リルの家族へのあいさつ
リル姉の実家についた俺たちは緊張している。
リル姉は家を飛び出したから。
俺は初対面で挨拶するからだ。
フィールズさんたちとは何度も会っていたし、
スズネさんも会ったことがあったから
緊張してたけど、今の比ではない。
「リルちゃん、大丈夫?」
「ちょっと怖いけど大丈夫だよ」
「俺が呼ぼうか?」
「いや、私が……」
リル姉と話していると
ドアが開いて
茶髪翠眼の優しそうなお姉さんが出てきた。
「……リ、ル?リル!」
お姉さんはリル姉を抱きしめた。
「ただいま、お母さん」
「おかえり、リル。私、ずっと待ってたんだから」
「ごめんね、いきなり家、飛び出しちゃって」
「仕方ないよ。襲われたんだから。
その子は?」
「お、俺はリョウタって言います。
ティリルさんのつ、番になりました。
よろしくお願いします」
「私はリルのお母さんのリーンだよー。
よろしくねー」
リーンさんは微笑んで手を差し出した。
彼女の笑顔が綺麗で
俺はドキっとした。
「は、はい、よろしくお願いします」
「リョウタくん、可愛いねー」
そう言ってリーンさんに頭を撫でられた。
やばい。好きになっちゃう。
俺にはフィアたんとクロネたんがいるのに。
一旦二人のことを考えよう。
三人で暮らしている妄想をしよう。
〜〜
朝、目覚めるとフィアたんとクロネたんが
俺を挟んで寝ていて、
俺は起き上がって二人の髪を撫でて幸せを感じていると
二人を起こしてしまう。
『おはよ、リョウちゃん』
『リョウタ、おはよう』
起こしてしまったのに二人は嫌な顔をせずに
微笑んで言った。
俺は二人に触れるだけのキスをする。
二人は嬉しそうだ。
それから二人は朝シャンをしに行く。
朝シャンって言葉ってなんか興奮します。
両想いだった女の子が言ったからだろうか?
あの頃の俺はまだキスの先を知らなかった。
だからなんでえろいって思うんだろうって不思議だった。
それはあれの後にすることだからと
今は思う。
俺がそういうのを知ったのは高一ぐらいだった。
妄想の続きをしよう。
俺は魔術でなんとかして
ランニングをしに玄関を出た。
帰ってくると朝食ができていて、
三人で喋りながら食事をする。
食事を済ませ、身支度をして
三人でギルドへ向かう。
それから夕方まで依頼をこなす。
そんで帰ってきたら二人はシャワーをしにいく。
その間、俺は魔術の鍛練。
シャワーを終えると
フィアたんは俺と模擬戦、
クロネたんは夕食を作る。
夕食は二人といちゃつきながらする。
夕食を済ませたら少し休憩。
その後、二人と風呂に入って
洗い合いっこしたり、くっついて浸かる。
で風呂から出たら甘い時間。
彼女たちは絶対俺より先に風呂から上がり、
寝室で待っている。
寝室に入ると色違いのネグリジェ(肩のとこが紐で、
腰までの丈)を来て待っていた。
下は横を紐で結ぶ物だ。
それぞれルビーとサファイアの瞳を潤わせていて、
『リョウちゃん、しよ?』
『リョウタが満足するまでしていいから』
俺は二人を押し倒して、無茶苦茶せ……。
〜〜
「おーい、リョウター」
「な、何?」
「やっと返事したー。家の中入るよ」
俺はリル姉に手を引かれて家の中に入った。
ーー
居間に入ると
優しい金髪に紫色の瞳の美青年と
茶髪翠眼の同い年くらいの美少女がいた。
美少女はリル姉によく似ている。
「お姉ちゃん!」
美少女がリル姉に抱きついた。
美少女はクロネたんとフィアたんの間くらいの背丈。
「ただいま、リーネ」
「お姉ちゃんのバカ!
出て行くならちゃんと言ってからにしてよ!
それに里の外に行くのは一緒だって約束したじゃない!」
「ごめんね」
「許す」
許すんかい!
「あんがとね、リーネ。大好きだかんね」
「私もお姉ちゃんのこと大好き」
この姉妹、貰っていいですか?
「リル、おかえり」
「ただいま、お父さん。
いきなり飛び出してごめんなさい」
「いいや、リルは悪くないよ。
悪いのはあの男だ。
だからリルに対しては怒ってないよ」
「お父さん」
「それで好みの魔力の異性とは出会えたのかい?」
「うん。家に帰ってきたのは
その子がお父さんたちに挨拶しなきゃって
言ったからなんだ」
「その子は?」
「リョウタ、出ておいで」
そう言われ、
俺は部屋の前に隠れるのを止めた。
「この子はリョウタ。
この子が十歳の時に出会ったんだー。
この子は優しくてね。
幼馴染の女の子と獣族の女の子とだけ
契約したかったのに
自分を好きになってくれたからって
私とも契約してくれたんだ」
「何それ!?
お姉ちゃんのこと好きでもないくせに
契約するなんて!
その二人だけ毎晩抱いて、
お姉ちゃんは放っておくんでしょ!
そんなの別れてあげた方がまだいいよ!」
「そうだね。
でもリョウタはちゃんと考えてくれたんだよ。
どうしたらみんな幸せだろうって。
それにリョウタは私のこと好きなんだよ。
そりゃあ、好みの二人には劣るけど、
好きなんだよ。
だから私は幸せなんだよ」
リル姉が言うとリーネちゃんは俺の胸倉を掴んだ。
「お姉ちゃんにこんなこと言わせるなんて最っ低!
あんた、お姉ちゃんの身体が目当てなんでしょ!」
「リーネ!
それ以上言ったらお姉ちゃん、リーネのこと
嫌いになるよ!」
「うっ。でもこいつにお姉ちゃん渡したくないのは
私だけじゃなくてお父さんもなんだよ!
嫌だよね?お父さん」
「リルが幸せだって言ってるんだから、
僕はそれでいいと思うよ。
だから、彼を放してあげなさい」
リーネちゃんは放してくれた。
「リーネちゃん、ごめんね。
でも身体目当てじゃないよ。
そりゃあ、リルちゃんは
女神様かと思うくらい綺麗で
スタイル抜群だけど。
昔、俺が泣いた時、抱きしめて
もう大丈夫だよって頭と背中を撫でてくれた、
そんな優しいとこが好きなんだよ」
「くっ。分かったわよ。あげるわよ、お姉ちゃん。
その代わりお姉ちゃんをちゃんと
その二人と同じくらい抱いてあげなさいよね」
「リルちゃんとの日は気絶するまで抱くよ」
「普通にしてもお姉ちゃんが動けなくなるわよ」
それから俺のことを聴かれまくった。
俺だけではなく、フィアたんとクロネたんのことも
聴かれた。
その後、ベルさん(リル姉のお父さん)と
リーンさんに
リルをお願いしますと頭を下げられた。
帰る時、たくさん果実をお土産に渡された。
この果実が俺たちを助けることになるとは
この時はまだ誰も知らない。