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転生した世界のため、チートな亜人嫁たちと悪神倒します  作者: 雪ノ町 リョウ
第三章 少年期 出会い編 〜エルフ、猫耳、精霊〜
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K1前編 もう一人の転生者

「また読んでる。

カナはほんと読書するの、好きね」


 隣に腰掛けた茶色い髪をしたスタイル抜群の美女が言ってくる。


「いろんなこと知っておいたほうがいいから

読んでるだけだよ」

「知識を得るために読書する七歳なんて、

カナくらいだよ」

「私は……」


 私は転生者だから。

 そう言いたいけれど、言えない。

 この人に嫌われたくないから。




ーー

 



 七年前のある日。

 その日、私はいつものように部屋に引きこもっていた。


 私は身体障がい者だった。

 中学からそういう人が通う学校に転入した。

 その学校は小中高一貫だったけど、私は高等部へは行かなかった。

 介助する教師から三年間いじめられていたから。

 このときのいじめがトラウマになって、就職できず、部屋に引きこもっていた。

 



「やあ」


 突然、目の前に現れた男の子が挨拶してきた。


「ひゃあ!」


 私は悲鳴をあげて、仰け反った。


「ど、どうして、私の部屋に男の子が?」

「ここ、君の部屋じゃないよ」

「えっ?」


 周りを見渡すと、男の子の言った通り、私の部屋じゃなくて、真っ白な空間が広がっていた。


「こ、ここはどこ?」

「僕が作った空間だよ」

「つ、作った?」


 空間を作るなんて、この男の子、神様なのかな?


「そうだよ。僕は神だよ。

空間を作ることができるんだ」

「ご、ごめんなさい。

神様だとは分かんなくて」


 頭を下げた。


「ううん、いいよ。

君を呼んだのは僕だからね」

「私を? どうしてですか?」

「君には記憶を持ったまま

剣と魔法の異世界『ルナティック』に

転生してもらい、

二代目真祖を倒してもらいたいんだ」

「む、無理です」

「君の初恋のひとがその真祖にひどいことされるって言ったら?」

「リョウ君が?」


 リョウ君は、私の初恋のひとだ。

 明るくて、優しい男の子。

 中学三年間、クラスメイトだった。

 

 離れ離れになって何年も経つのに、私は今も想っている。


「そう、君がずっと想ってるひとだよ。

彼も転生するんだ、君と同時期にね」

「じゃ、じゃあ、まだされてない……ってこと?」

「僕はされてるなんて言ってないよ。

されるって言ったんだよ。

二代目真祖もまだ産まれて三ヶ月くらいだしね」

「まだそんななのに、

どうして、リョウ君にひどいことするって分かるんですか?」

「未来視を使ったからね」


 自分の左目を指差す神様。


「二人は五つのときに出会うんだ。

それから、約十年後。

二代目真祖が覚醒する。

覚醒した彼女は彼を監禁して、

ひどいことをし続けるんだ。

彼を助けるくらい誰でもできるけど、

癒せるのは君くらいだと思ったんだけどね」

「わ、分かりました。

二代目真祖を倒します」


 私がそう答えると、笑顔になる神様。


「ありがとう。

勇者の力を何倍にも引き上げた力を与えるね。

手を出して」


 言われた通り、右手を前に出す。

 その私の手を神様が握る。

 その握る手から温かいものが私の体に染み込んできた。


「これで、力が身についたよ。

でも、すぐには使えないからね。

それじゃあ、早速転生してもらうね」

「あっ、ちょっと待ってください。

真祖の容姿教えてください」


 私は慌てて聞いた。


「言ってなかったね。

二代目真祖は真っ白な髪に赤い瞳の女だよ」

「白髪赤眼ですね?」

「うん、そうだよ。

ついでに君の想い人の容姿も教えてあげるよ。

彼は茶色の髪に黒い瞳をしてて、

前世の面影が残った顔をしてるよ」

「ありがとうございます」

「うん。

じゃあ、改めて転生させるね」


 頷くと、神様は私に両手を向ける。

 その両手から光が放たれ、私の体を包みこんだ。

 その瞬間、私は眠るように意識を手放した。


 次に目を覚ますと、今のお母さんの腕の中だった。







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