うおっ。リル姉か、びっくりした〜。

なんで、抱きついたの?」

「リョウタが二人の匂い嗅いでるから

私もリョウタの匂い嗅ごうと思ってねー」

「リル姉はいつもと変わらないけど、

さみしかったり、心配したりしないの?」

「するよー。寂しいし、心配だよ。

でも、リョウタは戦えるし、ユキもいるかんね。

だから、笑って、行ってらっしゃい……って、言えるんだー」



 ユキちゃんが描いた魔法陣に近づき、触れて、魔力を流し込んでいく。

 ある程度、魔力を流し込むと、青く光りだす魔法陣。


「リョウタ様、魔力が満たされました。

もう行けます」


 魔力の供給を止めて、振り返る。


「それじゃあ、行ってきます」



 魔方陣を踏もうとして、やめる。

 大事なことを思い出したから。

 また振り返り、三人の元へ踵を返した。


「どうしたの? 忘れ物したんだ?」

「いや、しなきゃいけないこと忘れてたんだ」


 ティリルにそう答え、クロネにキスをした。


「わ、忘れ物って、き、キス?」

「う、うん。

リル姉にはしたけど、してなかったから。

ほら、フィアちゃんも」


 フィアーナを抱き寄せ、キスをする。




「改めて、三人とも行ってきます」

「「「行ってらっしゃい」」」


 三人の嫁に見送られて、俺は青い光に包まれた。




 ーー




 光が収まると神秘的な空間にいた。

 水色みたいな葉の木に囲まれている。



「ここが全霊王様の住まいです。

 私が案内しますね」


「よろしく」


「はい」



 俺はユキに案内されて、進んでいると話し声がしてきた。

 そして声に近づいたと思ったら会議室くらいの大きさの場所に出た。



 薄紫色の髪、瞳をした女性と藍色の髪、瞳をした猫獣族の女性が話していた。



「ティア様、私の主様をお連れしました」


「ありがとう、ユキ。

 初めまして、私は全ての精霊を管理している精霊で

 ティアと申します」


 薄紫色の瞳をした女性ーーティア様が俺の近くにきて、言った。



「初めまして、私はリョウタ・クールウィンドと申します。

 ユキを育てていただき、ありがとうございます」

「いえいえ、我が主のお願いですから」


 ティアさんがそう答えると、獣族の女性が近づいてきた。

 彼女は腰に細剣を携えている。


「私はリーフェ。

 初代勇者であるハルトの妻をしている。

 よろしく頼む」



 リーフェさんは手を差し出してきた。

 初代勇者は初代魔王と結ばれた。

 その初代魔王は真祖。

 この人は真祖の眷属なのかな?



「は、はい。よろしくお願いします」


「いきなりなんだが、私の頼みを聞いてほしい」


「頼みですか?」


「ああ」




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