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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第一章 幼年期 〜今世の母は銀髪ハーフエルフ〜
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1-4 初歩魔術と師匠爆誕



ーーーーーーーーーー



 魔術とは、体内にある魔力を用いて、詠唱、または魔法陣で(つむ)がれた事象を起こす技術のことである。


 魔術には属性魔術、治癒魔術、状態異常回復魔術がある。

 他にもたくさんの魔術が存在しているが、この書は属性魔術を主にしている(ため)、割愛する。


 属性魔術は、火、水、風、土の属性を持った攻撃魔術である。

 属性魔術は初級、中級、上級、将級、王級、天級の六つのランクで構成されている。

 得意な属性を上級、その他の属性を中級まで(あつか)えれば魔術師として認められるだろう。

 将級以上が扱える魔術師は○△級魔術師と名乗る。

 丸には属性、三角にはランクが入る。


 例 火の将級を扱える場合

   火将級魔術師

   水の王級を扱える場合

   水王級魔術師


 治癒魔術、状態異常回復魔術は五つ。

 初級、中級、上級、最上級、天級。


 この属性魔術、治癒魔術、状態異常回復魔術を合わせて、基礎魔術と呼ぶ。



ーーーーーーーーーー




 この文は魔術教本の最初の一ページのものだ。

 教本は数日前に家の中を探索して、見つけた。


 火、水、風、土の属性魔術の初級から上級まで。

 治癒魔術の初級、中級。

 状態異常回復魔術の初級。

 教本にはこれらの魔術が載っていた。



 魔術を身につけるため、俺は庭に出てきた。

 そして、庭に置かれた木のテーブルに魔術教本を置き、開いた。


「まずは、『照明(ライト)』から発動させるべし。

光球を出すイメージを持って、詠唱すること。

出来ない場合は、魔術が使えるものに見せてもらうこと。

まぁ、一回やってみるか。

えっと、右手を前に突き出して、詠唱する」


 教本の指示どおり、なにもない方向に右手を突き出す。


「魔力よ。光となりて、我に奇跡を見せよ。『照明』」


 詠唱し終えた瞬間、体内、ちょうど心臓の位置がカッと熱くなった。

 そして、そこからお湯が出て、血管を通り、突き出した右手に集まっていく感覚がして、光球が放たれた。


「魔術、キター。すげえ」


 自分の手から放たれた光球を感動しながらながめる。

 光球は直径一桁後半ほどで、光量も弱いものだ。

 でも、感動は大きい。


 右手にお湯が集まって、光球が放たれたってことは、あのお湯が魔力なのか。


 数秒すると、光球が消えた。


「いや、出てる時間、短すぎだろ。

それなのに、体がだるい。

このだるさの原因が魔力切れだとしたら、

俺の魔力、少なすぎるわ!」

「少ないに決まってるよ。

まだ魔術に触れちゃいけない歳なんだから」


 後ろから聞き慣れた女性の声がして、振り向く。

 すると、そこには、銀髪碧眼の爆乳美人お姉さんーーアクアさんが立っていた。

 彼女は怒っている。


「ごめんなさい」


 反射的に謝った。


「なにをしたか言ってから、ごめんなさいでしょ?」


 語尾が伸びてない。やっぱり怒ってる。


「だれも見てないところで、勝手に魔術を発動させて、

ごめんなさい」

「ごめんなさい、ママは?」


 まただ。

 アクアさんは俺が漏らしたとか悪いことをしたら、毎回これを言わせようとしてくる。


「ごめんなさい、アクアママ」

「もう勝手に一人で魔術、使っちゃダメだよ?」

 

 アクアさんの声色がいつもの優しいものに変わった。


「はい」


 声色が戻ったけど、すぐに謝る。

 声色が戻っても、ちゃんと返事しないと、許されないから。

 


「あの、母さん。

なんで魔術、使ったことわかったの?」

「魔術が発動するのがわかったからだよ」


 いつものように、微笑んで答えるアクアさん。


「えっ? 母さんってそんなことわかるの?」

「うん、わかるよ。

お母さんが魔力を感じとれるエルフだからね」


 それってどっち?

