It's an our house.
家はフィアちゃんが言った通り
この街『スカーレット』の北東の端に存在していた。
家の外壁は白、屋根はオレンジ色で
大きさはまあまあ大きい。
家は塀に囲まれていた。
「屋根は私の好きなオレンジ色にしてもらったんだよ。」
「フィアちゃん、オレンジ色好きだもんね。」
フィアちゃんが教えてくれた。
彼女は俺と結婚の約束してから
フィアちゃんは自分の瞳の色である赤色を含む
暖色系が好きになった。
なんでこの世界に存在しているか、
答えは簡単だ。
この世界には勇者たちが召喚されているから。
しかも人族は裏切られた経験がある為、
一度に二〜四人、召喚している。
その為、この世界に無い日本に存在するものが
存在しているのだ。
この世界は日本に染められていると言っても
過言ではない。
閑話休題
「リョウタ、中入ろう。」
「うん。」
クロネちゃんに促されて塀の中に入った。
塀の入り口から玄関までは十歩くらい距離がある。
玄関のドアは黒いものでほぼ現代日本と同じだった。
「はい。」
フィアちゃんに鍵を受け取り、ドアを開けた。
俺だと不安だからフィアちゃんに持っていてもらった。
玄関は日本と同じで靴を脱いで、
フローリングの床にあがるタイプだ。
靴を脱いであがって少しの場所(右側)にトイレ。
廊下を奥に行くと左右に扉があり、
右の扉を開けると
洗面所兼脱衣所、その奥に風呂があった。
入って正面が洗面所、
ドアの横に脱いだ服などを置く棚があった。
風呂は広かった。
洗う場所は扉から湯船までが通常の二倍です。
湯船は長方形で
広さは五、六人入っても大丈夫そうな感じ。
「私が五人で入れるようにお願いしたんだー。
一週間に一度はみんなで入ろ。ね、リョウター。」
リル姉が笑顔で言った。
みんなでなんて、きゃー。
やっぱりエルフはえろふなんだー。
そして洗面所と廊下を挟んだ向こう側の扉は
リビングだった。
入って右側にキッチンがある。
リビングからは庭に出られる。
庭は広く、右に進むと花壇があった。
庭の広さはクロネちゃんが
庭で刀の素振りをできるように、
花壇はリル姉が
絶対二人が俺についていって一人になってしまうから
植物を育てたいという理由だった。
普通の植物でお願いします。
廊下の突き当たりには二階への階段がある。
二階に上がりきると左にトイレ、その奥に三つ扉があった。
子どもが生まれた時の為ーー気が早いねーーに
トイレの近くから男子部屋、女子部屋が存在していた。
そして一番奥はフィア、クロネ、リル、セラの
妻達の部屋。
妻達の部屋、なんといい響きだろうか。
しかも俺のが付くんだよ。
やばいわ。
というか子供全員男か女だったらどうすんだろ?
2/16の確率だよ。
てかこんなにセラちゃんのこと言ってるけど、
振られる可能性だってあるんだよ。
「フィアお姉ちゃんだけじゃなくて
他にも二人も奥さんにするだなんて。
お兄ちゃんの変態!
もうお兄ちゃんなんて大嫌い!」って
振られるかもしれないんだから。
その向かい側の扉は俺の部屋。
入るとまあ広い。
窓からは魔王城が見える。
俺が数学が好きだから
勉強できるように窓際に机を置くつもりらしいです。
美人な嫁に数学を勉強できる環境、最高すぎるわ。
ずっと夢だったんだよな。
数学しながらかわいい嫁といちゃつくの。
そしてなぜ広いのかはでかいベッドを置く為。
そうここは俺の部屋と称した愛の巣だったのだ。
ちゃんとカーテンで仕切るらしい。
それにしてもでかいベッドか。
四人を相手する時が来るのだろうか?
