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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第六章 青年期前半 幸せ編2 〜あいさつと初夜〜
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フィアーナとの夜

加筆修正中。

 今、俺はフィアちゃんの部屋にいる。


 この部屋には二人で寝転べるくらいの大きさのベッド、本棚、そして、よく二人で勉強してた丸テーブルが置いてある。

 俺はそのベッドの上に腰を下ろして、彼女を待っている。



「はぁ、上手くできるかな?

フィアちゃん、ちゃんと感じてくれるかな?」

 

 独りごちる。

 この部屋に入ってから、ずっと独りごちている。

 すげえ楽しみだし、早くしたいとも思ってるけど、不安の方が大きい。


 少しすると、コンコンと扉をノックされた。


「ど、どうぞ」


 そう返事をすると、フィアちゃんが入ってきた。

 彼女はオレンジ色をしたパジャマの上着だけという格好をしている。

 白い太ももが俺の目を奪う。


「リョウちゃん?」

「は、はい」


 視線を上に移動させて、返事した。

 彼女の頰が赤くなっている。

 声色はいつもと同じ感じだった。

 多分、風呂上がりだから、赤くなってるんだと思う。


「えっと、ちゃんとフィールズさんたちと話した?

結婚するのが嫌だとか」

「嫌な訳ないでしょ?

大好きなリョウちゃんが相手なんだから。

話したいことはお父さんたちにちゃんと伝えたよ」

「そ、そっか」

「ねぇ、リョウちゃんの隣、行ってもいい?」

「う、うん」


 俺の返事を聞くと、フィアちゃんがベッドに上がってきて、隣に腰を下ろした。

 なぜか、彼女はこっちに体を向けている。


「リョウちゃんもこっち向いて?」

「う、うん」


 そう返事して、彼女の方に体を向ける。

 必然的に、向かい合わせになった。

 

 うっ、緊張してきた。

 心臓の脈打つスピードが早まっている。


「なんか、緊張するね。

三年前まではずっと一緒にいたのに」


 フィアちゃんも緊張してるんだな。

 当然か。今から、するんだから。

 俺が緊張をほぐしてあげなきゃダメだよな。

 そう思って、彼女の肩に手を置く。

 そして、彼女の唇に自分のを触れさせた。


「なんでしたの?」

「えっと、緊張をほぐそうと思って」


「ふふっ、逆に増しちゃうよ。

でも、ありがと」



 フィアちゃんは、笑って言った。

 俺はその笑顔にドキッとした。



「し、しようと思うんだけど、

する前になにか言っておきたいことある?」


「うん。少しリョウちゃんと話したいな」


「分かった」



 そう返事して、彼女の肩から手を退けた。



「リョウちゃん、私と出会った日のこと、覚えてる?

泣いちゃった私を撫でながら可愛いよって言ってくれて、

私が本当かって聞いたら、

お嫁さんになってほしいくらいって言ったよね?」



 覚えてたか〜。

 嫌だったんだろうな。



「ごめん」


「なんで謝るの?」


「出会っていきなりお嫁さんになってほしいって言われて、

嫌だったんだろうなって」


「嫌じゃなかったよ。

むしろ、嬉しかったな」


「なんで?」


「ずっと一人だと思ってて、

結婚なんてできないだろうなって思ってたし、

リョウちゃん、かっこよくて、優しそうだったから」



 フィアちゃんは懐かしそうに、嬉しそうに言った。



「だから顔赤くしてただけだったんだね」


「うん、そうだよ。

あのときも嬉しかったな」


「あのとき?」


「大人になったら結婚してって言われたとき。

ずっとリョウちゃんと一緒にいられるんだ。

そう思って、すっごく嬉しかったんだよ。

でもリョウちゃんは猫耳美少女とか、

美人で優しくて甘えさせてくれる人と結婚したい。

そう言ってたから、

こんな外見の私は嫌なんだなって思ったの」


「だから、俺が気持ち悪いと思ってるとか、

捨てられるって思ってたんだね」


「うん」


「ごめんね」


「ううん、いいよ。

それでね、お姉ちゃんと出会った日から

ずっと同じ夢を見るの」


「夢?」


「リョウちゃんにフラれちゃう夢だよ。

その夢では、私とリョウちゃんはもう大人で、

恋人なんだ。

私が手を繋ごうとすると別れを告げられるの。

私のこと、全部が嫌になった。

同じ空間にいるのも耐えられないって。

それから、リョウちゃんは部屋から出ていこうとするんだ。

私はリョウちゃんと一緒じゃなきゃ嫌だから、

止めようと腕を掴むの」



 フィアちゃんは涙を流し始めた。



「でも、手を振り払われて、

気持ち悪いんだよ。

お前なんか生きてる価値もない。

俺がいないとこでのたれ死んでろよって言われるの。

私、この夢を毎日のように見るから、

いつかは現実になるんじゃないかなって」



 彼女を抱きしめた。

 前世のことを話したとき、抱きしめてくれた彼女のように、膝立ちして抱きしめた。



「大丈夫。絶対現実にはならない。

俺はフィアーナが大好きだから、

死ぬまで、ずっとそばにいる。

絶対、フィアーナを一人にしない」


「リョウちゃん」


「少しこのままでいよっか?」


「うん。

でもちょっと向き変えたいから一回放して?

顔見ないでね」



 抱きしめるのをやめると、フィアーナはベッドの上に向かい合うように女の子座りした。

 そして、俺の背中に腕を回し、胸に頭を埋めた。



「もう抱きしめてもいい?」


「うん」



 俺は彼女を抱きしめた。



ーー


「もういいよ。

ありがと、リョウちゃん」



 しばらく抱き合っていると、フィアーナが顔を上げて言った。

 彼女の涙は止まっていた。

 だから、俺は抱きしめるのをやめた。



「やっぱりリョウちゃんは私の王子様だね」


「なんで?」


「私を孤独から救ってくれたから。

それにいつも優しく接してくれるし、

転移してから、私が寂しくないように

毎日抱きしめてくれてたからだよ。

その、これからも辛くなったら抱きしめてくれる?」



 俺はフィアーナを抱きしめた。



「抱きしめてあげる。

でも気づいてあげられないときもあると思う。

てか、そればっかだと思う。

だから、教えてほしい」


「うん、分かった。

辛くなったら言うね」


「えっと、俺が抱きしめたくなったら

抱きしめてもいいかな?」


「ふふっ、いいよ」



 フィアーナは笑って言った。



「フィアーナ」


「なに?」


「お、俺、フィアーナが大好きだ。

顔がすごく好みで、

雪みたいに白い髪も

ルビーみたいな赤い瞳も声も好きなんだ。

それにすごく優しいし。

そんな可愛くて優しいフィアーナがすげえ好きだ。

俺を好きになってくれて、

奥さんになってくれて、ありがとう」


「う、うん。

私もリョウちゃんが好き。

優しくて、かっこいいリョウちゃんが大好きだよ。

結婚してくれてありがと」


「うん」


「リョウちゃん」


「ん?」


「わ、私ね、リョウちゃんとの赤ちゃんが欲しいの。

だ、だから、リョウちゃん、えっちしよ?」



 フィアーナは顔を朱色に染めて、ルビーの瞳を潤せて言った。

 その姿が本当に綺麗で、可愛くて、愛おしくて、抱きしめた。

 そして、彼女に口づけし、舌を入れた。




 それから、俺とフィアーナは大人の階段を二人仲良く登った。





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