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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第一章 幼年期 〜今世の母は銀髪ハーフエルフ〜
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1-6 ハーフエルフとの講義 その2


「おまたせ、リョウくん」


 待っててと言って、リビングから出ていったアクアさんが戻ってきた。

 彼女は折りたたまれた紙を持っている。


「その紙は?」

「これはママのお母さんが作った世界地図だよ」


 世界地図か。


「こっちのテーブルだと説明しにくいから、

あっちのテーブルに移動してくれる?」


 ソファの前に置かれた低めのテーブルを指差すアクアさん。

 このリビングには食事用の高いテーブルと椅子四つ、向かい合わせの二つのソファとその二つに挟まれた低めのテーブルが置かれている。


「うん」


 そう返事して、椅子から降りた。

 すると、アクアさんが手を繋いできた。


 またか。

 彼女は隙あらば手を繋いでくる。

 まあ、嬉しいから、振りほどかないけど。


 アクアさんと二人でソファに向かう。




 俺がソファに腰かけると、目の前にあるテーブルにアクアさんが世界地図を広げた。


 地図には大きな大陸が二つ描かれていて、ところどころに小さな文字が書いてある。


「それじゃあ、説明していくね」

「うん」

「まずはこの大陸」


 アクアさんが地図の下三分の一を占める大陸を手で示す。


「この大陸は人族領。

その名前どおり、人族が住んでるの。

人族領には五つの大きな街があるんだよ。

一番大きい王都」


 人族領の中心を指差すアクアさん。


「東都、西都」


 人族領の右端から左端までを縦に五本の線を等間隔に引いたとき、二本目と四本目にあたり、王都と横に並ぶ位置を彼女が順に示す。


「南都、北都」


 続いて、人族領の上端から下端までを横に五本の線を等間隔に引いたとき、四本目と二本目にあたり、王都と縦に並んだ位置を順に示した。


「この町は東都の東、ここら辺にあるよ」


 アクアさんは、東都の右の方を示して、言った。


「人族領はこれくらいかな。

次はこっちの大陸」

 

 アクアさんが地図の上三分の二を占めるもう一つの大陸を手で示す。



「人族領と海をへだてたこの大陸は、魔族領。

亜人さんたちが住んでるの」


 魔族領は、北半分が緑色に薄く塗られていて、上端は灰色に塗られている。

 森と山があるってことかな?


「魔族領は、主に魔人族が暮らしてて

五つの大きな街がある、草が生えた広い大地と

魔人族以外の亜人さんたちが暮らしてる森林地帯の

南北に分かれてるんだよ」


 都会と故郷(ふるさと)って感じかな?


「次は、どの種族がどこに住んでるか、教えるね。

まずは北」


 魔族領の上端の灰色に塗られた部分をアクアさんが指で円を描いて示す。


「ここら辺には魔族領の東端から西端まで続く

山脈があって、

東側に竜族さんたち、西側にイデルフさんたちが

暮らしてるの」


 山に暮らしてるって、やっぱりイデルフはこの世界のドワーフなんだな。


「イデルフさんたちが暮らしてる山脈の下に

エルフさんたち、その下に獣族さんたちが

暮らしてるんだよ」


 山脈の下から森林地帯の下端までを四分割した左上と左下を順にアクアさんが示す。


「竜族さんたちが暮らしてる山脈の下に

ヴァンパイアさんとサキュバスさんたち、

その下にキャスティアさんたちが暮らしてるの」


 続いて、右上と右下を順に示した。


「そして、森林地帯の中央に

世界樹って呼ばれてるすっごく大きな樹と

ドラグニカ王国っていう大昔に栄えてた王国があるんだよ」

「そのドラグニカ王国って今はどうなってるの?」

「今は廃れて、だれも暮らしてないの」


 だれも暮らしてない王国。こわっ。


「世界についてはここまで。

明日は歴史について教えるね」


 そう言うと、アクアさんは地図をたたんだ。

 歴史か。苦手だな。


「大丈夫だよ、リョウくん。

簡単な本でお勉強するつもりだから」

「うん」

「よし。それじゃあ、片付けてくるね」


 そう告げて、彼女は地図を持って、リビングから出ていった。




ーー




 昼食を済ませ、少し休憩した俺はアクアさんと庭にやってきた。

 

「母さん。試してみたいことがあるんだけど、

してもいい?」

「いいけど、火と土魔術は使っちゃダメだよ」


 火は単純に危ないし、土はケガする場合もあるからだ。


「うん、わかった」


 そう返事して、前を向く。

 前方には家の塀。


 よし、やるか。無詠唱魔術。

 

 魔術に触れて、三日。

 毎日、魔術を発動させていた。


 魔術を発動させるたびに、心臓のあたりがカッと熱くなり、そこからお湯が出て、血管を通り、右手に集まる感覚が起こる。

 異世界転生モノの小説みたいに、これをイメージだけでできるんじゃないかと思って、試してみたくなった。


 右手を前に出し、体の内側に意識を向ける。

 心臓のあたりに温かさを感じる。


 この部分を燃やすイメージをする。

 燃えろ、燃えろ、燃えろと唱えながら。

 すると、心臓のあたりがカッと熱くなった。

 よし。第一段階クリア。


 続いて、右手に繋がっている血管に心臓のあたりからお湯を流すイメージをする。

 流れろ、流れろ、流れろ。

 すると、心臓のあたりから血管にお湯が流れ始めた。

 少しずつお湯が右手に溜まっていく。


 次は発動させる魔術のイメージ。

 初級水魔術『水球(ウォーターボール)』にしよう。


 こぶし大の水の球をイメージする。

 すると、右手の前にイメージどおりの水の球が現れた。

 でも、水球は飛んでいかない。


 放つイメージも必要なのかよ。

 そう心の中で呟いて、前方の塀に向かって飛んでいくイメージをする。

 すると、水球が右手から放たれて、塀に向かっていく。

 そして、塀にぶつかり、濡らした。



「できた。無詠唱で『水球』発動できた!

よっしゃあっ」


 両手をあげて、喜んだ。


「リョウくん。

今の『水球』、詠唱してなかったよね?」


 俺の様子を見ていたアクアさんが近寄って、聞いてきた。


「う、うん。イメージだけだよ」

「すごい。すごいよ、リョウくん」


 嬉しそうに、両手を合わせて、ぴょんぴょんするアクアさん。

 豊満なおっぱいが揺れるからやめて。


「まだ魔術に触れて三日なのに、

詠唱なしで、魔術を発動できるなんて、

すごすぎるよ。

想像魔術も夢じゃないね」

「想像魔術?」

「亜人さんが使う魔術のことだよ。

想像力が豊かじゃないとできない魔術で、

威力が高いの。

ママは使えないけどね」

「そっか」


 想像魔術はエルフに出会ってからだな。

 今は魔術教本の魔術を覚えて、詠唱なしで発動できるようにしよう。






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