したいって言ったらしてくれそうだけど
無理だな。
俺の知識では二人相手するのが限界な気がする。
この世界は魔道具または、魔化製品と呼ばれるものがある。
電気ではなく魔力で動く電化製品のこと。
小さいものは魔道具、
家電などの大きなものは魔化製品と呼ぶ。
仕組みは
魔方陣が彫られていて
真ん中のくぼみに魔石を嵌め込むと使用できる。
魔石とは世界各地に存在するダンジョンで大量に採れ、
ダンジョン内で使われた魔術等の魔力関連攻撃の
残留魔力が結晶化したもの。
魔石に魔力を多量に蓄積させることで大きくなっていく。
で、この家には
キッチンに冷蔵庫、レンジ
洗面所に洗濯機
空調機などが備え付けられている。
魔王のサービスらしい。
だから買うものは
机、ベッド、調理道具ぐらいだろうか。
タンスはクローゼットがあるから要らないし、
ドライヤーも要らないな。
クロネちゃん以外みんな魔術使えるし
クロネちゃんには教えてあげるか、
俺がすればいいしね。
てか、俺にさせて。
あっランプ買わなきゃ。
明るさを調節できるベッドランプを買わなきゃ!
きっと、暗くしてって言われるから
暗くするでしょ?
でも部屋の中は何も見えない。
そんな状態でできない。
でも明るさを調節できるベッドランプなら
暗くできるし、見えるから大丈夫。
「じゃあ二人ずつで手分けしよう。
フィアと二人でベッド、テーブル
私とクロネは他のものと食材を買ってくるね。」
「待って、それじゃあダメだって
二人ともかわいいし、スタイルもいいから
絶対変な奴に絡まれるじゃん。」
「そんなかわいいなんて。」
「心配してくれてありがとね。
でも大丈夫だよー。これがあるでしょ。」
リル姉は左手を出して言った。
「指輪に魔力を入れておけば大丈夫でしょ?」
「そうだけども。」
「大丈夫。気配を探りながら動くから
もし近づいたら私が斬るから。」
クロネちゃん、怖い。
でもクロネちゃんになら斬られてもいいかもしれない。
「そこまで言うなら分かったよ。」
こうして俺はフィアちゃんと行くことになった。
買いに行く前に魔王城に飯を食いに行った。
食事を済ませて魔王城から出発する前に
二人の指輪に魔力を入れられる限界まで入れておいた。
「リョウタ、デート楽しんでね。
大丈夫だとは思うけど、
押し倒しちゃダメだかんね。」
「する訳無いでしょ。」
「フィア。あんまり好きだとか言っちゃダメ。
リョウタが我慢できなくなるから。」
「別に私はいいんだけどな。」
「そういうのも駄目。
リョウタはフィアが大好きだから襲いたくなる。
だからリョウタが大丈夫なことだけ言って。」
「えー。
そんなのリョウちゃん本人じゃなきゃ
分かんないよ。
リョウちゃんと話すなって
言ってるのと一緒だよ?」
「うぅっ。それもそうだね。リョウタ頑張って。」
俺の信用が0に等しい。
「大丈夫。
外じゃしないよ。
だって奥さんの身体見られたくないし、
声も、聞かせたくないから。
てか外に出したくない。
他の男に見られたくないし、
話してほしくないから。」
「リョウタは独占欲が強いんだね。」
「わ、私もリョウちゃんには
他の女の子と話してほしくないよ。」
「ご、ごめん。フィアちゃん以外も奥さんにして。」
「違うよ?そんな意味で言ったんじゃなくて
私もおんなじ気持ちだよって意味で言ったんだよ?
それに二人きりになることは少なくなるけど
きっと楽しいと思うから大丈夫だよ。」
「そっか。
こんなすげぇかわいくて、すごく優しい女の子を
嫁にもらえるなんて
俺、超幸せもんだな。」
「リョウちゃん。
私もこんなかっこよくて優しい人の奥さんになれて
超幸せだよ。」
俺は嬉しくなってフィアちゃんを抱きしめた。
「大好きだよ、フィアーナ」
「うん。私もリョウちゃんが大好きだよ」
彼女は顔を赤らめて言った。
「もー。リョウタ、フィア。
いちゃついてたら日が暮れちゃうでしょー。
帰って来るまで
あんまりいちゃいちゃしちゃダメだかんね。」
「ごめんなさい。気を付けます。」
「よし。それじゃあ、私達もう行くね。」
「行ってきます。」
そう言って二人は買いに行った。
「じゃあ、俺達も行こっか?」
「うん。」
フィアちゃんは俺の左手を握って返事した。