 お母さんが特別、感じとれるのか、エルフすべてが感じとれるのか。

 それも気になるけど、アクアさんが愛し合う夫婦のもとに生まれたのか、そうじゃないのかの方が気になる。


「母さんのお母さんってどんなひと?」

「綺麗な黒髪を長く伸ばしてて、

珍しい黒()をした美人さんなんだ〜。

おっぱいも大きいんだよ、私と同じくらい」


 黒髪黒()って日本人みたいだな。


「容姿も優れてるけど、いろんなことを知ってて、

いろんな魔術を使えるすごい人だから、

ママの憧れでもあるし、自慢のお母さんなんだ〜」


 日本人みたいな容姿で、チート。

 転移者か転生者だったりして。


「母さんのお父さんは?」


 この質問でわかる。

 アクアさんが愛し合う夫婦のもとに生まれたのかどうかが。

 頼む。愛し合う夫婦の娘であってくれ。


「銀色の髪に、青い瞳をしたイケメンさんで、

すごく優しいんだ〜。

小さい頃はよく絵本を読んでくれたんだよ」


 アクアさんは愛し合う夫婦の娘なんだ。よかった。


「そんなに聞いて、二人に会いたいの〜?」

「う、うん。会いたいかな」

「そっか〜。

会わせてあげたいんだけど、できないんだ〜」

「なんで?」

「お母さんは悪い神様を退治するために

ほとんど家にいないし、

お父さんは治癒院(現代でいう病院)の先生で

忙しいからだよ」


 悪神退治?

 アルバス様が言ってた神と名乗る青年の討伐のこと?

 そうだとしたら、アクアさんのお母さんは転移者か転生者ってこと?


 めちゃくちゃ気になる。

 でも、アクアさんに聞いてもわからないだろうし、今はおいておくしかないな。


「そっか。忙しいんなら、会えないよね」

「ごめんね、リョウくん」

「いいよ。お仕事は大事だから」

「リョウくんは賢いね」


 そう言って、アクアさんはしゃがみ、俺の頭を撫でた。



「あっ、そうだ。母さん。

俺が使った魔術、すぐ消えちゃったんだけど、

そういうものなの?」

「リョウくんが使ったのは、この『照明』だよね?」


 テーブルに置いた魔術教本を手に取り、開いてあったページを見せて、尋ねてくるアクアさん。


「うん。その『照明』だよ」

「やっぱり〜。

これは入門用の特別な『照明』だから、

発動時間が短いし、大きさも明るさも劣るんだ〜」

「そうなんだ」

「本物は魔力をほんのちょっと流しながら、

コントロールしないといけないの」


 『照明』は少し高度なことをしないといけないから、難易度と効果のレベルを落として、入門用にしたのか。

 それなら、違う魔術を採用すればいいのに。

 

 俺が思いつくんだから、やってるか。

 なにか事情があったのかも。



「リョウくん。魔術に興味あるんだよね?」


 アクアさんがしゃがんで、聞いてきた。

 

「うん」

「そっか。魔術、覚えたい?」

「うん。

魔術、覚えて、大切なひとを守れるようになりたい」


 アクアさんとか、幼馴染(予定)とかね。


「そっか。リョウくんも男の子だね。

よし。ママが魔術、教えてあげる」

「えっ? まだ触れちゃダメな歳なんじゃないの?」

「うん。

普通は十歳、親が魔術師でも七歳くらいからだよ。

でも、リョウくんは、同い年かなって思うくらい賢いし、

覚えたい理由もちゃんとしてるから、いいの」


 同い年ってバレてる。


「本当に教えてくれるの?」

「うん。教えてあげるよ」


 よし。

 心の中で呟き、ガッツポーズした。


「ありがとう、母さん」

「うん。ママは水将級魔術師だから、

絶対、強くなれるよ」


 アクアさんって水将級魔術師なんだ。


 こうして、俺に師匠ができた。

 才能溢れる銀髪碧眼爆乳美人お姉さんな師匠ができた。






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